公立相馬総合病院の研修医のブログ

被災地医療を支える公立相馬総合病院
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自由と自立と代償

2017年04月30日 | 日記
研修医の名取です。
この4月は実習と見学の学生さんが来てくださいました。
辺境の相馬に来て頂いてせっかくですので何かを得て戻って頂ければ嬉しいです。

今回は新年度になったので新5・6年生に向けて久しぶりに当院の良さをお伝えしようと思います。特に今回は他の病院には真似できない大きな二つの特徴を取り上げます。

①研修医を一人の医師として扱ってもらえること
②個人の要望を受け入れる自由と寛容さがあること

どちらの利点も、よくある研修病院比較本やwebのようなオモテには出てこないフワッとした内容であるのに、じつはとても大切な利点だと私は思っています。学生さんはこの項目のウエイトの重さに気がつきにくいかもしれませんが、実際に働いているとこの二つの利点でだいぶ成長具合と充実感が変わってくると感じます。

一つ目の、正当に医師として扱われると自分の当事者意識と責任の感じ方は段違いになります。うちの研修をしながら学生気分にはなり得ません。これは逆に正当に扱われず当事者意識が芽生えないような研修病院があるという事を意味していますが、そのような病院の研修医と比較して2年後には精神的に相当自立して大人な考えの医師に成長しているはずです。

二つ目は、個人個人の事情や要望を汲んで貰える自由さがあり、これはプログラムを自由に組めるといったチャチな自由程度ではありません。当院では研修医の意見を公式に吸い上げる制度に加えて、院長や副院長レベルの先生と個人的に飲みながら話を聞いてもらうといった非公式なチャンスが多々あります。特に後者は当院のような小さな病院のコミュニティでしかできないことではないかなと感じます。おかげでトップに意見がすぐ届き、主科を研修しながら救急外来を担当させてもらったり町のクリニックの研修に行かせてもらったりと自分好みの研修をさせてもらっています。また、実家に頻繁に帰るといったことやペットを飼いたいなどのプライベートなことにも個々に対応してもらっていて、これには大変感謝であります。

このような研修ですが、利点だけを書くのは私の主義ではないので裏面もお伝えしておこうと思います。一つ目の、医師として扱ってもらえるということは、ひよっこであっても甘えは許されない立場になってしまいます。最初は大変厳しいです。勉強して自分で考えて判断するからこそ自立の精神が得られると思っています。二つ目の自由と寛大さを履き違えてしまうと好き勝手な研修生活が送れてしまいます。偏った研修や、何もしない研修や、我儘な医師に育つといったことにならないよう自分で律する必要があると私も注意しています。

このような研修病院ですので、ぴったり合う方にはとても合った研修生活を送ることができますし、これを読んでピンと来たら是非見学に来てくれたら嬉しいです。そうでなくても研修病院を選ぶ際の考え方の参考になれば良いなと思っています。

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