仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

「誘拐の果実」(上・下) 真保裕一

2006-05-06 13:41:19 | 讀書録(ミステリ)
「誘拐の果実」(上・下) 真保裕一 

お薦め度:☆☆☆☆
2006年4月30日読了 


2つの誘拐事件が發生する。
病院長の孫娘が誘拐され、犯人の要求は入院中の患者を死に至らしめよといふもの。
この患者は「バッカス・グループ」の會長で、この病院のスポンサーでもある。
そして、現在、政治家への贈賄事件の被告人となつてゐる。
もうひとつの誘拐事件は、被害者が19歳の大學生。
犯人は身代金を「バッカス」の株券で要求する。
この2つの誘拐事件に共通してゐるのは、「バッカス」だ。
どうやら2つの事件には繋がりがあるやうだ・・・。

この作品では「誘拐」につきものの身代金の受け渡しシーンが登場しない。
株券の受け渡しの場所にも犯人は現はれない。
犯人はこの誘拐事件で何を得たのだらうか?
「誘拐の果實」が何であるのか、それがこの作品の眼目になる。

株券での受け渡しが現金での受け渡しと異なるところ、それは單に現金よりもコンパクトだといふことだけではない。
そのメリットについては讀んでゐる時に氣づいたものの、その意味するところについてはわからなかつた。

イヤな結末にならないやうに祈りつつ讀んでゐたが、讀後感は爽やかなものであつた。
「誘拐」を扱つたもののなかでも、優れた作品のひとつだと思ふ。


誘拐の果実 (上)

集英社

このアイテムの詳細を見る

2006年4月28日讀了
誘拐の果実 (下)

集英社

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2006年4月30日讀了

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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誘拐の果実 (真保裕一 ファン)
2006-05-09 12:39:11
誘拐の果実私も読みました。こういう誘拐もあるのかと感心しました。

真保作品が大好きです。こちらのページに感想や投票機能などがあるので、よろしければ見に来てくださいね。

http://www.shimpo-fan.com/
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ありがたう! (仙丈)
2006-05-09 21:54:57
真保裕一 ファンさん



コメントありがたうございます。

先日そちらに伺ひましたが、また週末にでも伺ひます。

真保裕一は面白い作品が多いですね!



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