◆2008年、グラスゴーで極めて致死性の高いウィルスが発生し、イギリス政府は発生地区を含むスコットランド全域を隔離、高さ9メートルの鋼鉄の障壁を巡らし、脱出しようとするものは無差別に射殺することで完全に封鎖した。食料や医療援助はもちろん、外部からは何一つ支援を行わず、隔離された人々が死滅することを願って。隔離は成功したが、イギリスは世界中から非難を受け、経済も壊滅的な打撃を受けていた。
2035年、ロンドンで同じウィルスが発生する。政府はまた、隔離による封じ込めでウィルスを死滅させようとするが、場所は経済の中心地ロンドン、対象は1200万人に及ぶ。ただ封鎖して人間ごと死滅させるだけでは事は済まない。隔離に反対する保安部のネルソン長官(ボブ・ホスキンス)は、首相から思わぬことを聞かされる。監視衛星からの報告によると、生存者ゼロと思われていた最初の隔離地区には、3年前から生存者の存在が確認されているという。隔離地区に取り残されたケイン博士(マルコム・マクダウェル)が抗ウィルス剤を開発したものと確信した政府は、かつて見捨てた地に科学者と軍人からなるチームを送り込み、抗ウィルス剤の確保を試みる。チームのリーダー、エデン・シンクレア(ローナ・ミトラ)は、幼い日に隔離地区に母を残したまま連れ出された過去を持っていた。チームに与えられた時間は48時間。
◆始めに警告しておくが、ニール・マーシャル監督作品だけに、一筋縄ではいかないおどろおどろしさがある。低予算だった一作目の『ドッグソルジャー』はともかく、二作目の『ディセント』は絶望を絵に描いて額に入れたような、完成度の高い恐怖映画だった。私はスジガネ入りのホラー映画大好き人間だが、『ディセント』の絶望感だけは、二度味わいたいとは思わない。三作目である本作も、違う系統の圧迫感で観る者を圧迫する。おもに、エグイ部分で。それを承知で観る方以外は途中で厳しいことになるかもしれないので、それ相応のお覚悟を。
物語は、『ニューヨーク1997』『サイレントヒル』『マッドマックス2』『エイリアン2』などをはじめとする様々な映画のエッセンスをふんだんに盛り込みつつ、サービス精神てんこ盛り、エグイ描写もてんこ盛りで進む。私は「うわ~」と言いつつ、しっかり引き込まれて観てしまった。エグイ部分を除いて言えば、とても良く出来た映画だと思う。非情な世界観、隔離された地域の造形、最新型のテクノロジーから中世の剣戟までを上手に盛り込み、ノンストップで突き進む。ただし、ニール・マーシャル監督だけに、ラストは「をい、フツーそっちに行くかぁ!?」というエンディング。なので、爽快感は求めずに観るのが吉。
本作の主人公、エデンを演じるローナ・ミトラは、『アンダーワールド・ビギンズ』で可愛くない姫を演じた女優さん。「セリーン(ケイト・ベッキンセール)に似ている」という設定だったので、確かに無理はあった。ただ本作では、非情に徹する強い戦士という役どころなので、女性的な柔らかさを感じさせないアクションで健闘している。ちなみに、装甲車を運転するリード伍長役は、『ディセント』でホリーを演じたノラ=ジェーン・ヌーン。
さて、重箱ツツキストとして本作を観直してみると、それなりにツッコミドコロはある。いや、無きゃおかしいんだ、この場合。27年間衛星から監視されていた土地で、3年前まで生存者を確認できなかった、なんてことはあるはずがない。夜に火を焚いたら、それだけで空から見えるんだから。それに、イギリス全土、場合によっては世界全体が滅びるかもしれないという状況で、命運をかけた任務に僅か数人のチームを派遣するなんてことは、どこから見ても非現実的。スコットランド上空は飛行禁止空域という設定だが、それは政府が決めたことだから、政府が軍を派遣する際に航空機を使えないはずがない。航空機による迅速な調査を行い、戦車を目的地に空輸してしまえば済む。それなら目的地までは安全に行かれるし、火炎瓶や斧で暴徒が襲いかかっても痛くも痒くもない。他にも、27年経っても新品同様に使えちゃう数々の器材が物語の重要な要になっているのだが、どう考えてもそれはないぞ。そもそも、ウィルス感染に関する防疫処置が、途中から一切忘れられちゃってるところが.....。でも、そんなことどうでも良い映画なんである。
2035年、ロンドンで同じウィルスが発生する。政府はまた、隔離による封じ込めでウィルスを死滅させようとするが、場所は経済の中心地ロンドン、対象は1200万人に及ぶ。ただ封鎖して人間ごと死滅させるだけでは事は済まない。隔離に反対する保安部のネルソン長官(ボブ・ホスキンス)は、首相から思わぬことを聞かされる。監視衛星からの報告によると、生存者ゼロと思われていた最初の隔離地区には、3年前から生存者の存在が確認されているという。隔離地区に取り残されたケイン博士(マルコム・マクダウェル)が抗ウィルス剤を開発したものと確信した政府は、かつて見捨てた地に科学者と軍人からなるチームを送り込み、抗ウィルス剤の確保を試みる。チームのリーダー、エデン・シンクレア(ローナ・ミトラ)は、幼い日に隔離地区に母を残したまま連れ出された過去を持っていた。チームに与えられた時間は48時間。
◆始めに警告しておくが、ニール・マーシャル監督作品だけに、一筋縄ではいかないおどろおどろしさがある。低予算だった一作目の『ドッグソルジャー』はともかく、二作目の『ディセント』は絶望を絵に描いて額に入れたような、完成度の高い恐怖映画だった。私はスジガネ入りのホラー映画大好き人間だが、『ディセント』の絶望感だけは、二度味わいたいとは思わない。三作目である本作も、違う系統の圧迫感で観る者を圧迫する。おもに、エグイ部分で。それを承知で観る方以外は途中で厳しいことになるかもしれないので、それ相応のお覚悟を。
物語は、『ニューヨーク1997』『サイレントヒル』『マッドマックス2』『エイリアン2』などをはじめとする様々な映画のエッセンスをふんだんに盛り込みつつ、サービス精神てんこ盛り、エグイ描写もてんこ盛りで進む。私は「うわ~」と言いつつ、しっかり引き込まれて観てしまった。エグイ部分を除いて言えば、とても良く出来た映画だと思う。非情な世界観、隔離された地域の造形、最新型のテクノロジーから中世の剣戟までを上手に盛り込み、ノンストップで突き進む。ただし、ニール・マーシャル監督だけに、ラストは「をい、フツーそっちに行くかぁ!?」というエンディング。なので、爽快感は求めずに観るのが吉。
本作の主人公、エデンを演じるローナ・ミトラは、『アンダーワールド・ビギンズ』で可愛くない姫を演じた女優さん。「セリーン(ケイト・ベッキンセール)に似ている」という設定だったので、確かに無理はあった。ただ本作では、非情に徹する強い戦士という役どころなので、女性的な柔らかさを感じさせないアクションで健闘している。ちなみに、装甲車を運転するリード伍長役は、『ディセント』でホリーを演じたノラ=ジェーン・ヌーン。
さて、重箱ツツキストとして本作を観直してみると、それなりにツッコミドコロはある。いや、無きゃおかしいんだ、この場合。27年間衛星から監視されていた土地で、3年前まで生存者を確認できなかった、なんてことはあるはずがない。夜に火を焚いたら、それだけで空から見えるんだから。それに、イギリス全土、場合によっては世界全体が滅びるかもしれないという状況で、命運をかけた任務に僅か数人のチームを派遣するなんてことは、どこから見ても非現実的。スコットランド上空は飛行禁止空域という設定だが、それは政府が決めたことだから、政府が軍を派遣する際に航空機を使えないはずがない。航空機による迅速な調査を行い、戦車を目的地に空輸してしまえば済む。それなら目的地までは安全に行かれるし、火炎瓶や斧で暴徒が襲いかかっても痛くも痒くもない。他にも、27年経っても新品同様に使えちゃう数々の器材が物語の重要な要になっているのだが、どう考えてもそれはないぞ。そもそも、ウィルス感染に関する防疫処置が、途中から一切忘れられちゃってるところが.....。でも、そんなことどうでも良い映画なんである。