お薦め度:☆☆☆☆ /
2006年11月15日読了
「春が二階から落ちてきた。」といふ一文から始まり、その一文で終はる。
なかなか氣障な頡頏だと思ふ。
兄の名前は泉水、弟の名前は春。
連續放火事件とそれを豫告するかのやうなグラフィティアート。
その事件の眞相を追ふ兄。
このあたりはミステリー風である。
グラフィティアートと遺傳子構造とが結びつゐてゐることを發見する兄。
兄はやがて眞相に到達するのだが・・・
ストーリーそのものもさることながら、輕妙な文體に惹かれる。
作中で氣に入つた云ひ囘しを見つけてはページの耳を折つてゐたら、そこら中のページに折目がついてしまひ、本の上と下とで厚みが違つてしまふくらゐだつた。
重力ピエロ。
「本當に深刻なことは、陽氣に傳へるべきなんだよ」
「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れてゐるんだ」
と、これは春のセリフ。
そして、この言葉は兄弟の父母の次の會話からきてゐる。
母:「ふわりふわりと飛ぶピエロに、重力なんて關係ないんだから」
父:「さうとも、重力は消えるんだ」
泉水:「どうやつて?」
父:「樂しさうに生きてゐれば、地球の重力なんてなくなる」
母:「その通り。わたしやあなたは、そのうち宙に浮ぶ」
これらの言葉を口にだす父母の素晴らしさ。
彼らの經驗したことを思ふにつけ、この父母の言葉は素晴らしいと思ふのだ。
2006年11月15日読了
「春が二階から落ちてきた。」といふ一文から始まり、その一文で終はる。
なかなか氣障な頡頏だと思ふ。
兄の名前は泉水、弟の名前は春。
連續放火事件とそれを豫告するかのやうなグラフィティアート。
その事件の眞相を追ふ兄。
このあたりはミステリー風である。
グラフィティアートと遺傳子構造とが結びつゐてゐることを發見する兄。
兄はやがて眞相に到達するのだが・・・
ストーリーそのものもさることながら、輕妙な文體に惹かれる。
作中で氣に入つた云ひ囘しを見つけてはページの耳を折つてゐたら、そこら中のページに折目がついてしまひ、本の上と下とで厚みが違つてしまふくらゐだつた。
重力ピエロ。
「本當に深刻なことは、陽氣に傳へるべきなんだよ」
「ピエロが空中ブランコから飛ぶ時、みんな重力のことを忘れてゐるんだ」
と、これは春のセリフ。
そして、この言葉は兄弟の父母の次の會話からきてゐる。
母:「ふわりふわりと飛ぶピエロに、重力なんて關係ないんだから」
父:「さうとも、重力は消えるんだ」
泉水:「どうやつて?」
父:「樂しさうに生きてゐれば、地球の重力なんてなくなる」
母:「その通り。わたしやあなたは、そのうち宙に浮ぶ」
これらの言葉を口にだす父母の素晴らしさ。
彼らの經驗したことを思ふにつけ、この父母の言葉は素晴らしいと思ふのだ。
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私はダメですね、この手の手法は・・・。「ラッシュライフ」も、この「重力ピエロ」も苦手です。村上春樹っぽいですよね?そんなことありませんか?「週末のフール」は面白かったんですけどねぇ。
井坂さんも相当の才能の持ち主のようですから、これから作風も変わってゆくんでしょうね。それは楽しみです!
>村上春樹っぽいですよね?そんなことありませんか?
さうですね、まさにその通りだと思ひます。
私は、 「オーデュボンの祈り」 が伊坂幸太郎の初體驗だつたのですが、そのシュールさに感動しました。
この重力ピエロは、感動といふ點では、處女作に及ばないと思ひました(もちろん私個人の感想ですけど)
ちなみに、 「陽気なギャングが地球を回す」 は讀まれました?
面白いといふ點では掛け値なしに面白いですよ~
私はこの作品気に入りました。
>作中で氣に入つた云ひ囘しを見つけてはページの耳を折つてゐたら、そこら中のページに折目がついてしまひ
これ、すんごいわかりますー。
私は人に借りてたので、折れなくて、控えてたんですけど、キリがなくなっちゃって途中でやめました(^^;;;
「陽気なギャングが地球を回す」面白いんですね?
今、「ラッシュライフ」読んでますが、その次に読んでみます♪
タイガース關聯ブログをRSSに登録してゐるのですが、時々本の話題にもTBさせて頂いてゐます。
「重力ピエロ」はいい作品だと思ひました。
「春が二階から落ちてきた。」なんて、キザな出だしですが、引込まれました。
そしてタイトル。
この主人公たちの父母たちは素晴らしいですね。
「樂しさうに生きてゐれば、地球の重力なんてなくなる」といふ父の言葉。
いいなあ・・・