有名な鳴滝に籠った道綱の母のくだりです。
兼家の昇進は順調にすすんでいました。
2年前、新居の東三条邸も建てられ、そこに迎えられるのはだれか、
作者は期待していたのですね。
それは正妻の地位、を意味したのです。
選ばれたのは時姫、
身分的には遜色ないのですが、
長男道隆をはじめ男3人、この時点ですでに入内を果たした超子、後の一条母となる詮子、
と子沢山の強み、デ―ンと構えるおおらかさ、
時の権力者の妻としての力量、それを買われた。
その選択に抜かりなかった、兼家の目に狂いはなかったわけです。
そしてなにより、時姫腹の息子たちと道綱の出来が、決定的だったのでしょうね。
作者は、母に死なれ正妻の座も得られず、すっかり厭世感にとらわれ、
出家を志すも、兼家とのきずなも断ち切ることができずに悶々とする日々のなか、
近江の女、の出現で、今風にいえば、壊れてしまったのね。
長精進のため鳴滝へ、とむかったのでした。
兼家、体面を恐れ、すぐに迎えに出向くも追い払われる、
怒った兼家は使者送り、脅します。
家刀自(家政を司る侍女)は高圧的に言います。
出家した、とならばしかたがないが、そうでないなら、
こんなことがいつまでも続けられるはずもない、
殿さまがなにも言わなくなってから帰京したら、それこそ世間の物笑いというもの、
いまのうちに帰るのが身のため、
なんのためのお籠りかわからないような道綱まで連れて、可哀そうでしょう…
誇り高き歌人の作者を説得どころか、ますます意固地にしてしまうのですが、
痛いところをついているのですね。
常識的には使者の言うことは、正論。
とくに道綱はこのとき17歳、元服も終え叙爵されているのだから、
殿上人としての教育がいま一番必要なとき。
それなのに、母親に連れられて目的もない精進をして暮らしているのだから、
道隆など三兄弟に遅れをとること、はなはだしいわけです。
道綱の母は、賢母ではない、
当時の貴族の母としての役割をはたそうとは思ってない、
兼家との愛情のみを頼りに、道綱は夫婦の絆しとしてしか、みてない。
歌人だから、しょうがないのでしょうかね。
それにしても17歳にもなっている息子を、幼き人、という。
母の弱み、まるごとつづる、
こうして作者がみずからをさらけだす、このかげろふ日記、
平安の女性たちは、共感をもって読み、
他人ごとではない嘆きを共有していたのですね。
兼家の昇進は順調にすすんでいました。
2年前、新居の東三条邸も建てられ、そこに迎えられるのはだれか、
作者は期待していたのですね。
それは正妻の地位、を意味したのです。
選ばれたのは時姫、
身分的には遜色ないのですが、
長男道隆をはじめ男3人、この時点ですでに入内を果たした超子、後の一条母となる詮子、
と子沢山の強み、デ―ンと構えるおおらかさ、
時の権力者の妻としての力量、それを買われた。
その選択に抜かりなかった、兼家の目に狂いはなかったわけです。
そしてなにより、時姫腹の息子たちと道綱の出来が、決定的だったのでしょうね。
作者は、母に死なれ正妻の座も得られず、すっかり厭世感にとらわれ、
出家を志すも、兼家とのきずなも断ち切ることができずに悶々とする日々のなか、
近江の女、の出現で、今風にいえば、壊れてしまったのね。
長精進のため鳴滝へ、とむかったのでした。
兼家、体面を恐れ、すぐに迎えに出向くも追い払われる、
怒った兼家は使者送り、脅します。
家刀自(家政を司る侍女)は高圧的に言います。
出家した、とならばしかたがないが、そうでないなら、
こんなことがいつまでも続けられるはずもない、
殿さまがなにも言わなくなってから帰京したら、それこそ世間の物笑いというもの、
いまのうちに帰るのが身のため、
なんのためのお籠りかわからないような道綱まで連れて、可哀そうでしょう…
誇り高き歌人の作者を説得どころか、ますます意固地にしてしまうのですが、
痛いところをついているのですね。
常識的には使者の言うことは、正論。
とくに道綱はこのとき17歳、元服も終え叙爵されているのだから、
殿上人としての教育がいま一番必要なとき。
それなのに、母親に連れられて目的もない精進をして暮らしているのだから、
道隆など三兄弟に遅れをとること、はなはだしいわけです。
道綱の母は、賢母ではない、
当時の貴族の母としての役割をはたそうとは思ってない、
兼家との愛情のみを頼りに、道綱は夫婦の絆しとしてしか、みてない。
歌人だから、しょうがないのでしょうかね。
それにしても17歳にもなっている息子を、幼き人、という。
母の弱み、まるごとつづる、
こうして作者がみずからをさらけだす、このかげろふ日記、
平安の女性たちは、共感をもって読み、
他人ごとではない嘆きを共有していたのですね。
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