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ニッポンのゆる~い日常

日韓歴史研究 認識の共有はやはり幻想

2010-03-26 09:37:01 | 歴史

日韓歴史研究 認識の共有はやはり幻想


http://sankei.jp.msn.com/life/education/100326/edc1003260326000-n1.htm


 第2期日韓歴史共同研究の報告書が公表された。両国の学者の歴史に対する考え方の違いが一段と鮮明になった。

 今回は第1期(平成14~17年)で研究対象となった「古代史」「中近世史」「近現代史」の3分野に加え、「教科書小グループ」が新設された。特に、この新しいグループで激論が展開された。

 韓国側には、いわゆる「従軍慰安婦」と軍需工場に女子が勤労動員された「女子勤労挺身(ていしん)隊」との混同や、「侵略→進出」をめぐる昭和57年の教科書騒動が日本のマスコミの誤報に端を発していたことへ理解不足が見られた。平成14年から登場した扶桑社の「新しい歴史教科書」を「右翼教科書」とレッテルを張って非難した。

 これに対し、日本側は韓国側の誤解を指摘し、相応な反論を行っている。日本側の学者が韓国側の主張に引きずられず、それぞれの研究成果をきちんと発表したことも評価したい。

 今夏、100年目を迎える「日韓併合」についても、「明治政府の強制はあったが、第2次日韓協約(1905年)や日韓併合条約(1910年)は有効だった」とする日本側の見方と、「大韓帝国の皇帝(高宗)の署名がなく、無効だ」とする韓国側の主張は、ほとんどかみ合わなかった。

 全体として、日本側の学者が実証的な研究を重視する傾向が強いのに対し、韓国側は政治的な主張が強すぎるようだ。

 日本ではいまだに、政治家や閣僚が日韓の歴史問題について自由にものを言えない雰囲気がある。これまでも、韓国の意に沿わない発言をした閣僚がしばしば、謝罪や辞任を強いられた。2期にわたる共同研究で、これだけ違いがはっきりした以上、韓国の要求を一方的に受け入れるだけの姑息(こそく)な対応を繰り返してはいけない。

 日韓歴史共同研究は、1月に報告書が公表された日中歴史共同研究よりは、意義があるといえる。中国が言論・学問の自由を認めない独裁国家であるのに対し、韓国にはそれらの自由がある。だが、歴史問題では金完燮(キム・ワンソプ)氏の著書「親日派のための弁明」が過去に有害図書に指定されるなど、自由はかなり制限されたものだ。

 今後、共同研究を続けるとしても、日中間と同様、日韓間においても、「歴史認識の共有」などの幻想は持たず、違いを明らかにすることにとどめるべきだ。






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希望的観測では首相は務まらぬ

2010-03-26 09:35:07 | 正論より
3月26日付    産経新聞【正論】より


希望的観測では首相は務まらぬ    京都大学名誉教授・市村真一氏


http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100326/plc1003260323001-n1.htm


 永田町界隈の風刺話を聞いた。「東京には、正体不明の怪鳥がいる。日本人はサギだと言うが、中国人はカモと見、米国人はチキン、欧州人はアホウドリだと言う。本人はハト(鳩)と言い張っているが、おれは日本のガンだと思う…」と。ワシントンの日本人社会が発信源だとか…。



 ≪「政治哲学」に見逃せぬ誤り≫

 日本政治の迷走の根因は、鳩山由紀夫首相である。小沢一郎幹事長の問題はしばらくおく。首相は、日本を取り巻く国際環境とわが経済力を冷厳に直視できず、適切な軍師の助言も得ていない。それは首相の「私の政治哲学」(『Voice』誌)と就任後の言動から明々白々である。

 鳩山論文は一見理想主義的に見えるが、見逃せぬ重大な誤謬(ごびゅう)が経済と政治の両面にある。経済では、今の金融危機を米国の市場原理主義のせいと論じた。だがそれは一因で、日米の長期不況には他の複雑な要因がある。その論は単純すぎ、反米トーンが強すぎる。

 政治でも、日米同盟は日本外交の基軸だと書きつつ、数年前に主張した「駐留なき安保」を否定しなかった。記者に問われて初めて「封印する」と語った。国際政治の認識不足を自認したのだ。

 論文の末尾に首相は、クーデンホーフカレルギー伯(欧州連合を構想した政治家)を引用して言う。「すべての偉大な歴史的出来事が、ユートピアとして始まり夢に終わるか、現実となるかは、それを信じる人間の数と実行力にかかる」と。

 その通り、正に政治家鳩山に問われるのは実行力である。だが、首相が語ったのは、論文でも記者会見でも、殆(ほとん)ど希望的観測ばかりで、実行の手筈(てはず)や行程表がない。



 ≪現実離れ書生論と弱者思考≫

 論文が現実離れした書生論というだけでなく、首相は就任後も同じ過ちを繰り返している。

 二酸化炭素削減25%を突然、国際約束した。ところが、実現策の論議も突っ込んだ検証も乏しく、今回の温暖化対策法案での具体化はおぼつかない。普天間問題では、八方美人の発言を繰り返すが、他の府県と真剣な交渉も懇請も国民の啓発もしない。米国と交渉もなく5月決着の「覚悟」を語る。これは覚悟ではない。希望的観測にすぎず、実践の苦労を回避する弱者の思考である。

 良き宰相には、持つべき素質と要件がある。管見の及ぶところ、歴史家トインビーが示した4条件が見事である。

 (1)勇気と、国民を奮い立たせる能力がある

 (2)私的偏見がない

 (3)他人の考えや気持ちを敏感にとらえる直感力を持つ

 (4)あくまで確実で限られた目標を追求する

 トインビーは(1)の例に、アタチュルク(トルコ共和国を創設)、チャーチル、ガンジー、ホーチミンを、(2)でトルーマンを挙げ、(4)を論じて言う。「同じ革命家の中でも、(ロシア革命の)トロツキーは幻想家として失敗し、レーニンとスターリンは現実主義者として成功した」と。

 鳩山氏はこの名言の4条件を著しく満たさないが、致命的なのは特に(4)の条件である。それは上述の拙論から明らかであろう。



 ≪自民党は急ぎ「受け皿」を≫

 だが問題は、鳩山首相だけではない。同じ宰相の4要件を過去の首相に適用すれば、どんな採点になるか。ここ数年、自民党の党首・首相の選出も、主要閣僚の選任もひどいものであった。故に民の信を失いお灸をすえられたので、政権交代は良かったのである。

 だが現内閣の実績は、その不慣れに配慮しても、前途に大不安を抱かせる。迷走が続けば、日本政府は内外で信を失い、また軽侮されよう。もしも今、大事件が起れば、現政府は機敏適切に対処できず、国が危殆(きたい)に瀕(ひん)しはしないか。

 この故に、自民党とその同志は現政権の「受け皿」づくりを急いでほしい。具体的には、次の2つが緊急事であろう。

 (1)党首選出の手続改正と実施

 (2)影の内閣の選任

 現行手続は、党首が首相適任者か否かを吟味する工夫がない。候補者の人柄と内政、外交軍事に関する識見をチェックするため、もっと時間をかけ、多数の党員などと内閣の重要課題につき質疑応答せねばならない。その上で、候補者を絞り込む予備選挙をへて、最終的に2人の候補で決選投票をする手続がよい。谷垣禎一総裁は早急に、新選出法を決め、新党首を選出すべきだ。与謝野馨氏、舛添要一氏その他も、新党よりも、各人の政策をひっさげて予備選に出て雌雄を決してほしい。

 次に、責任ある野党として政府の政策の代案を提出することだ。2大政党制は、政策の明白な基本的対立が前提である。自民党には有能な閣僚候補が多い。党首は、すべからく影の内閣をつくり、各省別に現政府の政策に代わる政策案を提示し、国会で論戦すべきである。そうして初めて、国民に政府交代の内容が明らかになり、看板倒れのマニフェスト(政権公約)のごまかしは通らなくなるであろう。(いちむら しんいち)








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