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フランス語読解教室 II

 多様なフランス語の文章を通して、フランス語を読む楽しさを味わってみて下さい。

ミッシェル・トゥルニエ「魂と肉体」(1)

2016年02月10日 | 外国語学習

[注釈]
 *sa situation ici et maintenant : sa は、もちろん「肉体の」ということです。
 *Et de quelle exigences… : être d'un +形容詞で感嘆文となります。ex. Ce ciel est d'un bleu ! le siège とは、肉体としてこの世に留まることでしょう。

[試訳]
 「魂と肉体」
 魂とは、肉体に住まう、不可欠で、永遠不変の要素である。それは宗教的な概念であり、精神と混同されてはならない。文化も、記憶も、想像力も精神に属し、それらは年齢により、状況により変化しうる。眠っている者、酔っ払い、狂人は、その精神状態によって規定されるのであって、それぞれの魂によってではない。魂は命のある間だけ肉体に囚われている神的な光明である。死は魂の解放なのだ。
 これが、魂と肉体の関係についての、プラトン的、ネオプラトン的、キリスト教的なおおよその考え方だ。それは、肉体により魂に課せられた物理的な隷属を強調する。肉体とは、空間と時間における、今・ここの状況であり、弱さであり、老いであり、欲求であり、病である。またそれは栄養を与え、衣服をまとわせ、手入れをされなければならない。肉としてこの世に居座ることは、なんと面倒な、なんと苦しみの多いことだろう!
…………………………………………………………………………………………
 misayoさん、Mozeさん、訳文ありがとうございました。いかがでしたか。歯切れのよい文章とは、こういうもののことを言うのでしょうね。
 さて、このテキストを年度内に読んでしまいたいので、少し変則的になりますが、次回を17日として、un aussi adimirable compagnon. までの試訳をお目にかけます。そして、24日(水)を今年度最終回とし、et l'impassibilité. までを読みます。
Shuhei



2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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L'ame et le corps (misayo)
2016-02-12 21:37:51
 こんにちは、みさよです。前回の不明な点をご説明いただき、ありがとうございました。まだまだ勉強不足ですが、楽しく読んでいます。今回もよろしくお願いします。

 ルネッサンスの解剖学的研究によって花開いたもうひとつの見解によれば、私たちの肉体は比類のない研究対象と言える。肉体は私達に自然の法則について、他のどんなものよりも教えてくれる。というのも私達はその内部に住んでいるからだ。その研究は私達を驚きと賞賛で満ちあふれさせる。古代の彫刻は、その外面の美しさを褒めたたえた。解剖学と生理学は私達に、肉体がいかに素晴らしく構成された機械であるかを教えている。たしかに肉体は傷つきやすいが、それは同時に有能であるからなのだ。もし物質界で行動することを望むなら、人は苦しむリスクを受け入れなければならない。魂は具体的な生活に溶け込むために、この精密な道具を自由に使えることを喜んでいるに違いない。そして肉体が死んだ暁には、こんなにも素晴らしい伴侶から別れることを悲しむに違いない。
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Lecon329 (Moze)
2016-02-16 11:45:04
il nous en apprend plus.... の en は etude でよいのでしょうか? 「体は最後のとりで」とどこかで読んだことがあります。体はほんとうによく働いてくれていると思います。いたわらないといけませんよね・・・。
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別の見解によれば、―それはルネサンスの解剖学者たちの探究とともに展開されたものであるが―私たちの体は類まれなる研究の対象となる。体は、自然の法則に関する研究について、どんな他のものよりも私たちに教えてくれる。というのも私たちは体を内側から、身をもって体験するからだ。体を研究することは、私たちを驚きと感嘆で満たすばかりだ。古代の彫刻家は、体の外側の美しさを称えた。解剖学と生理学は、体がどんなにすばらしく整えられた機械であるかを私たちに伝えている。確かに体は壊れやすいけれど、それは体がよく働くからでもある。物質的な世界に生きることを望むなら、苦しむことも受け入れなければならない。心は、実質的な生の中に根を下ろすために、この精密機械に思うままに宿ることに満足しているにちがいない。そして体に死が訪れる日には、心はかくもすばらしい道ずれと別れることを嘆かなければならないのだ。
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