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消費税が優れた税制だというなら、なぜ国税のあらゆる税目の中で、常にもっとも滞納が多いのでしょうか?

2018-09-24 21:13:17 | 政治・社会問題
ネットなどではよく、消費税について「優れた税制」であると主張する方を見かけます。

以前からそうした方に是非うかがってみたいと思っているのですけど(笑)

なぜ消費税は国税のあらゆる税目の中で常に滞納額がワーストワンなのでしょうか?


これは消費税について真面目に調べたことがある人であれば、皆知っていることです。

例えば国税庁のページより「平成28年度租税滞納状況について」を見てみましょう。
https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/sozei_taino/index.htm

これを見ても消費税(ちなみに地方消費税は除くとあります)の「平成28年度末滞納整理中のものの額」(次期繰越額)は3,100億円となっており、所得税4,111億円に次ぐ数字となっています。

が、実際問題として所得税は源泉所得税(1,437億円)と申告所得税(2,674億円)の合算であり、この二つは性格から考えても別々に考えるのが妥当でしょう。

かつ消費税には地方消費税が含まれていないことを考えると、やはり税目としての滞納額ワーストワンは消費税と考えていいと思います。

で、実はこれでも消費税の滞納額は大幅に改善されているんです。

なぜなら消費税の滞納額が社会問題にまでなったともいわれる1998年度には、他の税目の滞納額がおおよそ減少していたのに、消費税の滞納額は7,249億円、対前年度比34.4%も増加しました。

当時の『国税庁統計年報書』(1998年度版)によると件数ベースでは114万7667件で、申告件数の約49.78%、つまり約二件に一件が滞納に追い込まれていたわけです。

言うまでもないことですけど

http://anti-tax-increase.hatenablog.com/entry/2016/07/24/130216


消費税の滞納額は1996年から98年度、2013年から14年度へと税率が引き上げられた時期に増えており、増税の影響で消費税を納められない事業者が増加するのは明白

です。

滞納額が減少し始めたのは割合に最近のことであり、それでも

「消費税の滞納額も1998年から減少しているのでは?」と思うかもしれないが、国税全体に占める滞納額の割合は1990年度の11.1%から2014年度の55.7%まで増加している


状態でした。

これは一体どういうことなんでしょうか?

理屈で考えるなら「消費税は消費者が商品やサービスを購入するときに支払うものであり、消費税込みで提示された金額で私たちは物を買っているはずです。
(実はこれはウソなんですけど)

であるのに、これほどまでに滞納されているのはなぜなんでしょうか?

なお余談ですが、近年になり滞納が減少した大きな理由の一つは、『消費税のカラクリ』の著者斎籐貴男氏によると、国税庁が1998年度から消費税の徴収を優先する消費税シフトをしいたことによるのだそうです。
(同書P74)

さて、その答えは簡単です。

消費税は判例(例えば東京地裁1990年3月26日判決など)により、実質的には物価の一部であり消費者からの預り金などではないからです。
http://www.zenshoren.or.jp/zeikin/shouhi/060904/060904-1.html


なお、東京地裁1998年3月26日の判決文には

消費税法及び税制改革法には、消費者が納税義務者であることはおろか、事業者が消費者から徴収すべき具体的な税額、消費者から徴収しなかったことに対する事業者への制裁などについても全く定められていないから、消費税法等が事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとは言えない。

(『判例時報』1344号より斎籐貴男氏が『消費税のカラクリ』P59~60に引用したものを再引用)

とあります。

これは事実関係、つまり事業者が消費者(正確には顧客)に対する商品やサービスの販売価格に消費税分を上乗せする時もあれば、しない時もあるということとも符合します。

私たち消費者(顧客)もまた、購入価格に消費税分を必ずしも支払わなければならないわけでもないんです。

少し正確ではないかもしれません。

消費税は価格に内包されている税であるということになっていますので、例えば事業者が100円のものを108円で売ろうが、110円で売ろうが、そして100円で売ろうが

徴収されるのは100円に対しての8%ですので、例えば100円で売った場合、事業者は8円の損を自ら承知で被ることになり、110円で売った場合は2円の追加利益になるわけです。

消費税は、現実に受け取ろうが、受け取るまいが、関係なく、受け取った事にされます。
(あくまでも話を単純化していますので、つまらない揚げ足とりはお断りします)

で、中小零細の事業者、例えば

企業から仕事を貰う立場のフリーランスの人たちが30万円の仕事を貰おうとしたら、そこからフリーランスの方がその30万円に消費税を上乗せした金額を請求することは極めて困難です。

というより、企業はそんな人に仕事を発注しません。

あなた「免税業者」でしょ

で、おしまい。

それでも不服なら、キッカリ30万円で請け負う他のフリーランスに仕事を発注すればいいだけの話です。

言うまでもなく、フリーランス、つまり個人事業者も仕入れには消費税を払っており、本来なら価格に上乗せしたいのですが、それは

あなた「免税業者」でしょ


と言われてしまうのが一般的です。

また、地方の街の商店主も事情は似たようなもの。

田舎に腕のいいパン職人の親父さんと、気立てのいい奥さんが経営している小さなバン屋さんがありました。

昔からのお客さんも少なからずいたのですが、近く、といっても10キロ以上離れたところですか大型店舗が進出し、安値で既製品のバンを一杯売り出します。

それでも景気のいいときなら「価格ではなく味とサービスで勝負するんだ!」と言えたのでしょうが、残念ながら価格では勝負になりませんし、消費税の上乗せしてお客さんに請求しようにも、現実的には出来ない状況です。

ここでも「だって免税業者」だからの声。

結果として、バン屋さんはじり貧となり店をたたむことになりました。

あえて言っておきましょう。

商品価格に消費税を上乗せできるのは、何らかの理由により価格の決定権を握っていることが可能な事業者だけです。

特に企業から仕事を貰う立場の中小零細、個人事業者、あるいは大型店舗との価格競争に苦しむ街の商店など、状況にもよりますが、ほとんどの場合そんなことは出来ないのが現実なんです。

ゆえに消費税の税率が上がれば上がるほど、これらの人たちの利益は削られることになり、とどのつまりは廃業ということになるわけです。

現在の消費税制度を見るかぎり、中小零細、あるいは個人事業者の負担を重くした訳ですから、それ以前の時代から比べて起業を困難にし、かつ起業しても早々に潰れる大きな要因となったといわざるを得ないでしょう。

今どき、脱サラで商売を始めるのは自殺行為とまでいわれるようになりました。

こうして、かつての中流層だった中小零細、あるいは個人事業者の没落がはじまり、それは今も進行しているわけです。

結局、消費税は中小零細、個人事業者の商売の足枷の錘を重くした訳ですから、廃業せざるを得なくなる環境を作り、起業を困難にし、早く潰れる大きな要因となりました

さて、これでも消費税制度はこんなに素晴らしいということなのでしょうか?


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