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中将姫の雪責め-2月文楽公演

2019-02-15 16:15:07 | 観劇
2月文楽公演第三部は阿古屋の琴責めともう一つ、中将姫の雪責めがあります。
はじめて観ました。
皇位継承をめぐる権力争いを題材にした王朝もの、ですが、
古典文学の定番である、継子物語が組み込まれていて、
分かりやすい筋書きです。
歌舞伎でいう、乳母たちのぶっかえりもあり、
加賀見山の岩藤の草履打のような折檻、雪責めも
降りしきる雪と、
上着を剥ぎとられた姫の襦袢の鴇色、しごきの浅葱色
この色彩の美がすばらしい。

とはいえ、厳寒のなかを引きずり回される姫のようすに、
冷水を浴びせかけられた少女の姿を、つい重ねてしまうのは、
わたしだけでしょうか。

中将姫の伝説は、蓮糸で織ったという当麻寺の曼陀羅、で有名ですが、
これもわたしは、折口信夫の死者の書、を思い浮かべてしまいます。
 した した した。
 こう こう こう。
この独特な擬音で、死者大津皇子と彷徨い出た中将姫こと郎女の
魂の交信が語られていくわけですが、
中将姫の雪責め、から逃れていく先の鶊山―当麻寺のある二上山
そこに葬られた大津皇子
この二つの伝承・伝説を詩的に、幻想的に昇華させている、
すごい世界です。

それはともかく、
蓑助の中将姫、平成最後の文楽で、それが観れてしあわせでした。

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