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ヤマザキ、フリーターを撃て!

サーフワイズ

2010-07-17 03:14:44 | ドキュメンタリーとかテレビ
 MXテレビ「未公開映画を観るTV」の「SURFWISE」見る。サーフィンに人生を捧げた家族の話。知らなかったのだけどアメリカではサーフィンてのは精神性も重要視されてて禅のような扱いもあるのだとか。またヒッピーの流れがあって社会に対する反抗でもあるのだとか。前半はこの家族の父と母の話で後半は子供たちの話で面白い。父は80歳を超えてて30年代くらいからサーフィンをやってた男。元々はスタンフォード大学の医学部を出ていて超優秀な医者。サーフィンがやりたくてハワイに移住してしまう。ハワイの医師会でボスみたいになって勝ち組ライフ。だがそこで奥さんを日本人に取られてしまう。40年代に日本人に取られたというのはすさまじい屈辱だったろう。そしてこの爺さんは離婚して世界中を自分探しの旅に出る。ユダヤ系なのでイスラエルで兵士になろうとするも断られる。そして自由なセックスライフでついに目覚めました。何十人もの女性を理系チックにセックスの採点始めました。そしてアメリカに戻ってメキシコ人の女性と結婚する。私の人生はセックスによって変わったのだと熱く語る爺さん。子供は八人くらい作って車で暮らす。この父は社会のすべての元凶は資本主義と金であると目覚めてしまうのだ。時は60年代になると彼の意見もまた認められる。そして一家は労働と教育の放棄を始める。子供は学校へ行かず、父も母も働かないで暮らす。どうやって生計を立ててるかというと物々交換やヒッピー仲間の施し。それに父は医者だから患者を診たり。貧困家庭だが毎日サーフィンづくし。海で夏のサーフィンキャンプを企画してこれが大ヒット。子供たちがサーフィンを学びながら集団生活すると。これでえらく儲けたらしい。ここまでが前半でそれなりに幸せそうだ。

 そして後半は子供たちの言い分。彼らは学校へ通ってないので学歴がない。マスコミは早くから変人一家がいると追っていた。しかも子供たちはサーフィン大会で優勝する。両親はサーフィンとセックスが生きがいなので子供たちが目の前でも繰り広げる。そこで問題が起きてきて子供たちに性欲が出てくるも外の子達と交流がないから相手がいない。母親は息子たちにこうやるのよとあそこに指を入れさせたとかあっけらかんと語る。笑顔で話す内容なんすかというドキュメンタリー。次第に子供たちは反抗してみんな家を飛び出す。かといって学歴がないから会社なんかに勤めることはできない。だけど音楽や映画だとかの業界でそれなりに成功してしまう。皮肉というか兄弟で最もサーフィンだけに人生をかけていた男は子供が自閉症に。父も彼にサマーキャンプの権利を譲ろうとするが兄弟でもめる。彼らが社会に出てわかったのは「世の中のすべては金である」ということ。80年代頃に社会に出て行った彼らにとっては特にそう感じる。いかにいい暮らしをするかという権利がサマーキャンプであり父が年をとったら内輪でもめる。息子たちは父親の生き方の押し付けが我慢できない。医者になりたくてもみんなに追いつくには10年かかると言われて諦めたりしてる。父は息子たちを殴ったりしながらサーフィンばかりさせてきた。自分は学歴もあるし医者という免許もあるからいざ困ることはまずない。だが子供たちはそうはいかない。父と子供たちの確執、キャンプを巡っての兄弟同士の確執で離れ離れに。そんな一家が再会して終わっていく。長男は言う「人生は長くもあり、短くもある。後悔はしたくないんだ」。家族と離れて世間で生きてきた男の言葉で心にしみる。兄弟は「問題はあっても家族は家族なんだ」と。父が最も嫌った金と労働に悩まされる子供たちがわかりあっていく。