without a trace

ヤマザキ、フリーターを撃て!

レディオ・オン

2008-03-22 04:01:12 | おっぱいなし映画
 映画「レディオ・オン」見る。79年のヴェンダース映画。イギリスが舞台で自殺した兄の原因を探りに故郷に帰る男の話。ヴェンダースのロードムービー3部作に通じる世界観。ジャームッシュが好きな人にはたまらないんじゃないかな。クラフトワークを聞きながら延々と5分間ほどボロボロの車で高速道路を運転するとかそういう内容。主人公はイギリスの音楽専門のラジオ局でDJをやっている。ラジオ局の職員は自分のみ、本職は工員だ。ジレットの工場があって人間性をなくすような労働、そして音楽。兄から誕生プレゼントのカセットテープが来る。クラフトワークのテープで陰鬱な電子音楽が流れる。自称DJの彼のために兄がくれたのだ。

 大島渚を流す映画館がすぐ近くにある家に帰ると女がいる。女は無言でテレビのニュースを見つめる。仕事がなくなったノーフューチャーなロストジェネレーションによる暴動で怠け者たちが逮捕される様子。テレビなど興味ない男はラジオをつける。ポルノ製作で怠け者たちが逮捕です。売春婦が政治家の名前をあげるとか開き直りです。だから何だってんだクソ。兄が自殺したという電話。女とほとんど会話もなく、朝起きたら女はいない。そして物語は始まっていく。やれやれ兄から貰ったクラフトワークでも聞きながら地元に帰るとするか。兄は何で自ら死んだのだろう。

 以下ネタバレ




 冒頭で兄の部屋には文字がある。我々はフリッツ・ラングと電子を通して繋がっている。20年代と80年代は電子でつながり、人間は電子の中を生きてるのだ。彼は電子を通して20年代へ行ったんだろう。映画「メトロポリス」が作られたような時代に。

 じゃあロスト世代はどう生きてるのだろうか。無言でテレビゲームに興じ、パブで飲んでると男が勝手に自分の車に乗っている。会話もなく男を乗せたまま発進する。車内でグラスゴー出身の男の半生がわかってくる。学校辞めたけど仕事なんかないしロンドンへ出る。怠け者達と一緒に麻薬を吸ってホモと遊んで生きてきた。親が死んだから地元に帰ってボタン工場へ入る。毎日毎日プラスチックに穴を開ける仕事だ。嫌になって軍隊へ入る。アイルランドで仲間が襲われて人を殺す。人殺しのスコッティシュ野郎と罵られるのだ。クソな仕事にクソな連中にクソな国。怠け者は暴れ出してトイレに行ったすきに車は発車する。お前のロスト話なんて知るもんか。

 地元に帰ると兄の部屋には女がいる。どうやら彼女は歓迎してくれないらしい。兄の持っていたマイクロフィルムを見る。写し出されるポルノやら、そして兄の写真という怠け者たちの姿。街へ出かけると子供が麻薬を売っている。既に他人に期待しない世代は自分で仕事を見つけてるのだ。彼の教えてくれたディスコへ向かうが外見で立ち入り禁止。どうやらどこにも居場所がないらしい。するとドイツ人の女性が登場。そして話は複雑になっていく。

 この映画で主人公は一切の感情を出さない。泣かず、笑わず、怒らずで不気味でもある。変わりに音楽をかけるというレディオ・オンという行為で自分を曝け出す。彼は電子を通してしか自分を表現できなくなってるんだ。
 イギリス中流層になったドイツ人の移民は小奇麗なお皿を使ってる。それまで登場したイギリス人とは対照的だ。移民は言う「最近の若者は今の事しか考えない」。そんな事ありませんよと言い返す主人公。すべてが嫌になった彼はボロ車で工事現場を酒飲んでひたすらグルグル周る。ラジオが流れる車は崖からはみでたところでエンスト。これは映画「さらば青春の光」のようで明確にこっちは終わりがある。スティングが脇役で出演してるのも共通してる。ラジオのある車を捨てて男は孤独に帰っていくがなぜか明るい。兄がなぜ死んだのかは最後までわからない。しかし彼は明らかに何かを見つけている。それは途中で遭遇するクソな人生を送ってる人々であり、クソな自分の人生に意義を与えていたラジオという無間音楽さえも捨てるほどのものだ。

幸福感

2008-03-13 00:50:48 | ドキュメンタリーとかテレビ
 ディスカバリーチャンネルで「幸福感」見る。恐怖が面白くなかったけどこれは良かった。恐怖で興味深かったのは恐怖は遺伝するのか?母親が広場恐怖症という一家がいて、長女も同じ症状だが長男はまだない。ここで親マウスを使って実験する。マウスに理不尽に電気ショックを与えた場合とそうでない場合。恐怖を植え付けられてるマウスに育てられると子供マウスもまた恐怖を感じやすくなる。そこで子供マウスをそうでないマウスのもとで育てると違う。つまり恐怖症は環境要因も大きい。

 そして幸福感。インドには笑う会というのがある。集まってみんなで大笑いしてるだけという会。お互いに意味もなく大笑いしてる。これには科学的な根拠がちゃんとあるらしい。笑ってると免疫が強くなったり本当にハッピーに感じるのだとか。

 アメリカでは面白い実験をしてる。世界中の様々な立場の人々にPDAを配る。そして「今あなたは幸せだと感じますか?」という質問を一日に何回か送る。一人でいるのか、仕事中なのかなど統計を取る。すると人々はほとんどの人が何もなくても幸福らしい。もっと統計を取って国別やら経済状況などのカテゴリー別にしてみる。すると面白い結果が。日本やアジア系アメリカ人はかなり低い幸福感を示している。社会が急変した旧東ドイツのレベルとあまり変わらない。アメリカでも貧しい人々が多いヒスパニックはなぜか幸福感が高い。インドもなぜか高い。そしてムンバイのスラム街に行ってみる。狭い家に10人もが暮らしてる。しかし彼らは笑いが絶えず、感謝してますと言いながら食事をして幸せだといいながら眠りにつく。ここで示されてるのは幸福とは金では決して買えないという事が証明される。

 EQのダニエル・ゴールマンが出てくる。幸福を感じる脳に異常が起きてバランスを失ったのがうつ病らしい。そこで瞑想を定期的に学ぶグループと普通のグループで脳の検査をしてみる。MRIで脳の動きを電力を流したりして検査してみる。すると数ヶ月していくと明らかに違いが出てくる。瞑想グループは免疫が強いんだ。これを発展させてチベット仏教の坊さんを連れてくる。彼はフランス人で元々は科学者だった。それが目覚めてしまってチベットに出家してしまった。だから彼はチベットだけでなく西洋社会を知っている。MRIを使いながら瞑想してもらう。そして悲鳴や赤ちゃんの鳴き声など様々なストレスを感じるような音を出してみる。やはり通常の人間とはまったく違う。つまり心とは鍛錬できることになる。ストレスを和らげる脳を自分自身で作れるのだ。