しょぼい日々の面白み

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映画「窮鼠はチーズの夢を見る」ネタバレあり感想

2020-09-12 18:00:02 | ●エイトのドラマ・映画ごと
あのふたりは、あの後どうなるのかなあ。
それは、これからの今ヶ瀬にかかってるんだろうなあ。
今ヶ瀬が自分を大事にできるようになるかどうか。
きっとそこににかかってる。たぶん。

映画「窮鼠はチーズの夢を見る」。昨日劇場で見てきました。
前に記事でも書きましたが、原作既読です。
あの世界観を映像で表現するのは難しいだろうなあと思っていましたが、……見事にスクリーンにあったよ!そのままの世界観が!!

まず、画が綺麗。そこから広がった部分もあった。大伴って本当はこういうコンクリート打ちっぱなしの家が好みだったのか~!とか。
そしてなにより登場人物がみんな魅力的。
それぞれの、ふとした表情、ふとした言葉、ふとした場面に引き込まれる。そしてついその人の気持ちに思いを馳せてしまう。
2時間20分があっという間に過ぎていきました。
ああこれは映画で見られてよかったなあ、としみじみと思いました。

この作品、男と男ということを抜きにすると、ありふれた恋愛模様を描いています。
それ故に、というかその「ありふれた」部分がとてもリアルで、ついつい自分の経験や記憶と重ねてしまってました。
特に今ヶ瀬に若かりし頃の自分を重ねて、見ながら苦笑していたなぁ。
リアルだった。大伴と今ヶ瀬が。苦しいほどに。

あのふたり、一見フラフラしてる大伴に一途な今ヶ瀬という図だけれど、実のところ大伴の方がしっかりしているのですよね。
ちゃんと自分のテリトリーを決めて、自分を大切にしている人。
浮気相手を必要以上に追わない。妻の別れの申し出を過度に引き止めない。同棲相手の今ヶ瀬の自分の前にいない時間の行動を気にしない。
自分の範囲を超えたところはすっと引く。
これって冷たいようだけど、自分のテリトリーも相手のテリトリーも尊重しているんだと思うんですよ。

今ヶ瀬の方がグラグラで、自己肯定感の低さを恋愛関係での自己有用感で埋めようとしている人で、だから自分が幸せになりそうになったら怯える。
誕生日にワインを贈られた時の、「来年も買ってあげる」と言われた時の表情がもうね……。
こんな自分が幸せになれる筈がない。きっとそのうち失う。怖い。怖さから逃れようと無意識にその幸せを自ら壊そうとしてしまう。
大伴のスマホを勝手に見る、別れを煽る、典型的な試し行動。自分の部屋を解約せずに保険をかける。
こんな自分をどこまで受け入れてくれる?って内心とてもビクビクしてる。ほらやっぱり幸せになれなかった!って傷つく用意をしてる。
自分から別れを告げたのもそうだったと思う。しんどいのも本当、でも試してた部分も絶対あっただろうなあと。

そこで大伴は別れを受け入れた。今ヶ瀬のしんどさを尊重したの。

たぶん今ヶ瀬は、自分が尊重されたことに気づいてないんだよ。
だから別れた後も執着心が募ってく。ストーカーばりに大伴を付け回す。怖えぇよ今ヶ瀬!
いつもの大伴だったら傷つけないようにスルーなんだと思う。
だけど今ヶ瀬は「例外」だった。
彼女ができて、婚約して、その子も本当に大切で、……それでも今ヶ瀬を求めた。
たまきを帰した後、今ヶ瀬の車の窓をコツコツするときの大伴の顔、めちゃめちゃゾクゾクしたなあ。ハッキリと今ヶ瀬を求めてた。
憧れの先輩が、自分を。彼女と別れてまで。そんな幸せってあるだろうか。で、今ヶ瀬はまた怖くなって、……逃げた。

もしまた同じことが何度も繰り返されたら、まあ今ヶ瀬はそれでもいいだろうけど、大伴はきっとどこかで「これ以上はできない」とピリオドを打つのだろうなあ。

だって大伴は「恋愛でどうこうより大切なことが他にもある、俺たちはそういう年齢だ」と思っているから。
ほらね、大伴ってめちゃめちゃ真っ当。
ただ、年齢を重ねて必然的に恋愛のプライオリティが下がったとしても、相手への恋が終わったとしても、自分にとって大事な相手だということは変わらなければ、「家族」としてずっと一緒にいられる。
大伴は、今ヶ瀬とそういう関係になることを目指していたんじゃないかなーと思いました。
今の今ヶ瀬への執着(恋)は、いつかなくなることを知ってる。それでも大伴は今ヶ瀬とずっと一緒にいたいと思ってるんじゃないかと。
愛情ですなあ。

でも、今ヶ瀬には「恋が終わっても大事な相手」というものがわからない。少なくとも今の今ヶ瀬にはきっと。
恋が終わる=執着されなくなる、これに今ヶ瀬が耐えられるかどうか。
自分の灰皿やライターに対する思いと同じくらい執着されていなくても、自分は大事にされている、と思える日がくるかどうか。
これは、今ヶ瀬が、自分が自分であるだけで大事にされる存在であると思える日がくるかどうかにかかってますね。それが自分を大事にすることなんだよね。難しいけどね。

いやその前に、さすがの今ヶ瀬も同じ辛さを繰り返すことで本気で疲れて完全に終わらせようとするかもしれない。
どっちにしても、それが年を取るってことなんだろうなあとしんみりしますね。

それにしても今ヶ瀬、可愛かったな~。
キラキラと刹那で生きてる人の目をしてて、言葉や行動やしぐさから大伴への執着が滲み出ていて、スツールに座っている時のの佇まいがほんと可愛くて、成田凌うまっ!!ってなったよ。
まあ、あれぐらい可愛くなかったら、あの粘着質ぶりや質の悪いウザ絡みは許されない(笑)。
大伴は、空虚な目がすっごく好きでした。
人当たりがいいくせに流すのが得意でどこにいても染まらず(だからモテる)、人並みに情はあるくせに(だから厄介)相手が自分のテリトリーに入ってき過ぎたらサッと引く。
この時、目でシャットダウンしちゃうのがね。うわ大伴じゃん!すげー!って。
これ大倉忠義のハマり役だなあ、キャスティング凄いなあ、と思いながら見ていました。
今ヶ瀬との別れを受け入れる時の目もカラッカラで。成田くんと大倉さん、目の演技が正反対。これむちゃくちゃよかったなあ。

あんまりうまい感想になっていない気がしますが、とにかく大好きな作品でした。
大伴の周りの女性たち(元妻、浮気相手、夏生、たまき)も素晴らしかった。ぜひもう1回スクリーンで見たいと思っています。

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2 コメント

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Unknown (むぎ)
2020-09-14 15:07:26
激しく同意致します!
色々な感想を読んで「なるほどね、人それぞれよね」と読み流していたのですが、しょぼさんの感想を読んで「そう!そうなの!」と、自分の心の中を整理してもらった様な気持ちでいます。
私も遥か昔に6年間片思いして付き合った人がいます。
その時の心情が、もうそのまま今ヶ瀬でした。
不安で不安で、試す、保険かける。
そして自分から別れを告げる。
私はその後色々経験して「恋が終わっても大事な相手」を分かって結婚したけど(他の人と)、今ヶ瀬はどうだろう。幸せになって欲しい。
それにしても絶妙なキャスティングでしたね。
よくぞ大倉忠義を見つけて下さいました。
そして受けてくれてありがとうです。

良い映画でしたね。
私ももう一度見たいです。


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お返事 (しょぼ→むぎさん)
2020-11-03 09:21:10
すっかり遅くなり遅くなりすぎもうご覧にならないかもしれませんがお返事です(ごめんなさい…)。
むぎさんもなんですね…わたしも若かりし頃今ヶ瀬でした。懐かしいけれど、もうああいう気持ちになりたくないですね…。
キャスティング絶妙でしたねぇ。結局一回しか見られてないので、なんとかもう一回見たいです。
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