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いわゆる北方領土だけではなく、南樺太なども国際法上は「帰属未定」のままである

2017-05-14 08:13:40 | 国際情勢
意外にこれを理解している人が少ないようなので、一応確認しておきます。

まず我が国の公式見解から

外務省Q&A

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/topic.html

>1. 南樺太(=北緯50度以南)及び千島列島(=ウルップ島以北の島々)については、その領域主権を有していた日本は、1951年のサンフランシスコ平和条約(注)(第2条(c))により、すべての権利、権原及び請求権を放棄しました。サンフランシスコ平和条約上、南樺太及び千島列島の最終的な帰属は将来の国際的解決手段に委ねられることとなっており、それまでは、南樺太及び千島列島の最終的な帰属は未定であるというのが従来からの日本の一貫した立場です。

(注)ソ連・ロシアは締約国ではない。

2. この立場を踏まえ、南樺太及び千島列島は日本国内で発行されている地図上、通常は日本でもロシアでもない以下のような表記がなされています。

(1)樺太上の北緯50度線、(2)北海道(宗谷岬)と樺太の間、(3)カムチャッカ半島と千島列島のシュムシュ島の間、(4)日本固有の領土(択捉島)と千島列島のウルップ島の間、の4ヵ所に線(国境線とは異なる)が引かれている。
白抜き等、我が国及びロシアのいずれの色とも異なる色になっている。
帰属未定である南樺太に、なぜ日本の総領事館があるのですか。
1. ロシアのサハリン州においては、近年、邦人保護を初め同州に関係する諸懸案の円滑な処理を図ることが必要になり、そのためにサハリン州知事をはじめとする州行政府関係者との間でハイレベルでの恒常的な接触を保つ体制を整えることが、日本及び日本国民の利益を保護し増進する上で重要となってきました。このような状況を踏まえ、ユジノサハリンスクに総領事館を設置することにしました。

2. ユジノサハリンスクに総領事館を置くことと、南樺太の法的地位の関係については、以下のとおりです。
 南樺太については、ロシアが継続的に現実の支配を及ぼしており、これに対してロシア以外のいかなる国の政府も領有権の主張を行っていません。また、ロシアが南樺太においてこのような施政を行っていることについて、同地域に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄している日本は、これに異議を唱える立場にはありません。日本がユジノサハリンスクに総領事館を設置したのは、このような現実を前提としたものです。
 仮に将来、何らかの国際的解決手段により南樺太の帰属が決定される場合には、日本としてその内容に応じて必要な措置をとることになります。

3. なお、歴史的にも国際法上も我が国固有の領土である北方四島については、南樺太及び千島列島(=ウルップ島以北の島々)と同列に論じられるものではありません。北方四島は、サンフランシスコ平和条約で日本がすべての権利、権原及び請求権を放棄した千島列島には含まれず、日本はロシアとの間で領土問題の解決に向けた交渉を鋭意行ってきています。

→ネットでは帰属未定であるはずの南樺太に「日本の総領事館」がおかれているのはおかしい、あるいは日本国政府は既に「ロシア領」であることを追認しているなどといった主張が散見されますが、日本国政府は「何らかの国際的解決手段により南樺太の帰属が決定される場合」についての含みは残していることを明言していますので、念のため。

さてサンフランシスコ平和条約を、もう一度きちんと読み直してみましょう。

http://worldjpn.grips.ac.jp/documents/texts/docs/19510908.T1J.html

第2条(c)より

日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する。

→確かに日本国政府は「千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄」していますが、それがすなわちロシア(当時はソ連)領となることを意味するのではないということは

第25条

この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第二十三条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。第二十一条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。

に規定されていることから見ても明白です。

サンフランシスコ平和条約の批准国ではなくとも、「中国」は第21条の例外規定の恩恵を受けることができますが、ロシアに関してはいかなる例外規定もないんです。

そして我が国とロシアとの間に「正式に平和条約が締結されるまで」は、両国の間に領土についての取り決めが存在しないということも間違いのないことです。

私自身はロシアとの一日も早い「平和条約の締結」を望むものではありますが

南樺太をふくむ「北方領土」の問題は未だ解決しておらず、ロシアの同地域の領有も国際法上は確立したものではないということは、やはりハッキリさせるべきと考えます。

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