関とおるの鶴岡・山形県政通信

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後期高齢者医療制度、市民の声を受け止めよ

2008年06月26日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 26日(木)の本会議で「後期高齢者医療制度の見直しに関する意見書の提出を求める請願」の討論・採決がおこなわれました。

 山形県社会保障推進協議会から提出されたこの請願は、後期高齢者医療制度の根本的な見直しを求めるものであり、廃止をめざす私たち日本共産党の立場からも賛成できるものでしたので、私が賛成討論をおこないました。

 最初に草島進一議員が賛成討論、新政クラブの今野良和議員が反対討論、その次に私が賛成討論、反対討論は無くて、最後に黎明公明の中沢洋議員が賛成討論をおこないました。
 新政クラブの反対討論は、「後期高齢者医療制度は必要な制度だ。この請願は制度廃止を求めているようなので賛成できない」などというもので、多くの市民の怒りにも関わらず、制度維持に固執するものでした。

 採決では、日本共産党の3人、草島議員、中沢議員、連合3人中2人(1人棄権)の賛成少数で否決されました。
 黎明公明(5人)中4人は反対しましたが、中沢議員1人だけ賛成に回りました。
 政党・会派の都合より市民の実情を考えた、思いあまっての行動と思いましたが、制度賛成勢力の矛盾の噴出でもあります。

 私の討論の要旨をご紹介します。

 制度の問題点
 第一、医療費削減を目的として、75才という年齢で差別する。
 他の医療保険とは別枠で重い保険料を課して年金天引きで徴収、払えなければ保険証取り上げ。安上がり診療報酬など、生存権に関わる差別。そして2015年で2兆円、17年後の2025年で5兆円の医療費を削減。
 第二、制度が続けばつづくほど負担が増える。
 後期高齢者診療料、後期高齢者退院調整加算などの診療報酬は、現時点では医療機関が選択しなければ従来通りだが、今後、さじ加減を変えれば「効果」。
 また、後期高齢者の人数が増える毎に、医療費が増える毎に保険料が上がる仕組みで、保険料は2025年には2.2倍にもなると厚労省自身予測。
 第三、すべての世代に負担を押しつける。
 制度の導入の口実に「現役世代の負担を減らす」「世代間の公平を図る」。だが実際は現役世代にも負担増。
 今年度は前年度比で組合健保4300億円、政管健保1500億円、共済組合保険1100億円も負担増。
 四月以降「保険料率を引き上げる」組合が約一割、百四十一組合。
 また、特定健診・特定保健指導開始、健診受診率やMSの改善状況で、現役世代にペナルティー。
制度の正当化を斬る
 ①「75才以上の方々の保険料負担が減る」という主張
 厚労省の調査結果で「全国平均で69%の世帯で保険料が減少」。しかし負担増になる世帯構成を除外したもの。
 本市では、「国保から後期に移行する世帯の91%が保険料が減少」という試算。しかしこれも、加入者の4分の1を占める健保・共済組合からの移行者を除いたもので、当面の軽減措置を含んでのもの。
 何よりも今後、2025年度には保険料が2.2倍にも上がるという見通し。2年に1度の見直しの度に14%も増加していくということ。
 軽減措置が無くなった時、2年後の最初の見直しの時には、大半が負担増ではないか。
 市当局の答弁で、「説明すれば市民はこの制度を歓迎する」などという説明があったが、今後の見通しも含めて市民に正しく説明しているのか。
 ②政府与党の「見直し」策
 「見直し」策は、均等割の軽減率を七割から九割に引き上げること、所得割を50%程度軽減すること、08年度に限ってそれぞれの軽減を拡大すること、年金天引きを一部見直しすることなど。
 軽減の対象者は、合わせても75才以上被保険者の三割以下。「天引き見直し」も納められなくて困っている人は対象にならないもの。
 このような見直しは、制度の本質を何ら変えるものではない。
 ③「医療保険制度、特に国保制度が破綻する」という主張
 確かに国保では、重い国保税に耐えかねて滞納が増大、しかしそれは、国が国保への国庫負担を大幅に削減したことが原因。
 75才以上というもっともハイリスクの方々を抜き出して制度を創設し、それに対する国庫負担をさらに削減するということでは、国保制度以上の矛盾が吹き出すことは明白。
 国の負担が減って医療保険制度の形があっても。医療費が払えずに病院にかかれない人が増えては「制度が将来にわたって維持される」などとは言わない。
高齢者の医療保障は政治の責任
 今年75歳となる1933年生まれは、戦時下の厳しい生活を体験し、十二歳で敗戦を迎えた。肉親を失った方も多い。
 戦後は、自らと家族の生活を支えて世界で最も勤勉に働き、日本社会の復興を担ってきた。1961年、28歳の時に国民皆保険制度が確立され、73年、40歳の時には老人医療費が無料化。現役時代にまさに高齢者の医療にしっかり貢献し、国民皆保険をも支えてきた方々。2025年に75才になる団塊の世代の方々も同じ。
 この方々がもう働けなくなって、医療費もかかるようになった時に、「公平に負担せよ」などと重い負担を押しつけることが許されるものか。それは政治の責任放棄。

無駄遣いやめて医療にお金を

 日本は世界第二の経済大国であるにも関わらず、国内総生産に占める社会保障給付費の割合では世界の後進国、スウェーデンの3分の1、ドイツの半分以下。
 一方で、軍事費が5兆円、道路財源が5兆円、公共事業費はサミット6カ国の分を全部足したものを一国で上回る公共事業費大国。

 多くの国民がこうしたゆがみを見抜いているからこそ、後期高齢者医療制度への怒りが湧き起こっている。
 なお、明日全会一致で提出が予定されている、「後期高齢者医療制度見直しを求める意見書」についてだが、私共は、後期高齢者医療制度は廃止するしかないものと考えるが、廃止までの措置として、国民の利益になることには賛成するという立場であることをこの際申し述べておく。
 以上、賛成討論とする。

 市民のこれだけの怒りの広がりにも関わらず、鶴岡市議会では制度に賛成する議員が多いことにはあきれてしまいます。市民の皆さんの批判の高まりは必至です。