「島崎村絵図」の紹介
人はだれでも、昔の郷土の姿を見せられて、興味を示さない人はいない。まして、村の様相や自然景観が、手にとるように知られるとなれば、なおのことだ。
ところが、幸いにもこの図にあるような「島崎村絵図」がもたらされ、江戸時代の村の様子を目にすることができる。この絵図により、郷土の先人たちの生活の舞台を、具体的に、そして実感的に捉えさせてくれる。
絵図は、島崎旦良(1766~1818)という画家が、18世紀の末ごろ描いたようである。旦良は、現在の東京都町田市に住み、将軍家の御用絵師という狩野派に属し、画業を磨いて絵師となった。島崎旦良の先祖がどんな縁故で、町田市に住むことになったか、それはいつごろなのか、確かなことは分からない。しかし、中世、潮来(牛堀)の地域を支配した島崎氏の末裔であることは疑いない。数多くの遺作の中で「十六羅漢図」は代表作の一つで、町田市の文化財に指定されている。「島崎村絵図」は原図を基に模写したとされ、島崎氏の先祖の地への憧れがあって描いたものと思われる。
島崎城の山と杜、大台城、二本松寺と長国寺の森、牛堀権現山、上戸村と牛堀村の村落、須田家の邸と門、夜越川の流れ、北利根川(現・常陸利根川)に浮かぶ舟、潮来道などが鮮明に写されている。村全体の景観を俯瞰して描いた「江戸城パノラマ」といえよう。 引用・「ふるさと牛堀」より。
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