small_happiness
   Farsideの過去ログ。




◆オートボット(サイバトロン)とディセプティコン(デストロン)の激戦に巻き込まれ、サイバトロンと共に地球を守ったサム(シャイア・ラブーフ)は、そんなことなどすっかり忘れて、名門プリンストン大で楽しい大学生活の第一歩を踏み出そうとしていた。唯一の気がかりは、地元に残していくガールフレンドのミカエラ(ミーガン・フォックス)のこと。でも、遠距離恋愛も、チャット・デートで何とか乗り切れるはず.....。
 地球に残ったサイバトロン達は、米軍の対デストロン特殊部隊・NESTと共に、メカに偽装して隠れているデストロン掃討を行っていた。デストロンの脅威は順調に駆逐され、事態は終息していくかに見えた。だが、デストロン側は反撃の機会を狙いつつ、強大な力をもたらすある秘密を探し求めていた。そして今回も、戦いの焦点にはサムがいた。


◆物語的には「地球の命運を握る一人の少年がサイバトロンと共に戦い、命がけで平和を守りました」という話になる。物語の骨格は前作と全く同じで新しい部分はないが、3億ドルの巨費を投じて作られた続編は、凄まじい物量で画面を転げ回るアクションCG大作となった。いや、この破壊しまくりは本当に凄い。ド派手なメカのアクション、コミカルな笑い、ストレートなお色気、そして、子供には分からないブラックな笑いのてんこ盛り。多少長いシーンもあるが、コッテコテの150分で退屈はない。これに比べたら、『ターミネーター4』なんて地味なアクションである。(いや、『T4』だって、ターミネーター・シリーズだと思わなければ、そこそこ面白い映画なのだが)


 メカのCGやアクションに関しては、最新の技術と膨大な予算をつぎ込んだおかげで、他に類を見ないものになっている。現在のCG技術は生き物を描く領域にまでは至っていないが、メカを描くには十分な長足の進歩を遂げている。あとは、派手な実写部分を撮り、上手く合成する予算が取れるかどうかが勝負だが、その点もばっちり。
 サムの初めての愛車、いつもそばにいて彼らを守るバンブルビーを初め、メカ達は前作以上にコミカルで人間臭くなった。喧嘩もすれば宗旨替えもありで、サイバトロン・デストロン共に、十分観客を笑わせてくれる。サムの恋人のミカエラはセクシー度を増し、プリンストン大では、これまたセクシーなアリス(イザベル・ルーカス)に強引に迫られる。恋と誤解とハラハラはもちろん、家族愛まで盛り込む作りは密度が高い。しかし何よりも、大人だけに分かるブラックな笑いが凄い。


 米軍であるNESTとサイバトロンが、隠れ潜んでいたデストロンを追って上海に乗り込み、破壊の限りを尽くす。パトカーを踏みつぶし、マシンガンをぶっ放し、ロケット弾を撃ちまくる。どんなに少なく見積もっても100人ぐらいは中国人の死者が出ているはずだが、それはガス爆発として処理され、報道されない。アメリカでの戦闘は、沈められた空母や軍艦まで含めれば軽く1万人は死んでいるだろう。街中が破壊されても死者や怪我人は一人も写さないというのがこの種の映画の鉄則で、この映画もそのあたりはきちんと守っている。NESTの兵士以外に死者をあからさまに描くことはしないのだが、唯一の例外が冒頭の上海のシーン。「おいおい、中国人だったら踏みつぶしてもいいのか?」と、思わず突っ込みを入れそうになった。他にも世界各地の名所旧跡を破壊しまくるこの映画、ぶっ壊し系としては爽快、かつブラックな大作である。二度観る気にはならないが、頭を空っぽにして楽しむにはいい映画だろう。


 おそらくはかなりな興行成績を上げるであろうこの映画、筋立て的にもきちんと続編を意識しているし、主人公のサムを「運命の男」として中心に据えているので、次回作もシャイア・ラブーフ主演で映画化されることだろう。ただ、二作目でこれだけド派手にやってしまった以上、スケールアップのみで三作目につなげることは難しいだろう。次回作は、かなりヒネリの入った脚本にして欲しいところだ。


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