ライオンの詩 ~sing's word & diary 2

~永遠に生きるつもりで僕は生きる~by sing 1.26.2012

さよなら、はちみつカフェ。13

2019-05-30 02:36:53 | Weblog


キムキムにーやんの所には、11個ほどの巣箱がある。らしい。

キムキムにーやんが言っていた。
「分峰がうまくいったら、またあげられるかもしれないからな、期待せずに待っとけ」

期待しているのである。実は、期待しているのである。だって、ハチさんに逢いたい。

でも、キムキムにーやんはこうも言っていた。
「順番があるからな。期待せずに待っとけ」

つまり、去年僕がハチの群れを貰えたように、今年もハチの群れを貰いたい人がいて、その人たちのリストがあって、そのリストには順位が付いていて、その順番が回って来るまで、つまり、運良くハチの分峰の回数が重なれば、僕の所へハチの群れが来るかもしれないという話。

ほんの少しだけ期待しているのである。

ある日のこと、電話が鳴った。発信元はキムキムにーやんである。

もしもし?

あのな、うちのハチもアカリンダニにやられた。二つの巣箱を残して、あとは全部やられた。

えっ?ほんとに?

だから、今年は、無理だ。今年は、あげられない。申し訳ない。

キムキムにーやんは、本当に優しい人だなぁと、僕は思った。

大丈夫っす!おれ、待ち箱をたくさん仕掛けましたから!

全然入る気がしないんですけどね、とは言わない。絶対に入るわけないっすけどね、とも絶対に言わない。

今年は、キムキムにーやんの周りの人もアカリンダニの被害に遭っているというような話をしていた。11箱のうち9個もやられたなんて・・・。

僕は、仕掛けた待ち箱の隣に佇みながらつぶやく。

「はちみつカフェは、終わりになりました。始まってないけど」

さようなら、はちみつカフェ。始まってないけど。

さて、さて、長い間つきあってくれてありがとう。ハチの話ね。
こうやって、物語は始まり、終わった。という・・・。

こんな話を書こうと思っていたのです。書き始めが遅くなって、なんだかワチャワチャと色々な事があり・・・重なり。

そして、このブログのシリーズを書いている間にも色々なことが起こり・・・。

もう少しだけ、続くのであります。終わりだと思ったら、もう少しだけ、続くのであります。

それはそれは悲しく儚い・・・物語だったりして・・・。

では、また。

さよなら、はちみつカフェ。12

2019-05-30 02:24:47 | Weblog


待ち箱。ニホンミツバチの待ち箱。この際、セイヨウミツバチでもいいから入居してくれないかなぁ?とか、思っているのである。

養蜂に向いているのは、断然セイヨウミツバチだという。そもそも、ニホンミツバチは年に一度しか採蜜が出来ないんけだから、ビジネス的にはアウトなのである。セイヨウミツバチは年に3〜4回、採蜜が出来るとか。

では、なぜニホンミツバチなのか?
きっとそれは、ニホンミツバチの方が断然可愛いからだと僕は思っている。何が可愛いって?そんなものに理由などない。可愛いものは可愛い。そして健気。可憐。そういう類いの素敵さを、ニホンミツバチは持っている。と僕は思っている。

畑の隅の大きな柿の木の下に待ち箱を置いた。

瓦屋の親方の嫁の親戚の家のそばの、しだれ桜の後ろにある小さな柿の木の下に待ち箱を置かせてもらった。

あとは、我が家の庭のあちこちに、待ち箱を置いた。

待ち箱を置いて、僕は思った。

「こりゃあ・・・入らないよ、ハチ」

なぜそう思ったか?
理由などない。
全然入る気がしない。

だって、ハチ、飛んでないんだもん。がーん。せっかく巣箱をたくさん作ったのに、全然入る気がしないのである。

「こりゃあ、宝クジどころじゃないなぁ」

あぁ、このままだと、このまま春が終わってしまったら・・・ほんとうに、さよならはちみつカフェなのである。