80歳に向けて・「新風来記」・・・今これから

風来居士、そのうち80歳、再出発です。

窓際の老人

2017年11月14日 20時30分03秒 | 考える
窓際の老人
ふと見上げると、閉じられたガラス窓の向こうから見下ろしている
老人と目が合った。 ()
「あっ・・・」と思い、会釈をして、再び顔を上げると、すでに老
人の姿は見えなくなっていた。 ()
窓に映った老人の顔が、一瞬、何故か淋しそうに見えたのは、私の
気のせいだったのだろうか?

老いさらばえていく自らを、通りのショウウインドウの中に見て、
朝の出がけのことを思い出した。

窓際にいて、じいっと私を見下ろしていた老人、
ひょっとして、彼は、私自身ではなかったか?

待て、待て・・・、すると、見上げていたのは一体誰だったのか?


老いてなお、いや老いたからこそ求め続ける。
が、気が付けば、思いにまかせぬ体に成り果てていた。


今さら他人に「借り」を作ってどうする?
返す当ても、その時間も無い。


起きがけに、夢を見た。

ひなびた温泉宿で。
自動販売機でコーヒーを買おうとしたら、コイン投入口に何やら
詰め物がしてあって使えない。

姿は見えないが、すぐ近くで、誰かが「ホンジョウナオキ」と連呼
している。

本庄直紀? ・・・誰?


私が何を飲もうと、今のところは、誰にも迷惑は掛けていない
つもりだ。
所詮は、私個人の価値観の問題だろう。

古酒を飲む。
これが、生きた証とは・・・、随分とちんけな証だ。


「ちんけ」とは
〘形動〙〔俗〕ひどく劣っているさま。程度がごく低いさま。
 ※さいころ博打ばくちで一の目を「ちん」と呼ぶことから。


夢の中で、しきりに首を振る。
そんなことはない…!!


弟との生活時間帯の違い。
朝、目覚めて独り思う。

私の体内時計が大いに狂い始めているのではないか?

ふらり、いつものようにバス停までやってきたものの、行くべき当
てもなく、曇り空を見上げる。

風が冷たい…!!
寒~い…!!



相変わらず、考えている。

自分の生き方は本当にこれで良かったのか?
今さら、この歳で何を考えようと無駄なことは判っている
・・・つもりだ。

現状を考えてみる。
過去、・・・今までの人生を、何やら「食いつぶしているだけ」
そんな気がする。


弟に対抗して、もう一働き、金を稼ごうと思っていた。
が、現実はそうそう甘くはなかった。

退職直後ならば、もそっと何とかなったのかも知れないが、
退職後5年、年齢も70を超えているヨボヨボ爺さんに仕事を頼も
うなどと考える人事担当者がいるとも思えない。



ひとりぼっちで飲む酒は、遠い昔の味がする。
昔、そんな歌があったような・・・。
調べてみた。

どうやら、美空ひばりさんの「悲しい酒」「もと」だったらしい。


悲しい酒
作詞:石本美由起、作曲:古賀政男、唄:美空ひばり


1 ひとり酒場で 飲む酒は
  別れ涙の 味がする
  飲んで棄てたい 面影が
  飲めばグラスに また浮かぶ

    (セリフ)
    「ああ 別れたあとの心残りよ
    未練なのね あの人の面影
    淋しさを忘れるために
    飲んでいるのに
    酒は今夜も私を悲しくさせる
    酒よどうして どうしてあの人を
    あきらめたらいいの
    あきらめたらいいの」

2 酒よ心が あるならば
  胸の悩みを 消してくれ
  酔えば悲しく なる酒を
  飲んで泣くのも 恋のため

3 ひとりぼっちが 好きだよと
  言った心の 裏で泣く
  好きで添えない 人の世を
  泣いて怨んで 夜が更ける


そう言えば、カセットで何度も聴いた曲だ。

私の現在の気持ちを表しているような・・・。