仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

雪の山を歩きたい

2009-01-26 19:42:29 | 日々雜感
このところ、雪山を歩きたくてうずうずしてゐる。
登りたいわけではなく、歩きたいのだ。
とはいへ、雪山を歩くには、それなりの高さまで登らなくてはならない。
それが惱みの種だ。

私が最後に雪山に登つたのは、1993年の3月。
八ヶ岳の主峰・赤岳だつた。
初日に赤岳鑛泉小屋まで登つて近くにテントを張り、2日目に赤岳をピストンした。
その翌日には下山したのだが、何故か麓の小屋で一泊した記憶がある。
同宿のパーティーのかたが「きのこ鍋」を食べてゐて、ご相伴させて下さつた。
いまから思へば、まだ30代前半、體力も氣力もあつた頃の話である。

いまの私はといへば、體力も氣力もない。
こんな状態で雪山に「登る」などとは無茶である。
だから、「登る」のではなく「歩く」のだ。
體力も氣力もないが、しかし、雪山の經驗はある。
經驗を活かせば、體力や氣力のない分を補へるのではないか。
さう、歩くだけなら大丈夫。

白銀の雪原。
陽の光が雪面に反射してキラキラと輝く。
夕方になると、空も雪面も赤く染り、やがて濃紺の帳に閉ざされてゆく。
ああ、あの清淨な世界に身を置いて、自分を見つめ直したい。
下界では何も出來ない情けない自分でも、白銀の世界に身を置けばきつと何かを見つけられる筈だ。

そんな思ひを抱きつつ、悶々としてゐる私であつたが、ふと氣がついた。
あ、登山靴がない・・・
さう、私の愛用してゐた登山靴、ハンスワグナーのラングコッフェルくんは既にソールが剥がれてしまひリタイア。
無雪期用の輕登山靴は持つてゐるが、それでは雪山は登れない。
ぢやあ、ダメぢやないか。

ダメだとなると氣に入らない。
自分の意思で行かないといふならよい。
行く條件が揃はないから「行けない」といふのは自分への言ひ譯だ。
そんなことでは男がすたるといふものだ。

先日、大阪驛で待ち合せをすることがあつた。
時間が30分ほどあつたので、近くの山用品店に入つた。
店員に「雪山で使へて、幅が廣くて履き易い靴を教へて欲しい」旨を云つたところ、3つほど候補を教へてくれた。
その中で一番フィットしたのが、シリオ770。
つい欲しくなつたが、なんと4萬6千円だといふ。
これではさすがに手が出ない。

ああ、やはり雪山は遠くに在りて思ふもの、なのだ。
諦めかけてゐた私であつたが、念のためネットで搜したところ、なんと3萬3千円で賣つてゐる店があつた。
これぞ神のお導き、とばかりに、ポチッとしてしまつた私。
メーカー取り寄せなので、日數はかかるが、遲くとも2月上旬には屆くだらう。

條件を無理矢理にでも整へた私の胸に、毎夜毎夜、純白の世界が廣がる。
なるべく登らずに雪の山を歩けるところ。
北八ヶ岳か上高地か。
もう、どこでもいいから雪山を歩くぞ!


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2 コメント

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雪山、いいですね (^o^) 。 (原始人)
2009-01-27 16:39:40
僕の最後の冬山も行者小屋・地蔵尾根経由の赤岳往復、20年以上の話 (>_<) 。
120%メタボの今の僕には山歩き自体も無理やろうな (T_T) 。
写真、楽しみにしてまーす (^o^) 。

<↑ ゴメン、投稿ミスしちゃいました。消去をお願いします。>
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原始人さん (仙丈)
2009-01-27 18:32:25
原始人さんも赤岳が最後でしたか。
奇遇ですね。
今度は滑落の危險のないところを、ぽこぽこと歩かうかと思つてゐます。
しかも登りの少なくて、出來れば降りたところに温泉があれば最高なんですが(笑)

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