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天皇陛下の「拒否権」について

2017-05-21 19:53:21 | 日本国憲法
天皇陛下は、例えば「総理大臣任命式」などの国事行為についての拒否権はお持ちなのでしょうか?

このような疑問を感じたことのある方はいらっしゃると思うのですが

結論を言うと天皇陛下は「使用する事を憲法によって封印された拒否権」を持っていらっしゃいます。

これは明治時代からそう。

日清戦争開戦時、明治天皇は戦争反対の御意志から、当時の伊藤首相に対して攻撃中止命令を出すよう命じられたのですが、結果的には伊藤内閣の対清開戦を栽可されています。

昭和天皇の「戦争責任」なるものが、いかに無意味な議論か、これだけでも明らかでしょう。

これは我が国だけの話ではありません。

立憲君主国か、専制君主かを見分けるポイントは「拒否権」である、とされます。

例えばイギリスの憲法は「慣習法」で、成文憲法ではありません。

なので、イギリス憲法がいつ成立したかについては議論がありますが、一番有力な説は1707年とされています。

その最大の理由は「拒否権」です。

イギリス国王は、かつては議会の決定に対して拒否権を発動していましたが、1707年のアン女王の拒否権発動を最後に、拒否権は使われる事がなくなりました。

これ以降、イギリス国王は政府の決定には、必ずサインしています。

イギリスのジャーナリストであるパジョットは「英国憲政史」の中で、「議会が女王に死刑宣告を可決したら、女王は黙ってそれにサインしなければならないだろう」と、言ってます。

「憲法の守られている状態」というのは、そういうことです。

そもそも民主主義国家における「憲法」というのは国民に向けてかかれたものではありません。
国家権力から国民を護るためのものです。

憲法に違反できるのは「国家だけ」です。

憲法は個人を対象にしたものではありませんから、生意気な子供が「お父さんは言論の自由を侵している、憲法違反だ!」などと言っても、全く成立しません。

第一、お父さんの「言論の自由」はどうなるのでしょうか?

会社の業務命令により、部下の発言を無視しても、それは「言論の自由」とは関係ありません。

第一、企業活動が成り立たなくなります。

天皇陛下が「拒否権発動」をされる時、というのは、文字通り我が国が「立憲君主国」である事を止めた時です。

その意味において天皇陛下には「拒否権」は存在します。

なお、天皇陛下の「国事行為」について、内閣法制局では衆議院内閣委員会での答弁(衆議院内閣委員会議事録 昭和39年3月13日、ならびに衆議院内閣委員会議事録 昭和39年3月14日、衆議院内閣委員会議事録 昭和39年3月19日)で、

国事行為に際しての内閣の助言と承認に対して、天皇はこれを拒否する権能、変える権能はない

海外旅行は国事行為に含まれないので、内閣の助言と承認に拘束されることなく、理論上、終局的には天皇の意思によって決定することになる

天皇は国事行為について内閣に質問はできる

という見解を示しています。

当然、「総理大臣任命式」は「国事行為」に含まれますので、拒否する権能、変える権能はない事になっています。

ただし、天皇陛下に対しては、訴訟や強要(腕をとって無理矢理署名させる)などの対応をとることは法令上認められないと解されており、ゆえに法令は性善説(天皇はそのような拒否行為をしないという前提)に立っています。

なので理論上は「拒否権発動」の可能性があるわけですが、対処するための規定は存在しません。

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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2018-07-09 23:04:06
日清戦争開戦時、明治天皇は戦争反対の御意志から、当時の伊藤首相に対して攻撃中止命令を出すよう命じられたのですが、結果的には伊藤内閣の対清開戦を栽可
つまり、これは場合によりこの命令が通ったって事ですよね、そもそも終戦が遅れたのも天皇のせいですし、ここでも「命じた」とあるなら、戦争に対して意思表明できたということ。天皇は軍事にも関わったり指示出しましたよね。ネトウヨってこうやって都合のいい個所だけ取り出して「天皇ムザイー」ってやりますよね。本当に卑怯だと思います。
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