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浮世絵展、語りのこし

2014年03月31日 | セレネ美術館

幕末明治の浮世絵探訪展・・・昨日、終了いたしました。

楽しい作品、美しい作品、不思議な作品、往時を感じさせてくれる作品、考えさせてくれる作品・・・・

いろいろな作品がありました。

そのいつくかはこのブログでご紹介しましたが、まだ書きたかった作品もあります。

ということで、気になった作品を書き散らします。

 

春の明ぼの 歌川国輝   弘化4年1847年

はるのあけぼの うたがわくにてる

庶民のお正月風景が描かれています。門松が飾られた家の前で、武者が描かれた、自分より大きい凧をほこらしげに持つ子供。

その向こうでは女性が羽根つきを楽しんでいます。遠景には、屋根の上に、やっこ凧、鳥型の凧などが多数上がっています。

気になるのはその中に蛸(タコ)の形をした凧があること。しかもど真ん中に。

タコが扇を持ったデザインです。

これ本当にあったのかな? 絵師のお遊びでは・・・と思っているのですが・・・さて?

 

 

聖徳太物部守屋誅伐ノ図 

歌川国芳 嘉永5年1852年

しょうとくたいし もののべのもりや ちゅうばつのず   うたがわくによし

武将の格好をした聖徳太子が、目から強力なビームを発射しています!

・・・言いたいのは、それだけ!

ところでビーム表現の元祖はなんなのでしょう? 仏の後光とかになるのかなあ?

 

 

萬国男女人物図会  歌川芳幾  文久元年1861年

ばんこくだんじょじんぶつずえ   うたがわよしいく

絵の上部には、いろいろな国名が、下部には十数名のいろいろな国の人たちが描かれています。

イギリス、フランス、ロシア、アラビアなど(漢字表記です)おなじみの国のほか、

「小人国」や「女人国」、「腹無国」

(人物のおなかが極端にへこんでいます)など、想像上の国や人も。

まさか信じていたわけではないでしょうけど・・・絵を見ていると、楽しいですね。

 

 

江州坂本入江の浪士白狐にたぶらかさるる図

歌川国芳  明治14年1881年

ごうしゅうさかもといりえのろうし しろぎつねにたぶらかさるるず    うたがわくによし

白狐が化けた大名行列が長く続いています。列の後ろにあたる右の方は狐の顔をしていいますが、

しだいに変わり、列の先頭となる左の方では人間の顔をしています。

たまに、しぐさがおかしいのが混ざっていたり、すまし顔のヤツなど様々な姿が描かれています。

国芳は楽しんで描いたんでしょうね。

 

 

東京年中行事之内 一月一日各長官参賀之図  

歌川国利  明治10年1877年

とうきょうねんじゅうぎょうじのうち いちがつついたち かくちょうかんさんがのず  うたがわくにとし

元日、政府高官が宮中に参内する姿を描いています。もちろん想像で。

人物の横には「伊藤公」「大隈公」(もちろん伊藤博文に大隈重信)などの解説札が描かれていますが、顔は・・・別に似ていません。

遠近法的にもちょっとおかしいところがある稚拙な感じの絵ですが、大らかな明るさが伝わってくる作品です。

華やかな宮中の行事を、国民は浮世絵を通してみていたわけです。

 

 

チラシ表にも掲載しています

上野公園開花ノ図 揚州周延  明治20年1887年

うえのこうえんかいかのず  ようしゅうちかのぶ

いわゆる鹿鳴館ドレスを着た貴婦人が連れ立って、桜を楽しんでいる姿を描いています。

ドレスの柄、色使いも上品で、明治浮世絵の「美人画」といえるでしょう。

当時の風俗を教えてくれる美しい作品です。

 

 

・・・というところで、明治浮世絵の探訪展とは本当にお別れです。

それでは、またの機会にお会いしましょう!

 

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

 

終了していますが一応・・・

幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 

 

 


浮世絵展をふりかえる

2014年03月30日 | セレネ美術館

 

本日で最終日となりました幕末明治の浮世絵・探訪展

今まであまり知られていなかった時代の浮世絵を紹介することができたと思っています。

 

 

そもそものきっかけは、宇奈月温泉開湯90周年にあたり、90年前(大正12年)の絵画を調べていたところ

偶然、さらに前の幕末明治期の絵画(浮世絵版画)に出会いました。

これが今まで見たことのない種類の作品群で、その面白さにたちまち惹きつけられました。

セレネ美術館は、現代日本画を専門とする美術館でもあり、これらの浮世絵は今日の「日本画」の

源流のひとつともいえることから、この展覧会を開催することといたしました。

 

 

これまで紹介してきたように、浮世絵は次第に社会性を獲得し、世間の情勢を伝え、幕府を暗に批判したり、

政府広報や報道写真的な役割を果たすようになります。

これは多量に刷られ流通する出版情勢から成り立ったのは言うまでもありません。

しかし、それは絵師の、彫師の、刷り師の、感性と技術をつくした作品があってこそ可能だったのであり、

だからこそその作品は人々に愛されて広まり、今日にまで残っているのではないでしょうか。

 

 

海外に流れた浮世絵はごく一部で、もっと多くの作品が国内にあるのでは、と考えられています。

なにしろたくさん刷られましたし、もともと薄い紙ですから保管に場所もとりませんしね。

そうそう、昔の人は浮世絵を額に入れて飾ったりはしません。手に持って見るのが基本で、

壁やふすまに貼ったり、洗濯ばさみで紐につるして鑑賞(?)したそうです。

現代でも、誰に見せるでもなく一人でうっとりと眺めている人もいれば、

家にある古いタンスの引き出しに入っているのを知らないで生活している人もいるかもしれません。

あなたの家の壁紙をはがすと、その下にあるかも?

そう考えるとなんだか楽しいですね。

 

 

さて、展覧会の内容をふりかえってみましょう。

浮世絵は、歌麿に代表される「美人画」の時代が終わり、「武者絵」や「歴史絵」の時代へと移行します。

絵師たちは、武者の活躍を大胆な想像力で迫力満点に描きました。

その表現の工夫は今日の劇画やマンガへと続いていきます。

一方、ただ武者の姿を描くだけでなく、そこには幕府を批判する意味をこめていました。

その風刺精神は新聞の挿絵、あるいは週刊誌などに受け継がれているといえるかもしれません。

凝った空間構成、登場人物たちの心情・・・それらは日本画に脈々と受け継がれています。

世相を描き、大事件などを取り上げた新聞浮世絵は、そのまま新聞に代表される報道に。

木版の技術は、創作版画に。

今日の日本の生活や文化は、まさに幕末明治の浮世絵で知った世界の延長上にあるといえます。

庶民は娯楽を愉しみ、情報を求め、その内容に、ある時は喝采をあげ、ある時は不安を覚えていたのです。

現代の我々と同じように。

その空気を感じていただけたのでしたら誠にうれしく存じます。

 

最後になりましたが貴重な作品をお貸しくださいました

「浅井コレクション」管理者で本展の監修 浅井 收 様

企画協力の E.M.I.ネットワーク 様に 甚深なる感謝の意を表します。

 

 

幕末明治の浮世絵展概要&展示作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 


大日本帝国、日清、日露戦争ニ勝利ス

2014年03月29日 | セレネ美術館

浮世絵は庶民の娯楽として、楽しい絵や美しい絵を生み出す一方、社会の世相を伝えるうちに、

次第に(今日でいう)報道写真としての役目も備えるようになりました。

昨日紹介した、大日本帝国憲法発布式の様子を描いた浮世絵は、まさにその代表的な作品といえるでしょう。

そして、時代は日清、日露戦争へ。

浮世絵師たちはここでも活躍しています。

転載禁止でお願いします

我艦隊於黄海ニ清艦ヲ撃チ沈ル之図 

小林清親   明治27年1894年

わがかんたい こうかいにおいて しんかんをうちしずめるのず   こばやしきよちか

 

今まさに沈みゆく清の戦艦、亀裂の入った船体、立ち上る泡、おぼれる人々、巨大な海底の岩・・・

海上では砲撃を受けて煙をあげる別の船も描かれています。

海中と海上の2つの世界を同時に描く、絵画のみに可能な構図です。

激しくも、静かな印を受けるのは、落ち着いた色彩で描かれているからでしょうか。

戦争画ではありますが、だからこそ臨場感と絵画性をあわせもつ、明治浮世絵の傑作のひとつです。

 

この新聞浮世絵をみて、庶民は大歓声をあげたことでしょう。

文字が読めなくても、一目で情報を伝える新聞浮世絵は多くの庶民から熱烈に求められました。

この後起こった日露戦争の状況を伝える新聞浮世絵も多数制作されています。

(本展にはマカロフ中将奮死の図、露国コザック騎兵を撃退の図、

乃木大将とステッセル将軍会見の図の3点を展示)

 

ご存じのように日本は日清、日露戦争に勝利します。

日清戦争の勝利により、日本は遼東半島などを得ますが、ドイツ、フランス、ロシアの三国干渉により、

その権利を放棄することになります。

今まで、国際法が、などと上から目線で話していた西欧諸国が、正当な権利を有する日本に

不当ないいがかりをつけてきたことは、西欧白人国家がただの貪欲で自分勝手な国にすぎないこと、

かつ世界は力の原理で動いていることを自分たちで証明したと言えるでしょう。

やがて起こった日露戦争は、近代において東洋人がはじめて西洋人を打ち負かした画期的な出来事でした。

このことはどれだけ強調しても強調しすぎることはないでしょう。

そして、日本の勝利は、西洋の植民地として長らく白人に支配され搾取されている他のアジア民族を大いに勇気づけます。

また日本がロシアの捕虜を大切に扱ったことはよく知られています。

その道徳性においても日本は西欧白人に勝利したのです。

 

さて、一方新聞浮世絵は、印刷技術の発達にともない、その位置を「写真」にとってかわられていくことになります・・・

 

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 

 

 

 

 

 


博覧会、博覧会!

2014年03月28日 | セレネ美術館

明治5年3月10日、東京の湯島聖堂(=昌平坂学問所)において文部省博物局による博覧会が開かれました。これが「国」による初の博覧会。

この博覧会は、翌年のウィーン万国博覧会への出展準備の意味もあり、全国から、文化財、剥製、標本など600点以上を集めました。

その様子を伝えるのが

 転載禁止でお願いします

元ト昌平阪聖堂ニ於テ博覧会図  

昇斎一景  明治5年1872年  

もとしょうへいざかせいどうにおいてはくらんかいず   しょうさいいっけい

 

絵の中央にあるのは、名古屋城の金のしゃちほこ

きちんとガラスケースにいれられています。

(ちなみにこの金のしゃちほこは、ウィーン万国博覧会にも出品され大人気になったとか)

一番手前の水鉢には生きたオオサンショウウオが。(大和国(奈良県)からの出品)

(絵だけ見ると、どうも甲羅のないカメのようにしか見えないのですが・・・)

このふたつが博覧会の二大人気展示だったといいます。

また左右の回廊にはおびただしい数の展示品と、それを見る人の頭、頭、あたま、あたま!

展示品をざっとみると、鉱物らしきもの、鎧兜(よろいかぶと)に鞍(くら)、陶器、木製品、胸像、盆栽(珍しい植物?)、

そして、イノシシ、タヌキ、鷹、カメなどなどの剥製、剥製、剥製。

一番右には巨大な生き物の頭蓋骨まで!(なんでしょう。マウマンゾウとか? 恐竜かも

この絵には描かれていませんが、正面の聖堂内では絵画や書なども展示されたそうです。

緑色と青色を主色とした落ち着いた画面ですが、中央へ集まる透視画法の技法によって会場の奥行が強調され、

大勢の人々がいるうきうきした雰囲気と、手前に描かれた庶民の表情によって、その驚きが伝わってきます。

博覧会は大盛況となり大混雑となったため、入場制限をもうけ、会期も1か月延長したそうです。

入場料は2銭。入場者総数は15万人!(1日平均3千人)

現在の東京国立博物館はこのときをもって誕生したとされています。

 

 

またこの博覧会から5年後の明治10年8月21日には、東京上野で

第1回内国勧業博覧会が開催されます。

これは見世物ではなく、殖産興業を目的としたもので、日本各地からすぐれた技術や作品を集め審査し、優秀なものには褒状などが与えられました。

美術本館、農業館、機械館、園芸館、動物館が建てられ、寛永寺の門上には大時計が、また公園入口には巨大な風車が(地下水汲み上げ用)つくられました。

さらに、上野東照宮から公園には数千個の提灯がともされたといいます。

 

その様子を絵にしたのが

東京名所之内 上野山内一覧之図 

河鍋暁斎   明治10年1877年

とうきょうめいしょのうち うえのさんないいちらんのず   かわなべきょうさい

画像 国立国会図書館デジタルコレクション内 作品写真

 

上空から見下ろした緑の山中に立ち並ぶのは、数々の洋館お寺巨大な鳥居大仏、そして風車

なんだかめちゃくちゃで、にぎやかな雰囲気です。その周囲を大勢の人々が歩いています。

中央に描かれた2台の馬車は、明治帝と皇后陛下が開会式のために臨御あそばされたもの。左右には大勢の人々が立ち並び、両陛下をお迎えしています。

の中に、ところどころ(館名を表す札、旗、寺院の壁など)強烈ながはいっているからか、かの有名画家、暁斎の作品と思うからか、

絵からは奔放なエネルギーのほとばしりが感じられます。

 

この熱狂を持って日本は富国強兵をおしすすめ、見事世界の大国へと成長していきます。

 

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP


セレネ美術館の入館料と開館時間の変更について

2014年03月27日 | セレネ美術館

平成26年4月1日より消費税率が5パーセントから8パーセントに変わります。

これにともない、セレネ美術館の入館料金

一般 600円 → 610円

高校・大学生 500円 → 510円

に変更となります。

何卒、ご了承ください。

 

また、セレネ美術館の開館時間も、これまでの

4月~11月 9:00~18:30(入館は18:00まで)

12月~3月 9:00~17:30(入館は17:00まで)

通年(1年を通して) 9:00~17:30(入館は17:00まで) となります。

 

休館日は、これまで通り 11月~3月の火曜日(4月~10月は休館日なし)で変更ありません。

 

セレネ美術館HP

 


大日本帝国憲法発布式之図

2014年03月27日 | セレネ美術館

本日ご紹介するのは格調高き作品

       画像転載禁止でお願いします

新皇居於テ正殿憲法発布式之図  

安達吟光     明治22年1889年

しんこうきょせいでんにおいて けんぽうはっぷしきのず  あだちぎんこう

 

明治22年2月11日、大日本帝国憲法が発布されます。(施行は翌年11月29日)

帝国憲法は、プロイセン(現在のドイツ)の憲法を参考につくられました。

そもそもは外国との不平等条約を解消しようとする明治政府の努力のひとつであり、

法律的な内容においてなんの問題もありませんでした。

ひらたく言えば、憲法もない非民主的な国とは不平等条約を解消しないという外国のいちゃもんに対し

先達は真面目に熱心に取り組んだのです。

実際、これらの努力が実って、不平等条約は解消されます。

つまり、外国も文句のつけようのない民主的な憲法だったということです。

(いえ、現行の日本国憲法に対して帝国憲法は非民主的な憲法だったと誤解されている方が多いので、念のため)

 

さて話を絵にもどして・・・

絵の中央、壇上におわすのは明治天皇。その前で憲法をうけとっているのは

第2代総理大臣、黒田清隆(くろだきよたか)。

画面左には皇后陛下もいらっしゃいます。

居並ぶ大官貴顕、紳士淑女。壮麗にして厳粛な雰囲気です

圧倒されるのは正殿の豪華にしてシックな装飾。

じゅうたん、壁面、天井、シャンデリア・・・どれをとっても落ち着いた華やかさが感じられます。

日本国史上に記念すべきこの日。

画家の絵筆も緊張でふるえたことでしょう・・・と、思いきや解説によれば

画家はこの場面を想像で描いたとか。

列席した人から話を聞いて描いたのか、せめて正殿は(式典後にでも)見せてもらえたのか

(絵師が御所にはいるのは難しそうですね・・・)気になるところですが、間違いなく素晴らしい作品です。

そして絵師の力によって、この場面を日本中の人が見ることができたわけです。

まさに浮世絵の力といっていいでしょう。

 

そして昨日紹介した明治浮世絵の赤。初期の作品を見るとやや使いすぎの印象もありましたが

この作品では見事に消化され、最も効果的な個所に使われており、画面を華やかにひきしめています。

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

 

セレネ美術館HP

 

 

 

 

 

 


明治浮世絵の赤

2014年03月26日 | セレネ美術館

今や鉄道ファンや鉄道マニアをあらわす「てつ」は、日常でも使われる言葉になりましたね。

日本で鉄道が開通したのは明治5年(1872年)9月12日。

(現在の太陽暦で10月14日。10月14日は鉄道の日になっています)

東京の新橋駅(汐留)から横浜駅(桜木町駅)の約29キロを結びました。

世の中を見つめ、題材を探している浮世絵師が鉄道を描かないわけがありません。

中には実物も見ずに描いた作品も多数あるとか。(当然間違いだらけ)

でも、今日ご紹介するのはちゃんと実際に見て描いた作品です。

 

東京汐留鉄道館蒸気車待合之図 

三代歌川広重    明治6年1873年

とうきょうしおどめてつどうかんじょうきしゃまちあいのず   さんだい うたがわひろしげ

 

画像 国立国会図書館デジタルコレクション内 作品写真

 

煙をはく蒸気機関車の前には、洋装、和装、さまざまな服装の人がいます。これから乗車する人はもちろん、見てるだけのひともいることでしょう。

先日紹介した「東京日本橋風景」とは違って、ここの人たちはなんだか落ち着いた雰囲気ですね。

(絵の左上にある四角い枠には、料金表と発車時刻がかいてあります)

そしてこの機関車は・・・と、マニアの方ならいろいろ語れるのでしょうけど、残念ながらわたくしは「てつ」ではないので・・・

この絵の特徴は、赤色

客車の車体や、人々の衣装のほか、空(!)にも使われています。

夕焼けではないようですが・・・、じゃあ赤い空は変か? と聞かれると、いえいえ、そんなことはありません。

絵としてきちんとまとまっていますし、華やかな空気を醸し出しています。

 

さらに話は変わって、

そもそも浮世絵版画は、墨一色からはじまり、やがて完成した墨の版画に手ぬりで色をつけるようになりました。

とはいえ何色もぬったわけでなく、赤色を要所要所にぬりました。これらは丹絵(たんえ)や紅絵(べにえ)とよばれます。

やがて、版で2~3色の色をつけはじめます。これが紅摺絵(べにずりえ)。

ここまでくると多色木版になるのは時間の問題。わたしたちが思い浮かべる浮世絵である、

多彩な色をつかった錦絵(にしきえ)が誕生します。

 

さて、明治になると外国から安価な化学染料などが入りはじめます。

その発色の良さにひかれたのでしょう(安かったのもあるそうですが)、に特徴ある浮世絵が多数刷られました。

今日ご紹介しているのもそうした作品のひとつ。

 

そして、この時代でもうひとつ特徴的なのが、画中の柱や屋根などを使って透視画法を強調するように描いているところ。

きっと、使ってみたかったんでしょう。うんうん。

 

なお、本展覧会には同じ特徴を持った作品として

横浜英吉利西商館繁栄図 歌川芳幾 

明治4年1871年  よこはまいぎりすしょうかんはんえいず

訓童小学校教導之図 小林清親(肉亭夏良) 

明治7年1874年  くんどうしょうがっこうきょうどうのず

が展示されていますので、あわせてご覧ください。

文明開化の華やかな雰囲気が感じられる作品です。

 

また同じ作家である 三代歌川広重 

東京名所之内 銀座通煉瓦造鉄道馬車往復図 

明治15年1882年 とうきょうめいしょのうち ぎんざどおりれんがづくりてつどうばしゃおうふくず も展示されています。

この作品は時代がくだったこともあり、さらに洗練された軽快な構図をもつ作品となっています。

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

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花のお江戸は八百八町

2014年03月24日 | セレネ美術館

花のお江戸は日本橋。そのにぎわいを描いた作品をご紹介します。

 

東京日本橋風景 歌川芳虎 明治3年1870年

画像 国立国会図書館デジタルコレクション内 作品写真

 

絵の中央にかかる日本橋。左には蔵が立ち並び、右の奥には商家が軒を連ねています。

そして、橋の上や、手前の道を行きかうものすごく大勢の人々。

肩に荷を担いだ人、荷車を引く人といった仕事人の他にも、ひまそうな男性集団や

二人連れの女性、供を連れたお相撲さん(らしき)の姿も見えます。

しかし注目は、多数の馬車が行きかっていること。

そして、明治3年に発明された人力車も走っています。

(この絵の人力車は豪華なイスの上に、4本の細い柱で支えられた屋根がのった、

しっかりした感じの造形です)

そしてそして一番おもしろいのは三輪自転車!

着物にちょんまげの人

自転車をこいでいるのは不思議な光景です。

一人乗りタイプと二人乗りタイプもあって、なんだかハイカラな雰囲気。

外国人と思しき人は、2輪の自転車にのっています。

4人乗りの馬車にも、着物にちょんまげの人がのっていて、なにか違うような、楽しいようなぞわぞわした気分。

洋装の人や外国人もおり、日本の風景の中にはいった外国要素が醸し出す雰囲気は

う~ん、エキゾチック!

なんと、4頭の馬で引く、2階建馬車まで走っています! (誰がのってたんでしょう?)

 

これ、実際の作品を見ているから、ほぉーって思いますけど、

もし、絵の写真だけ見せられたら、現代の画家が面白おかしく描いた作品でないかと結構疑ってしまいそうです。

 

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

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源頼光公館土蜘作妖怪図 歌川国芳

2014年03月23日 | セレネ美術館

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源頼光公館土蜘作妖怪図 歌川国芳 

天保14年1843年

みなもとのよりみつこうやかたつちぐもようかいをなすず  うたがわくによし

(この絵では「蜘」の一字で「くも」とよみます)

 

でました!

日本一の奇想の絵師、歌川国芳の代表作のひとつ。

まあすごいとしか言いようのない、妖怪のオンパレード。

平安時代の武士、源頼光と配下の四天王による土蜘蛛(つちぐも)退治に題をとった作品・・・

とみせかけて実は、贅沢を禁止した天保の改革を痛烈に風刺した作品といわれています。

 

奥で寝ており、土蜘蛛の作りだす幻影に悩まされているのは源頼光・・・とみせかけて、

12代将軍徳川家慶(いえよし)。国家危急の時に惰眠をむさぼっている姿とか。

その前で主君の危機にそっぽを向いているのは卜部季武(うらべのすえたけ)・・・とみせかけて、

天保の改革の中心人物、老中、水野忠邦(みずのただくに)。

碁を打つ右の人物は、渡辺綱(わたなべのつな)・・・とみせかけて、老中、真田幸貫(さなだゆきつら)

碁の対戦相手は、坂田金時(さかたのきんとき)・・・とみせかけて、老中、堀田正睦(ほったまさよし)

左端の湯のみをもつ人物は、碓井貞光(うすいさだみつ)・・・とみせかけて、老中、土井利位(どいとしつら)

このへんは人物の服の家紋や模様から読み取れるそうです。

そして奥にいる妖怪たちは、庶民の天保の改革への不満をあらわしたもの。

ちょうちん妖怪は富くじ、その下の女性妖怪は町芸者、歯がない妖怪は「歯無し」=「噺」家・・・が、幕府閣僚に

襲いかかっている場面であると、庶民は絵解きを楽しみ、溜飲を下げて大喜びしたそう。

この絵は江戸で大評判となり、そのあまりの評判にびびった

版元は自主的に絵を回収しました。

でも庶民は欲しい! すると、でるのですね、パクリが

別の版元が、別の絵師に、似た構図で描かせたものが多数出回りましたが、

その版元は幕府からお咎めを受け、絵は発禁処分となったそうです。

・・・と、長く書いてしまいましたが、現在この絵を見ると、これが老中とかはどうでもよくて、やはり見どころは

このユーモアあふれる多彩な妖怪たちでしょう!

不気味なのから、かわいらしいのまでよりどりみどり。

ちなみに、わたしのお気に入りは左端の赤い衣装を着たヤツの額にのってるフクロウみたいなヤツです。

うん? と思ったら、これは飾り?

フクロウ(ミミズク?)が象徴する商売の人の妖怪なのかな?

では次点はこいつ(赤いの・・・木魚?)

これもなかなか(口をあけた目の下にクマがあるヤツ)

番外

じっくり、つぶさにご覧ください!

 

(この絵の自主回収等の件に関しては 「図説 妖怪画の系譜」30頁にでています。 

兵庫県立歴史博物館・京都国際マンガミュージアム編 河出書房新社 2009年初版)

 

幕末明治の浮世絵展概要&他の作品紹介へ

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 


羅城門の鬼退治

2014年03月22日 | セレネ美術館

今日ご紹介するのは、チラシ裏面にも掲載している

羅城門渡辺綱鬼腕斬之図 歌川芳年 

明治21年1888年

らじょうもん わたなべのつな きわんざんのず  うたがわよしとし

 

(転載禁止でお願いします)

紙をたてに2枚つなげて描かれた作品です。

浮世絵だけをみてくるとおッと驚く画寸ですが、掛け軸として考えれば不思議ではないですかね。

 

渡辺綱が屋敷で宴会をしていたところ羅城門に鬼がでるという噂話に。

都の門に鬼がいていいわけがないと、綱は鎧をまとい、先祖伝来の太刀をもち、

供もつれず一人で確かめに出かける。

羅城門に近づくと、はげしい風が吹き、馬が動かなくなる。

はたして後ろからあらわれた鬼が兜をつかむ。

斬りつける綱。はげしいやり取り。兜を奪われる綱。

さらに斬りあい、ついに鬼の片腕を切り落とす!

鬼は「腕は必ずとりもどす」といって黒雲の中に去るのだった・・・(続く)

 

いや~、手に汗握る展開です。

命のやり取りをする緊迫の瞬間をとらえた作品。

武者の優美さ、構図の絵画性、躍動感を表す線の動き、張り詰めた空気・・・

浮世絵からマンガや日本画が生まれてきたことが一目でわかる作品ではないでしょうか。

芳年(別名 月岡芳年)は浮世絵師といわれますが、その門下からはやがて北野恒富(きたのつねとみ)、

鏑木清方(かぶらぎきよかた)、伊藤深水(いとうしんすい)といった「日本画家」たちが現れてくることになります。

 

余談ですが、この鬼の腕を斬った太刀は、現在ものこっています

重要文化財。北野天満宮所蔵。日本すごすぎ。

物語では羅城門ですが、実際の綱は一条戻橋(いちじょうもどりばし)で鬼の腕を斬っています。

そのことから鬼切(おにきり)と呼ばれましたが、もともとの名前は髭切(ひげきり)。

罪人を試し切りした際、あまりの切れ味にその髭もすぱっと斬れたところから名づけられたそう。

後世、源頼朝の手にわたり、ご存じのように彼は鎌倉幕府をおこします。

すごい歴史だな~

 

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 


早竹虎吉の大サーカス

2014年03月21日 | セレネ美術館

日本のパスポート第1号は誰が受け取ったかご存知ですか?

たまにクイズで出題されますが、その人の名は隅田川浪五郎

彼の職業は・・・なんと奇術師! 

(紙で作った蝶を扇であおぎ舞わせるのが得意技とか。きっと美しかったことでしょう)

ちなみにパスポート1号から18号までが、その曲芸団の団員さんで占められています。

彼らはアメリカの興業師に雇われ、アメリカやヨーロッパで興業を行ったのですが、各地で大喝采をあびたといいます。

なんと2年にわたり、ほぼ全ての西欧諸国を廻ったとか。

 

さて、今日ご紹介する浮世絵も曲芸師を描いたもの。

 

「早竹虎吉」 歌川芳虎 安政4年1857年

はやたけとらきち  うたがわよしとら

 

早竹虎吉一座は安政4年に、大阪から江戸へ出て興行を打ちます。

これが超のつく大人気に。

2カ月の間に浮世絵30種以上がつくられたそうです。

(彼は慶応3年、一座30名を率いてアメリカにわたり人気を博しましたが、その地で客死しました)

虎吉の得意技は(絵にも描かれていますが)、仰向けに寝転んで両足を上にあげ、

そこに人の背の3倍ほどもある長い竹を一本ずつのせ、竹の先端には短い「橋」が置かれ、

その橋の両端から、つま先をひっかけただけの2人ぶら下がっているというもの。

画中にはほかに、人間より巨大な独楽を右手の上で回している人や、どうみても細すぎる行灯を並べ、

その上を歩く人、木の枝からつま先だけひっかけてぶら下がった2人が手で持つ綱の上を

綱渡りしている人など、今見てもすごい芸の目白押し。

ユニークな日本の衣装と言い、この芸のすごさといい、外国でも受けたのは当然という感じです。

なお、雷様も描かれているのですが、電気をつかった芸があったのかな? 

 

さて、この絵のポイントは中央の奥に描かれた横線

青と白の縞模様なのですが、これが画中に躍動感を与えています。

いわばマンガの動きを表す線そのもの

赤、青、白の限られた色で、見事に華やかなわくわくする空間を描きだしています。

 

この絵をみた子供も大人もたまらなかったことでしょう。

浮世絵はチラシ、ポスターの役割も果たしたということですね。

そして、彼ら曲芸師によって日本の国際交流はスタートしたようです。

 

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幕末明治の浮世絵・探訪展

~幕末の歴史絵から明治の開化絵まで~

期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

会  場 黒部市宇奈月国際会館・セレネ美術館 3階展示ホール

富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

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ええじゃないか

2014年03月20日 | セレネ美術館

いよいよ、江戸時代も終わりに近づいてきました。

そのころおこった不思議な出来事といえば、「ええじゃないか」ですね。

幕末も幕末な慶応3年(翌慶応4年が明治元年になります)の出来事で、発祥地を巡っては

名古屋、豊橋、京都説などがあります。

空から、ありがたいお札が降ってきて、慶事の前触れと民衆が熱狂的に踊り狂い、

たちまち東海、近畿、四国に広まったといいます。

(ええじゃないかは、西の方の言葉で、東海ではそうした言葉は言わなかったそうです。)

慶応3年8月にはじまり、同年12月に『王政復古の大号令』が発せられると止んだといいます。

まるで誰かの陰謀を疑いたくなるようなタイミングですね。

その「ええじゃないか」はもちろん浮世絵にも描かれております。

 

豊饒御蔭参之図 歌川芳幾 慶応3年1867年

ほうねん(画中の題字のふりがながそうなっています)おかげまいりのず  うたがわよしいく

 

制作年は、まさにええじゃないかの年ですね。その情報の早さがうかがえます。

実際ええじゃないかより、浮世絵で描かれたええじゃないかの方が早く伝わったそうです。

ところで「ええじゃないか」「御蔭参り」は本来別物。

御蔭参りは江戸時代60年に一度(計3回)おこった伊勢神宮への自然発生的な集団参拝をさします。

数百万人が訪れたとか。

勤め先を勝手にぬけだしたり、子供が親に内緒で出かけたりという、

すごい現象でした。

それでも安全に旅ができるのが日本のすごいところ。犬がお参りした例もありますしね。

 

さて、本作品に描かれるのは、のどかな田舎の風景。空には「太神宮」とかかれたお札が舞っています。

その下に40人弱の人々がいて、お札を編み笠で受けようとしたり、手でとろうとしたりしています。

そのしぐさが踊りのように見える人から、のりのりで踊っている(ようにしかみえない)人まで

様々ですが、踊っているのは描かれている人数の半分くらいですね。

残りの人はその様子を楽しそうに見たり、大口をあけて笑ったりしています。中には不思議そうな顔の人も。

画面には「天照皇太神宮」とかかれたのぼりも描かれており、伊勢への参拝の人もいる様子。

人々の顔はマンガのキャラクターそのもの。お年寄りから、あっけらかんとした子供、

つつましやかな女性、健康そうな男性と、まさしく老若男女いろいろな人が表情豊かに描かれていますが、

服装を変えれば、このまま昭和のマンガに描かれていてもおかしくありません。

 

作品から受ける印象は、狂奔というよりは

おだやかな村祭りの大規模なものという感じですね。

実際はもっと熱狂的だったのでは、という意見もありますが、どうでしょう?

絵師は現場を見てこの絵を描いたわけではありませんが、わたしはこの絵のごとくだったのでは、

という気がしています。当時の人々の生活を思えば。

それに、現代日本においても、サッカーで日本が勝利した際にみられた熱狂的な現象と言えば、

交差点が青になると、すれ違う人とハイタッチしながら渡るというものでしたしね。

 

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時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

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もののふの姿(その3)

2014年03月19日 | セレネ美術館

みなさま、お待たせしました。

本日(3月19日)より、幕末明治の浮世絵・探訪展の後半がスタートします!

と、いうわけで作品紹介をつづけます。

のっけからなんですが、

姉さん、です、大蛇です。

でっかい蛇が巨大なと口をカッと開いて、不気味な胴体をくねらせています。

 

画面中央に巨大な蛇の顔があるものだから、迫力満点、目が離せません。

その蛇を囲むように3人の武者が刀を振るい、一人は蛇に刀をぶっさしています。

 

義仲ノ四天王木曽奥山ニ是ヲ退治 

歌川芳員 弘化年間(1847~1847)

よしなかしてんのうきそおくやまにこれをたいじ  うたがわよしかず   です。

 

芳員も、かの奇想の人、国芳の弟子。 武者絵などのほか文明開化の横浜を描いた絵で知られています。

ところでタイトルの「是」は、「これ」でいいんですかね。(タイトルは絵の中に書いてあるのです)絵を見たら分かるだろう!・・・と?

(「是」の字で、うわばみとか、みずちとか、おろちとか読むのか調べてみましたがそんな例はないようなので、やはり絵を見ろってことかな)

う~ん、やっぱり国芳の弟子だ。

 

さて、絵は題名の通り、義仲四天王(画中には5人おりますが。しかも義仲ではない)による蛇退治の図。

もう退治している図というよりは、みどころを全部にもっていかれています。

先にも書きましたが、巨大な目玉、口、鱗の不気味なこと・・・

夢に出てきそうです。

 

周囲は切り立った断崖、わずかな松が張り付き、滝のごとく水も流れ緊迫感ある場所。

この後、武者さんたちは頑張って蛇をしとめるのでしょうけど、もうそれはどうでもいい!

を描かせろ!という声が聞こえてきそう・・・

 

・・・話をそらして、この四天王の主、木曽義仲(きそよしなか)は、

倶利伽羅峠(くりからとうげ 富山県と石川県の境にある)で、火牛の計により

多数の平家の軍勢を打ち破りました。なのでここ富山や石川では有名人。

征夷大将軍にものぼりつめました。(朝日将軍とよばれました)

四天王のほかにも巴御前(ともえごぜん)という魅力的な女性も登場しますね。

今、木曽義仲を大河ドラマの主人公に! という運動もあるとか。

義仲のエピソードを読むと、従来の義仲像(悪人とか間抜けとか・・・)では説明できない

魅力的な部分がたくさんあるので、もし実現するなら、ぜひこれまでの義仲像と違う、

快活な一代の風雲児として描いてほしいですね!

 

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幕末明治の浮世絵・探訪展

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期  間 平成26年 3月1日(土)~3月30日(日)

時  間 9時~17時30分(入館は17時まで)

休館日 毎週火曜日

入館料 一般800円 高校・大学生700円 中学生以下無料

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富山県黒部市宇奈月温泉6-3 TEL 0765-62-2000

セレネ美術館HP

 

 

 

 


ラシャペル・ユーゴの観光講座

2014年03月17日 | イベント情報

黒部市国際交流員のラシャペル・ユーゴさんによる観光講座

「外国のお客様のおもてなし」が開催されています。

彼はモントリオール出身のフランス系カナダ人。昨年から黒部市に赴任してます。

日本語はペラペラ漢字もばっちり。英語のほか、フランス語、エスペラント語が話せ、

今スウェーデン語を勉強中とか。

ラシャペルは名字で、ユーゴが名前。本人の希望で、姓名の順で表記しています。

ちなみに、「ラシャペル」はフランス語で小さな教会を意味するそう。

なので、日本語だと「小寺」になりますと自分で言っています。

 

思ったよりも大勢のお客様にお越しいただきました。

この講座が、皆様のお役に立てば幸いです。