仙丈亭日乘

あやしうこそ物狂ほしけれ

穗高とサッカー

2010-11-17 17:34:05 | 或る日の柴犬・穗高
いつもの公園に散歩に行き、いつものグランドに入つた。
ここで匂ひを嗅ぎ囘つて、しかるべきところにオシッコをかけるのが穗高の日課。

けふは、たまたまテニスボールが轉がつてゐた。
若い頃の穗高はボール遊びが大好きだつたが、近ごろはすぐに飽きてしまふ。
ま、いちおうやつてみるか。
ボールを投げると追ひかけていつてボールを咥へるのだが、すぐに放してしまふ。
しかも、妙な顏をしてゐる。
なにかイヤさうな顏をして、ベロを出したり引つ込めたり。
もしかするとボールに沁みこんだ水が口に入り、それが途轍もなく不味いのかもしれない。

ボールを咥へて持つてくることが出來ないのなら、持つて來なくてもいい遊びをしよう。
さう考へて、サッカーをすることにした。
私がボールを蹴る、穗高がボールを口で咥へてその場に落とす。
そのボールを私が蹴り、穗高がそれを追ひかける。

犬にフェイントは效くのだらうか。
ふと、そんな疑問が浮んで來た。
犬はもともとひどい近眼なので、視力に頼ることは少ない筈だ。
だとすればフェイントは效かないかもしれない。
さう思ひつつも、試してみた。
右足のインサイドで前に蹴るふりをして、ボールの上で足の向きを變へアウトサイドで横に蹴り出す。
すると穗高はものの見事にフェイントに引つ掛かつて、私の正面に向かつて走り出した。
をを、犬にもフェイントは效くのであつたか!

調子に乘つて、10分ほど遊んでゐたら、私の息が上つてしまつた。
7歳の穗高と50歳の私。
だいたい同じくらゐの年輩の筈なのだが、どうやら私のはうが老けてゐるやうだ。
ただ、相手は4つ足、こちらは2本足だといふハンデがあることを考へれば、ドッコイドッコイかもしれない。

穗高はこれからどんどん年老いてゆく。
穗高とかうして遊べるうちに遊んでやらうと思ふ。




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