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ヤマザキ、フリーターを撃て!

ヒマラヤの娘 二つの人生

2008-01-19 03:41:15 | ドキュメンタリーとかテレビ
 ディスカバリーchにて「ヒマラヤの娘 二つの人生」を見る。いやこれは傑作。ヒマラヤに暮らすチベット民族の女性二人を追うドキュメンタリー。制作はフランスなんでかなり攻撃的な内容。鳥肌が立つような美しさと、あまりに苛酷なヒマラヤ山脈の光景。神々しいというかこんな所に住んでいたら宗教的になるのは間違いないと思う。幼馴染の若い女性二人。一人は結婚し、もう一人は出家していく過程を追う。チベットでは親が結婚を決めると娘はそれに従わないとならない。よく知らない相手との結婚が決まってしまうんだ。これはここで生きる女性の人生における避けられない通過点なんだ。夫の親族たちが馬に乗って娘をさらいに来る。妻は村人分のパンを数千人分も作って待っている。パンと引き換えに親族たちは金を払う。苛酷な環境で暮らす人々は富を分配しないと生きていけない。金儲けなどとは無縁に生きてる人々。

 もう一人の女性は出家したい。彼女が言うには結婚すれば最初は優しくしてもらえるが、子供が生れれば必ず向こうの家族とケンカになるのですと。どこの国も考えてる事は変わらないw しかし彼女は一人娘なので父は許してくれない。チベットでは結婚式に持っていくトルコ石を縫い付けた衣装を代々継いでいる。その継承がなくなってしまう。しかし兄がいるし、あなたは自分の道を行きなさいと尼の叔母さんに言われて決心する。泣きながら先祖の衣装を仕舞う母。幼馴染二人は一緒に泣いている。なんで進む道が変わってしまったのだろうと。
 
 結婚式は着々と進み3日間かかる。子作りの歌というのがあって性器型の人形を使いながら歌って見せている。それを見ながらクスクス笑う若い女性たち。肝心の新婦さんは大声で泣いている。一方で尼さんになる女性はインドのダライ・ラマのいる町で修行する事に。村から町に行くまでの過程があまりに苛酷。凍ってる川の上を120キロも移動するんだ。凍ってないと行けないので冬じゃないとならない。しかも完璧に凍ってるわけではないので、一歩間違えば川に落ちて死ぬ。あまりの苦痛に泣きながら進んでいく。この苦行は自由の代償なのだ。亡命チベット人たちが暮らす町で修行。ここでチベット語、英語、哲学、コンピューターを学ぶ。村にいるより全然いいじゃんと。ここで5年間学ぶんだ。でも彼女は寂しくて親友のことばかり考えている。

カミラとダイアナ

2008-01-07 03:00:54 | ドキュメンタリーとかテレビ
 ライバルシリーズ「カミラとダイアナ」見る。故ダイアナ妃とチャールズ皇太子と今でもくっついてるカミラの話。いやこれはすごいわ。チャールズは若い頃にカミラと狩りのサークルみたいな所で知り合った。しかし彼女はなんと既婚者。夫は性格も良くて二枚目らしいが、パーティーでは彼の目の前でチャールズと踊りながらチュッチュしてるという信じられない光景に。ハッハッハ皇太子は私の妻がお気に入りのようですなと言ってたとか。なにこの上流世界w しかもカミラという女性の先祖もまた王様の愛人だったとか。血は争えないのだ。しかしこの二人は結婚できない。なぜならば王室に嫁ぐ女性は処女でないとならないのだ。

 そこで二人で良い女性はいないかと探し出す。チャールズが女友達とパーティーに来てもカミラとばかり話してるんで怒って帰ってしまうような状況だった。そこにダイアナという世間知らずが登場で見事に釣られてしまう。カミラはダイアナの相談役のようになって親しくなる。狩りはやるのかなど聞き出して、いかにカミラが皇太子と一緒にいられるかを探っていたのだ。世間知らずのダイアナはどうやら婚約をしてから二人の異様な関係に気づく。姉に辞めようかと尋ねると彼女は言う「もう結婚記念タオル作っちゃったわよ」。一族のためにもタオルを血で汚せという事だ。

 新婚旅行でケンカになる。カミラと自分を取るのかという当たり前すぎる内容。そしてチャールズは苦痛で一杯の新婚旅行から帰ってすぐに狩りへ。もちろんカミラと会うためだ。そして二人の関係が盗聴で公開されてしまう。「いつも一緒にいられるようにパンツの中に入りたいよフフフ」とかおしゃれな内容w 世界だ最もホットと呼ばれたカップルはどん底へ。ダイアナは離婚してマスコミを利用する。カミラの誕生パーティーにチャールズが行けば、わざと水着姿で泳ぐ。新聞の一面は元皇太子妃の水着になってしまう。そして交通事故死。ダイアナは世界中に悲劇の人として記憶される事に。死んだ事によってチャールズやら王室に復讐したのですよと終わる。

マスターズ・オブ・ホラー「ノイズ」

2007-12-22 03:51:20 | ドキュメンタリーとかテレビ
 WOWOWでやってたTVシリーズであるマスターズ・オブ・ホラーのブラッド・アンダーソンの「ノイズ」を見る。映画「ワンダーランド駅で」で注目して、「マシニスト」と「セッション9」で惚れた。最も注目してる人の一人。どこかアメリカらしくなく、ハリウッドとは無縁な東海岸のダークな匂いがプンプンする作品ばかり。3作すべてに共通する事、それは働くという事で人間性を破壊されていく。そして後者2作に通じるのは精神病の世界。セッション9はそのまんま数千人も収容していた本物の元病院が舞台で、マシニストは罪の意識からくる精神の世界でもある。

 そしてこの作品は異様に耳がよすぎてノイズが聞こえてしまう男の苦悩。企業のコールセンターの管理をしている。数十人がお客様相談室での電話してる姿を上から眺め、従業員の相談が筒抜けでそれを聞いて指導する。能率がすべてであり、一回の相談は数分以内、0コンマの秒世界で管理をしないとならない。ここには人間性など必要ない。利益と能率がすべてなのだ。中には寂しくて誰でもいいから電話をかけてくる人もいる。それに丁寧に対応してる青年がいる。すると怒って呼び出すのだ。一秒も無駄にするんじゃない。でも人間ですよ我々は機械じゃない。君はまだまだ若いな。こんな日常。一日に数百本もの相談を聞いてるという仕事内容。職場では友達もなく陰口をたたかれながら一人で飯を食っている。

 同じような均質の家ばかりが並ぶザ・郊外。健康的で無機質で無農薬で無個性な人々。「シザーハンズ」ばりの均質で人々に潜む性的なものを感じさせる。奥さんは噂話ばかりしている。隣の家の奥さんが妊娠したのよ。旦那は失業中なのにどうするのかしら。あの人が出世してキャリアアップが・・・・。うるさくて耳栓をする夫。不思議なのは彼女と子作りをしてる時だけノイズが苦痛ではない。無意識ではあっても彼の都合によって音は大きくなったり小さくなったり。隣の失業男はごちゃごちゃ話しかけ、家の前ではガキどもが遊び、仕事ではテレビのようにどうでもいい相談、家では奥さんの噂話、もうすべてがウンザリだ。彼には幼い息子がいたが心臓病で亡くなっている。もう少し早く息子の異常に気づいてやれば助かったはず。それから耳が良くなりすぎて苦痛の中を生きている。ノイズがどんどん大きくなり何もかもが鬱陶しい。静寂を求めて彼が取る行動とは・・。

 読めてしまう内容なんだけど楽しめた。職場と家庭の問題をすべて抱え込んだ彼にとってのはけ口とはなんだったのか。息子がいた頃はすべてが上手くいっていた。彼の精神の象徴でもあるこの奇妙な現実は変わってないのだから、息子でバランスを取っていたのではなく喪失で失った。ノイズとはこの現実であり、それによって形成された彼自身の精神でもあり、彼の言っていたくだらないテレビなど=この作品でもある。やはり素晴らしい。

ジャッキーとマリリン

2007-12-21 00:30:14 | ドキュメンタリーとかテレビ
 ディスカバリーチャンネルのライバルシリーズ「ジャッキーとマリリン」見る。ケネディ大統領と不倫していたマリリン・モンローと奥さんのジャッキーのバトル。マリリンは父親を知らず、母は精神病院行き、孤児院育ち。スーパースターの野球選手ディマジオと結婚するもパーティーでケネディと知り合ってできてしまう。当時のケネディはジャクリーンとマリリンの両立状態。ジャクリーンは上流のご令嬢でフランスにも留学していた才女。かたやマリリンは孤児院育ちでアメリカ随一のセックスシンボル。そして父と同じく女狂いのケネディ。面白いのはジャクリーンの父もまた女狂いだったという。なんとも言いがたい不思議な三角関係。

 マリリンは仕事でも本当の自分とは違ったキャラを演じ、不遇な育ちもあって独占欲が強かったのかもしれない。ケネディは奥さんと別れて自分と再婚するんだと本気で思ってたという。なんとケネディはホワイトハウスに呼んで何かやってたり、大統領専用の飛行機にも乗せてたのだ。ジャクリーンは離婚しようとするが、ケネディ父が大金をやる事によって思いとどめたという。皮肉な事に上流出身な彼女の唯一の弱点は金だったんだ。しかもジャクリーンはホワイトハウス訪問のテレビ番組で驚いたことにマリリンそっくりの話し方をお茶の間に披露する。マリリンはホワイトハウスに連絡する。あんたの夫と私は結婚するんでよろしくと。するとジャクリーンは言う「どうぞどうぞ。あなたがファーストレディーになって世界中を周って仕事してください」。ものすごい嫌味で返すという女の喧嘩。二人とも同じ話し方だからどっちがどっちだかわからないじゃないかと笑いながら話す識者。

 肝心のケネディはどう思ってたかというと、マリリンの友達と3人でやろうと持ちかけている。誘われた当事者が証言して言う「マリリンはこう言ったのよ。お国のためだって思えばいいの」。やはりケネディは裏切らないキャラだw やっかいばらいしようと弟のロバートをマリリンに送り込む。するとロバートともできてしまう。またでた血は争えないw マリリンは全部マスコミにぶちまけてやるとわめく。そして睡眠薬を大量に飲んで死んでしまう。枕の中にはホワイトハウスの電話番号の紙切れがあったという恨み節。すぐにケネディも兄弟揃って暗殺という展開に。アメリカ社会のもう一つの側面が見れて面白い。ディスカバリーchは病んだ政治家シリーズもリアルで見ごたえがあったね。
 
 

回復工場の挑戦~アルゼンチン・広がる連帯経済~

2007-12-10 03:31:24 | ドキュメンタリーとかテレビ
 NHK-BSドキュメンタリー「回復工場の挑戦~アルゼンチン・広がる連帯経済~」見る。アルゼンチンでの経営者のいない工場を追うドキュメンタリー。かつては豊かだったアルゼンチン、一方ではゲバラを生んだ国でもある。01年の通貨危機から始まった経済危機によって失業率は20%に達した。現在は穀物の高騰もあってなんとか失業は10%弱だけど、今でも人口の4分の1は平均年収の半額以下で暮らしている。輸出産業は拡大してるが格差もまた拡大中。多くの中小工場は閉鎖され、中高年の従業員は閉鎖されたら路頭に迷ってしまう。これはまずいと”回復工場”の運動が始まったんだ。

 仕組みは経営者の代わりに連帯組合が経営権を乗っ取る。工場の競売を弁護士が裁判所に申請。まず自治体が工場を管理する。それから競売にかけて、全従業員から組織される労働組合の出資と自治体の借り入れで買い取る。そして経営に絡む権利やらの資金を経営者に払うという仕組みらしい。つまりここには経営者はいない。この運動を進める弁護士がいるんだ。彼はスラム出身で船員をやってたが、30代後半に弁護士になったという苦労人だ。ほとんどの従業員は学がないのが見ててわかる。だから経営も大変そう。どうすりゃいいかわからないが税務署に初めて行ったとかそんな人々しかいない。

 ここで驚くのは彼らの賃金体系で、職種、経験年数に関わらずすべてが平等で働いただけの賃金がもらえる。なんと利益の85%を経営陣がぶん取っていたという南米ですよ。だから給料はなんと3倍にアップ。しかし経営に対する知識がまったくない彼らは組合同士で連帯するしかない。そこで組合の会合がある。医療の組合からは医療サービスを提供とか。一方でガソリンスタンドは行政に安全面から営業をストップされそうになるとみんなで助けに行ったりとかしてる。じゃあ肝心の経営者はどう思ってるのだろうか聞きに行く。

 銃と斧を飾る部屋で若い経営者は言う「労働者は投資をしていないじゃないですか。彼らは私の父が作った工場を利用してるだけですよ」。確かにその通り。経営権は世襲から使用人に渡ってしまった。従業員たちは工場に寝泊りしている。経営者が不法占拠だと警察を連れてくる事があるからだ。そのために泊まりながら警戒している。なんとか裁判所から経営の権利を得た彼らは喜ぶ。弁護士は最後に言う「彼らは贅沢な暮らしがしたいんじゃない。最低限の保障がある文化的な生活がしたいだけなんです」。こういった性善説みたいな考えは自身が貧困を知り、衝突が本当に起こる社会だからこそ意味を持つんだろう。

 疑問に思ったのはどうやってまとめてるんだろう。労働意欲は人によって違うだろうから、どうしても差が出てしまう。疑問は結構あったのだけど、自身を取り戻していく彼らは印象的だった。仕事をなくして路上で廃品を拾っていた父が今では工場に息子を連れてくる。そして息子は働くとはこういう事なんだと学んでいく。そこにあるのは労働者たちの信頼や誇りなんだ。