I believe

間違いに気づいたから、やり直そうと思います。

被害者

2012年11月30日 | 30代の出来事(女子)
20代後半で活動に戻った際、同い年のメンバーで見知らぬ顔が居た。
一人暮らしの彼女(以下Vさん)は、常に口元にハンカチを当てていた。
目がうるうるしていて、挙動不審で、ちょっと変わってる人という印象を持った。

そんなVさんは、話し始めると長い。
起承転結の無い話をだらだら続けて、一体何がいいたいのかわからない。
具体的な事柄では無く、抽象的な事を話し続けるが、内容は消極的なもので、私はVさんが嫌いだった。
なんのために信心してんの?といつも思っていた。

部の日で、幹部に入ってもらい指導を受ける時など、「Vさんは最後にしましょうね」と
司会者が先に言うほど。
幹部の指導になかなか納得せず「でもでもだって」で引きのばされるから。
次の人の発言時間がなくなってしまう。
ある時など、訳知りの幹部は「Vさんの話は会合終了後に聞くから残ってください」と言った(笑)。
Vさんも私も役職は無かったが、お互いヒラの時はまだよかった。
内心イラつきながらも、その場に居てやり過ごせば済んだから。

私が部長になると、Vさんは悩みの種になった。
かまってちゃんの傾向があって、会合に来て、じっとりしている。
学会歌をうたわず、下を向いて手拍子だけやって「どよーん」演出。
たぶん「どうかしたの?」と言って欲しかったんだろうが、私は無視して式次第を進めた。
ひとこと発言のコーナーになり、どうぞ、と促しても
口元にハンカチを当て伏し目がちに「何も無いです」とぼそっと言う。
イライラーとするが「そうですか、じゃあ次の人」とスルーして進行。
おそらく「どうかしたんじゃないの?話してみて!」と、聞きだして欲しかったんだろうけど
私にそのような心の余裕は無かった。
翌日、圏幹部から私に電話があり、Vさんから苦情が入ったとの報告(笑)。
前任者から引き継ぎを受けてないですか?とも聞かれ、なにもきいてませんと答えたところ、
その日のうちに本部長が家に来て、Vさんの状態に就いて話してくれた。

Vさんは数年前に他地域から転入してきたが、以前の部では部長を務めていたバリ活。
結婚を機に女子部を卒業予定だったが、結婚式数日前になって相手が婚約破棄してきたとのこと。
原因は、相手の親(アンチ)の猛反対。
最後の最後、親の説得に屈した相手が去ったらしい。
通常、いったん女子部を卒業してしまったら、婦人部へ行くのがならわし(?)だけど、
彼女の場合は、入籍もせず・結婚式もキャンセルとなり、女子部には新部長もたったので、
今更出戻れないというか、地域で宙に浮いた状態になったらしい。
居辛くなり、この街に一人で引っ越してきたとの事。
挙動不審だったりするのは精神を病んでいるからで、扱いには気をつけて欲しいという話だった。
私がイライラしやすい性格だということを見抜いていた本部長は
「しょうらんさんにとっては、しんどい相手だと思いますが、特に弱っている”仲間”ですから。
Vさんのことだけは、あたたかく、見守っていく姿勢でお願いします」と。
いつも口にハンカチを当てているのは、人と会うと吐き気がするからだというので
「それって、会合に出ることで余計悪くなりませんか?」と本部長に尋ねたが
「彼女に、そう言った事(活動を休んではどうかと)あるんですよ。
でもね、活動に出ていないと、不安で不安でたまらなくなるそうなんです。
だから、かえって活動に出ている方が、彼女にとっていいのかもしれないって上はそういう意見です」と。

これは、えらいことだと思った。だけど、聞いた以上は接し方に注意をはらわないといけない。
そう思った私は、次の会合からは接し方を変えてみた。
彼女の発言を根気よく聞くようにした。
ただ、若いメンバーが多くて、飽きてしまうのか、中にはVさんの発言中に携帯をいじりだしたり
解るように、ため息をつく子もいた(笑)。
以降は幹部になるべく入ってもらうようにして、Vさんを受け止めてもらうようにした。
とてもじゃないけど私では無理だと思ったから。
腫れ物に触るように接していると、自分まで、おかしくなりそうだと思っていた。


その他、関わっていく中で、いろいろな問題が起こり、幹部に入ってもらい対処してきたが
私の心中は常にもやもやしていた。
Vさん、なんとわがままな信心(活動)なのかと。
活動がしたいなら随自意で、と思うが、常にお膳立てを求めるVさんに私は納得がいかなかった。
そして、活動をすることで「元気になる」というよりは、活動にすがるが故にますます精神状態が
悪くなっている気がした。

その後も、数々、私の方針にモノ申すだったVさん。
非常にやりにくかったが、そのたび幹部の友達に愚痴っていた。
彼女いわく「Vさんって、前地域の部長の中でも一番結果出してて、バリバリだったらしいよ。
きっと、今も本当は自分が部長をやりたくって仕方がないんだろうね」と。
圏幹部の中にも、Vさんは苦手だと公言している人物がおり、指導の内容に対して納得できないからと
方面女子部長に直訴された(あの幹部が変ですと)ことがあるらしい。
そこまでやるか?と驚いた。
「自分に耳あたりのいいことだけ聞きたいなんて、それは指導じゃないのにね。彼女、指導受けるのが
大好きなんだよね。かなり、歪んでるんだろうね、可哀相だけど」圏幹部の友達はそう言った。

弟子の誓願1000万が終わり、私が引退する事になった時、
Vさんが「実は私も」と未婚のまま婦人部へあがることを発表した。
どうしてそうしたのか、当時はわからなかったが、今になって思うと、私の後任部長がかなり若く
(20代前半)ますます、そりが合わなくなって部に居づらいと判断したのではないかと推察。

数年後、Vさんは結婚・出産をし、そのまま地元に住んでいた。
母を通じて、時折Vさんの近況を聞いた。
育児ノイローゼになって以降、活動に出て来れなくなり
現在は、子供と一緒には暮らしていないとの事。
母は、地域の自治的な役割もしているので、Vさんに関わっているが
「あの人だけは、なんでかなーって思うね。信心しているのに」と複雑な表情で言う。

Vさんも、組織の被害者だ。
結婚が組織のせいで反故にならなければ、精神を病まなくて済んだかもしれない。

精神を病んでもなお、活動を休む事が出来ず、活動にすがり続けたのだって
「活動をやめたら不幸になる」という刷り込みから、恐怖感で、追い込まれたのだと思う。

まじめで、まっすぐな人ほど、害を受ける。
もちろん、悲しい事があっても
(彼女と同じように、外部との結婚を、婚約破棄された経験ある内部の友人がいるが)
乗り越え、前向きに、すべてを拓いて行った人もいた。
こういった人は、信心活動云々の前に、もともと胆力があるのだと最近は思う。だから、乗り越えられた。
(そして、このテのタイプは、組織がなくても生きられる)

だけれども、Vさんのような、根っから弱い人には、組織の教えが仇になる。
組織自体が、仇になってしまったように見える。
本当は、自分で気づいて、自分で立ちあがってというプロセスが必要なのに、そこに組織が
常にあることで、堕落性依存になったのではないかと思う。

きっと、内部の人は「組織はひとつも悪くない、本人の資質の問題」と言いそうだが
そうじゃないんだよ。
組織の教えそのものが、自己矛盾だらけで、組織の都合いい事ばかりになってるから
そのことで実生活に影響をきたし・深く心に傷を負う人が出てくるって現実を、もっときっちりと直視すべき。
「信心が足りない」などと、組織の理論で、簡単に片付けんなよって思う。


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先日みたテレビ番組で、心理学者が言っていた。
「洗脳とは、暴力・脅迫行為などで従わせることを指す。
 マインドコントロールとは、こちら側へいらっしゃい、楽園だよ?と呼びこんで本人の意思で
 入るようおびき寄せ、管理していくことを指す」と。

組織のやってる事、洗脳+マインドコントロールどっちもあてはまるじゃん!、とハッキリ解った。

これ以上、被害者を増やしてもらいたくないと、願っている。