しまなみニュース順風

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大怪獣ガッペラーVS救星主ウンザ・レンジャー ラウンド1「「アンドちゃん登場」

2005-06-30 18:41:32 | 合併問題
 ここは、ヒミツ組織ウンザ・レンジャーの基地。基地と言っても粗末なもので、基地内部の中央にボロっちい机が一つ、ガスコンロが一つ、大きなやかんが一つ、それに縁の欠けた湯呑み茶碗が無造作に机の上に並べられているだけの「やげろうしい」ところだ。
 その基地に、一人の男が現れた。ウンザ・レンジャー・レッド、職業は自称フリーライター。煽てられれば木に登る典型的なお調子者で、どうやら潜伏中の大怪獣ガッペラー発見の手掛かりを見つけるため基地にやって来たらしい。
 レッドがウンザ・レンジャーになったきっかけは、彼の日課にある。仕事と称して一日ぶらぶらと狭い星の中を飛び回っていて、ある日、上空から大怪獣ガッペラーを目撃してからだった。
その時の光景をレッドは時々思い出す。
 糖尿病になりそうなほど甘い蜜の匂いが漂い、その蜜に惹かれて星の主たちがぞろぞろと集まってきていた。口からだらだらと甘い蜜を出す大怪獣ガッペラーは、
「エエノ、エエノ」とうなり声を上げている。
 大怪獣ガッペラーの姿は、恐いという感じよりも、醜く、しかもその外観がふざけているので心の中で「あっちへ、行けー」と叫びたくなる感じだった。
 不思議なことに、蜜を吸った主たちは、大怪獣ガッペラーに頭をなでなでされると、とたんに、
「合併だー、がっぺいだー、ガッペイラー、ガッペラー!」と叫び出す。
 まるで、食い物にありついた蟻の群れのように大怪獣ガッペラーの回りを練り歩くと、突然、辺り一面の草木が枯れ始めた。主たちは、ぺんぺん草も生えないような場所で、満足そうに踊りを踊っている。大怪獣ガッペラーの特殊能力「ガッペラー音頭」にでもたぶらかされているに違いない。
 その様子をじっと見ていると、大地の栄養分は、すべて大怪獣ガッペラーに吸いとられているようだ。その陰では、隣にあるインノシマ星よりちょっと大きな星に住むオノミチ星人が見え隠れしている。彼らも、口々に、
「ガッペラー!ガッペラー!ガッペラー!」と叫んで、大怪獣ガッペラーの口から出る甘い蜜を吸っている。星が少し大きいだけ、オノミチ星人は貪欲らしい。ミツギ星、ムカイシマ星も、大怪獣ガッペラーの食い物になって、オノミチ星人たちは、そのおこぼれをすでにもらっているようだ。
 蜜の正体はなんじゃろう。
 レッドは、大怪獣ガッペラーの口からでる甘い蜜の正体を知りたくなった。しかし、その頃のレッドには大怪獣ガッペラーの正体を暴くだけの情報兵器はない。しかたなくレッドはその場を離れた。しかし、一度見てしまった大怪獣ガッペラーのあの醜い姿は、吐き気を催すような感触をレッドにつきまとわせた。
 エエノ、エエノ、言うて吠えとったけど、ええ事なんか何もないじゃない。ありゃあ、絶対、誰かの陰謀で。主も主らで、そろいもそろって、踊りまくってやがるし、気分が悪いだけじゃなーか。
 日課から帰ったレッドは、今さっきまで見ていた信じられない光景に憤懣やるかたない思いがした。
「もう、ウンザリじゃー」
 レッドが、ため息を吐いて叫ぶと、部屋の窓が急に7色に輝きだした。
「あなたは、今、ウンザ・レンジャーを呼びましたね」
 レッドの心の中で声がする。レッドは少しだけうろたえたが、その声の主は親しみを込めた話し方をするので、違和感はなかった。
「えっ、あの、ウンザリじゃーって言いましたけど…」
 心の中の声は徐々に現実味を帯びてくる。
「ウンザリじゃーって、ウンザ・レンジャーを呼び出したんじゃなかったんですか。ウンザリじゃー、ウンザリジャー、ウンザ・レンジャー…。アハ、私、間違って呼び出されたんだわ。でも、変ね。どうしてあなたが、ウンザリじゃーって叫んでたの?」
 どうやら声の主は、おっちょこちょいらしい。しかも、声の質から女性ではないかと推察される。
 レッドは、不審に思いながらも、今さっき見てきた大怪獣ガッペラーの様子を声の主に話した。
「そうだったの。私、勘違いしてたけど、大筋では呼び出されて正解だったようね」
 声の主がそう言ったかと思うと、ふいにレッドの部屋の中へ声の主が姿を現した。見目美しい女性で、昔、母に読んでもらった「浦島太郎」に出てくる乙姫様の挿し絵のような格好をしている。
 その女性は、急に自己紹介をし始めた。
「はじめまして、私、宇宙の正義を守る理性の星、ペルセウス座の二重星団からやってきたアンドロメダって言います。名前が長いので、アンドちゃんでけっこうよ」
 アンドちゃん?きれいなお姉さんじゃけ許すけど、もしかして、あなた、ほとんど不法侵入なんですけど。
 レッドは、苦笑いを浮かべてアンドちゃんを見ている。
「何か他に質問ありまして?」
 アンドちゃんは、あくまでも自然体だ。レッドの心の声に気付くはずもない。
「何か質問って言われても、困るんですが、そうですね…、ウンザ・レンジャーって何ですか?」
 その質問にアンドちゃんは、びっくりしたような顔をした。
「あなた、まさか、かの有名なウンザ・レンジャーを知らないんですか?知多半島星を南セントレア星にしようとした大怪獣ガッペラーを阻止したり、その他たくさんの星で活躍してますよ」
 アンドちゃんは呆れたと言わんばかりの顔をしてレッドを見つめている。
 二人の間に沈黙が生まれた。そして、しばらく何かを考えていたらしいアンドちゃんは、ふいにレッドに話し始めた。
「しかたないわね。じゃ、ウンザ・レンジャーの説明をしてあげる」
 アンドちゃんの説明は、長時間に及んだ。かいつまんで説明すると、こんなところだ。
 かつて、ペルセウス座の二重星団では、大怪獣ガッペラーに侵略されようとしていた。もともと大怪獣ガッペラーは、バブル星最高意志決定機関ソウムショウの作り出したもので、ペルセウス座の二重星団の主(彼らのことは賢者と呼ばれているらしい)たちは、その正体を見抜いていた。と言うのも、ペルセウス座には、ゴルゴン(メデューサ)という3つの首を持った怪物が住んでいて、その三身一体の怪物を退治した歴史があったからだ。ゴルゴンは、三人姉妹の合体した怪物で、その姿を見てしまうと石にされてしまう大変危険な怪物だった。しかし、アテーナーから楯を、ヘルメースから飛行靴を送られてペルセウス座の二重星団の主たちは戦った。その結果、悪名高き怪物ゴルゴン(メデューサ)を退治することが出来たのだった。
「私はね、ペルセウス座の二重星団の賢者様に助けられたの。それで、その恩返しのために宇宙中を回っているのよ。この星でも、怪物ゴルゴン(メデューサ)を正義のために使えば、きっと大怪獣ガッペラーを倒すことが出来るわ。そのゴルゴンを使うことが出来る勇者がウンザ・レンジャーなんですよ」
 話し終わったアンドちゃんは、うっとりして賢者様を思い出しているようだった。

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