post-scriptum ふうにつぎの Lecon の予定を書いておきます。
今年度前期に読んで特に印象深かった本は,愛敬浩二ほか『対論 憲法を憲法からラディカルに考える』(法律文化社)と、大澤真幸『<自由>の条件』(講談社)の二冊です。
前者は法学者とそれ以外の分野の社会科学者とのかなり白熱した討論をまとめたものです。とくに第II部「愛国心と教育」と題された、法学者西原博史と社会学者北田暁大との対談が大変面白いものでした。安倍政権以降の教育改革と若者をモンスター視する社会のつながりなど,示唆に富む議論に知的な興奮を覚えました。
また後者、これも社会学者大澤真幸の浩瀚な著作は、資本主義が隆盛を極めているはずの現代において、本来であれば社会に充溢しているはずの「自由」がどこか影が薄く,人々に実感されないメカニズムを浮き彫りにし、現代においてなお可能な<自由>の条件を追求した野心作です。ぼくの知る限りでは,この書物の本格的な書評は書かれていないように思うのですが,興味のある方は,『群像』7月号に掲載された大澤真幸・松浦寿輝の対談「他者なき時代の自由」を是非ご一読下さい。新作の宣伝も兼ねた、著者自らによる本の紹介となっています。
この大澤の最新作に導かれるようにして,じつはここのところフロイトの著作をぱらぱらと読み返しています。フロイトの作品はこの教室でも一度扱ったことがありますが,それで、Rentre'e scolaire 以後しばらくは、今一度フロイトの思想を振り返るために,ラカン派の精神分析家 Octave Mannoni << Freud >> (Seuil,1968)を読むことにします。
この調子だと残暑も相当厳しくなりそうですが,みなさんまたよろしくおつき合い下さい。
smarcel
今年度前期に読んで特に印象深かった本は,愛敬浩二ほか『対論 憲法を憲法からラディカルに考える』(法律文化社)と、大澤真幸『<自由>の条件』(講談社)の二冊です。
前者は法学者とそれ以外の分野の社会科学者とのかなり白熱した討論をまとめたものです。とくに第II部「愛国心と教育」と題された、法学者西原博史と社会学者北田暁大との対談が大変面白いものでした。安倍政権以降の教育改革と若者をモンスター視する社会のつながりなど,示唆に富む議論に知的な興奮を覚えました。
また後者、これも社会学者大澤真幸の浩瀚な著作は、資本主義が隆盛を極めているはずの現代において、本来であれば社会に充溢しているはずの「自由」がどこか影が薄く,人々に実感されないメカニズムを浮き彫りにし、現代においてなお可能な<自由>の条件を追求した野心作です。ぼくの知る限りでは,この書物の本格的な書評は書かれていないように思うのですが,興味のある方は,『群像』7月号に掲載された大澤真幸・松浦寿輝の対談「他者なき時代の自由」を是非ご一読下さい。新作の宣伝も兼ねた、著者自らによる本の紹介となっています。
この大澤の最新作に導かれるようにして,じつはここのところフロイトの著作をぱらぱらと読み返しています。フロイトの作品はこの教室でも一度扱ったことがありますが,それで、Rentre'e scolaire 以後しばらくは、今一度フロイトの思想を振り返るために,ラカン派の精神分析家 Octave Mannoni << Freud >> (Seuil,1968)を読むことにします。
この調子だと残暑も相当厳しくなりそうですが,みなさんまたよろしくおつき合い下さい。
smarcel