紫苑の部屋      

観劇・絵画と音楽・源氏物語      
について語ります        

十月大歌舞伎ー夜の部

2019-10-17 20:41:05 | 観劇
↑二人静

甚大な被害の台風一過、歌舞伎座休演から辛うじて免れての14日、
いつものように観劇できることの幸せ、無事であったことの感謝、
そして同じような気持ちなのでしょうか、公演再開した俳優陣の熱意がよく伝わる舞台でした。

三人吉三
よく考えたら、勘三郎&福助&橋之助、勘九郎&七之助&松也だったか、
この間ずっとコクーンで観てきたのですねー
歌舞伎座の三人吉三は、
とても新鮮で、やっぱりオリジナルは素晴らしい!
松也くん、抜擢のお嬢吉三、はじめはかすれた声が気になりましたが、幕が進むにつれ熱が入ってきました。
ベテラン松緑の、義に殉じる心意気が、他の二人のホモセクシャルな関係性を浄化し
やはり義に生き、義侠心に殉じることを選ぶ、流れをつくっていました。

大詰で、お嬢・お坊が刀と百両を託し、心置きなく死出の門出とする場面、
ちゃんと用意してあったのですね、黙阿弥作品はよく出来てます。


この大詰の場面は「初櫓噂高音」という浄瑠璃が終始語られています。
この浄瑠璃が、早春の雪のなか三人の運命にいっそう詩情をかりたててくれます
清元 と義太夫の掛け合いです。
清元の歌い出し
  春の夜に降る泡雪は軽くとも
  罪科重き身の上に吉三々々も世を忍び
  派手な姿も色さめて

竹本がうけ
  去年の椿の花もろく落ちて
  ゆくえは白妙の
  四つの街や六つの花


二人静
題材となっている能の二人静をほとんどなぞっています。

正月7日の七草を摘みに菜摘川に下りてきた、ツレ児太郎&若菜摘の前に
女の霊&前シテ玉三郎が現れ、自らを回向してほしいと願う。
若菜摘は、吉野山の山上の勝手神社に戻って神職&彦三郎に告げます。
(この勝手神社は捕らわれの身となった静が法楽の舞を舞ったゆかりの地)
そこで、若菜摘にのりうつった児太郎&静と後シテ玉三郎&静の霊の登場となり、
神職が舞を所望して、二人静の舞となります。

若い児太郎は、玉三郎とはまた異なる初々しい美しい舞で、
福助さんの心持をおもって、胸があつくなります。

児太郎さんをはじめ、三人吉三のおとせ&右近、十三郎&巳之助さん世代、
頑張ってます、なので
パンフにはもう少しアップ、芝居の衣裳で写ってもいいのではないでしょうか。

2019/10/14 歌舞伎座夜の部 観劇
↓配役
三人吉三巴白浪
序幕 大川端庚申塚の場
二幕目 割下水伝吉内の場
    本所お竹蔵の場
三幕目 巣鴨吉祥院本堂の場
    裏手墓地の場
    元の本堂の場
大詰   本郷火の見櫓の場
  浄瑠璃「初櫓噂高音」
 和尚吉三  松緑
 お坊吉三  愛之助
 お嬢吉三  松也
 手代十三郎 巳之助
 伝吉娘おとせ 尾上右近
 釜屋武兵衛 橘太郎
 八百屋久兵衛 橘三郎
 堂守源次坊 坂東亀蔵
 土左衛門伝吉 歌六
二人静
 静御前の霊 玉三郎
 若菜摘   児太郎
 神職    彦三郎

最新の画像もっと見る

コメントを投稿