関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

農業シンポジウム

2008年06月15日 | 政治全般

 15日(日)、日本共産党山形県委会主催の「日本の農業と食料問題を考えるシンポジウム」に参加しました。会場となった三川町公民館にはホール一杯の220人が詰めかけていました。
 シンポジストとして、JA営農部次長今野氏、三川町農業委員芳賀氏、共立社生協理事長松本氏、農民センター理事長渡部氏、日本共産党中央委員会農漁民局長有坂氏の5氏がそれぞれの立場から、農業の現状と再生の展望を語りました。


 印象に残った発言を紹介します。
 ①が最初の発言、②が会場からの発言・質問を受けての発言です。

農業委員 ①水稲・枝豆の特別栽培・有機栽培、菜種生産の復活に取り組み、産直で販売。今の国の政策では自給率は向上できない。共産党の言う「不足払い制度」が本当にできるならすばらしい。しかしいろんな意味の抵抗があり、むしろこれからは、環境を守っていく産業として位置づけること、消費者との連携なども必要。
②生産者としてできることは自分の農産物を届けること。今のままでは再生産できないことを伝える。協同組合運動は農家が豊かになることがなければ意味がない。それが農協にとってもいいこと。個人販売をバックアップしてくれたらいいのでは。
JA 
①「豊かな農(みのり)・生活(くらし)・大地(つち)」を基本目標に以下の点に留意している。
 1)環境保全型農業ー特に有機栽培
 2)こだわり農畜産物ー消費者ニーズ
 3)広域集出荷体制・施設
 4)担い手育成のために、集落での話し合いに努力。
 5)低コスト農業
 6)行政との協力
②相当ご意見・ご質問頂いた。生産費を償える価格保障方式・不足払いということだが、国の流れは所得保障で水田経営安定対策。JAは国への請願等もおこなっている。
政策的な部分を含めて、今日出されたご意見は、組織に報告していきたい。
農民センター 
①農民連の行動綱領(紹介)。販売要求にもとづいて産直センター活動。主に関東圏の消費者、保育園、学校給食とのつながり。東京・神奈川の無認可保育園は10年目。子どもの「保育園でたべてるご飯と同じだ」の声で作りつづける勇気をもらった。今の農政のもとで現場は本当に厳しいが、「明日の天気は変えられないが、暮らしや政治は変えられる」
世の中を動かしていくのは国民世論。運動で変える
松本 
①農業は本来「命と暮らしを守る産業」。生産者との提携は、できることから無理をせず、仲良くなることを目的として、地域作りとして、お互いに協力。20年続けてきた。
②「酒田の農家野菜の産直、生協に箱で持ってくるだけで一人年間700万円手取り収入。消費者はキャベツ百円」こういうものを広げていきたい。
有坂 
①「提言」を発表した時は、マスコミは「今更自給率向上?」「ミニマムアクセス米中止は非現実的」などと言っていたが、その後「自給率向上」が当たり前とする事態が急速に展開。福田首相も「自給率向上を通じて、世界の食糧の安定化に貢献する」
「提言」は、日本の農業を立て直していくことを第一の柱にしている。自給率をまず50%に、さらに前進させていく。そのために、持続可能な農業経営。94年WTO協定で輸入自由化。これをやめる。
 国がやるべきことはまず最低限のコストを保障すること。
 環境保全の位置づけも価格保障があってこそ。
 ミニマムアクセス米を日本が70万t買い続けることは世界的にも問題。
 これらの政策に必要な財源は9千億円。現在の5500億円に3500億円で済む
 「担い手」は、家族経営を始め色々な人を育てる。
②農業・漁業・タクシーも、コストを価格に反映させる仕組みが無い。それぞれの分野から声を上げると同時に、国の政治を変える。
 選挙で変えていく。今すぐ政権を取らなくても、共産党が大きく増えれば変わる

 全体を通して、生産者・消費者それぞれが、大変な苦労を強いられていること、その原因である自民党農政の転換が痛切に求められていることが実感されました。
 自給率向上が国民世論となって広がりつつある今、関係者がこのようなシンポジウムも含めて対話し、一致点での共同を広げる中から、きっと展望が開けていくに違いないと思いました。


学校に、全市に、緑のカーテンを

2008年06月15日 | 市政全般

 12日(木)の一般質問で、「緑のカーテン」について、地球温暖化対策として、学校の夏場の高温対策として有効であり、普及すべきということを取り上げました。
 時間は15分ほどですので、全文を掲載します。
 動画は下記の議会HPから。
 http://www.city.tsuruoka.lg.jp/gikai/vod/200806.html

 地球温暖化対策は人類が直面する最大の課題の一つであり、本市としても積極的な施策展開が求められています。本年3月議会でも同僚議員が市の総合的な対策について取り上げ、市当局もその際の答弁の通り、今月、鶴岡市地球温暖化対策実行計画を発表し、今後、地球温暖化対策地域推進計画を検討・策定するとしているところであります。 
 今後求められる取り組みは膨大ですが、今回は緑のカーテンについて限って質問します。
 この取り組みは、簡単に言えば、窓の外など、建物の側につる性の植物を栽培して日光を遮り、冷房に依らずして建物と室温の上昇を抑えるというものです。
 全国的には92年の地球環境サミットの辺りから注目されるようになったのではないかと思いますが、現在ではたとえば東京都の小学校ではH18年度で50校程度実施されていると聞きます。
 本市も昨年、市役所正面でゴーヤを使って実験的に実施し、今年度はさらに規模を大きくして設置されたところであります。
 この取り組みは、室温上昇を抑制する効果が体感されること、緑による快適感、安価で手軽であり取り組み易いこと、さらに内外に宣伝効果があることなど、様々な優れた特徴をもつものであります。
 市としては今後、公共施設や民間事業所、個人住宅などに普及していきたいという考えのようですが、私もその進展を願うものです。
 先進的に取り組んでいる自治体では、推進のために色々な取り組みがおこなわれており、内容は環境部でもよくご承知と思いますが、本市でもそれらも参考にしながら、宣伝・普及するための諸施策をおこなってはどうかと考えますがいかがでしょうか、市の構想を伺います。
 次に、小中学校での緑のカーテンの取り組みについて伺います。
 小中学校の教室の室温は、「学校環境衛生の基準」の中で、冬期では一〇℃以上、夏期では三〇℃以下であることが望ましい。最も望ましい温度は、冬期では一八~二〇℃、夏期では二五~二八℃である。とされていますが、普通教室にはクーラーの設置はおこなわれていませんので、この室温基準はかけ声だけのものになってしまっている訳であります。
 言うまでもなく本市は、夏場の高温で知られる地域であり、加えて今は昔と違って緑地の減少で市街地の気温・体感温度は上昇し、建物の増加で風通しも悪くなっていますので、朝から30度を超え、暑い日には30度台の後半にも達するような教室が、旧鶴岡の市街地の学校を始めとして少なくないものと思います。
 暑さ寒さに負けないたくましい子どもを育てることはもちろん大切ですが、それは、毎日の授業での忍耐によって養うべきものではありません。適切な環境を整えることは、子ども達の学習と健康を支える重要な課題と考えます。
 夏休み前と夏休み明けの一定の時期とはいうものの、「できれば何とかしてあげたい」というのが、事態に直面している多くの先生方の思いであります。
 そこでまず、夏場の教室の室温の状況についてどのように把握されているか、対策の必要性を感じておられるのかどうか伺います。
 次に、具体策として学校における緑のカーテンの普及についてです。
 昨今、子どもらが自然に触れる機会が減少したと言われること、暑ければクーラーのスイッチを入れて終わり、というような生活が広がってきていることなどを考えると、温暖化に関わるエネルギーを使わずに自然の力で快適な環境をつくるという、緑のカーテンの取り組みは、子どもの知性と感性を養っていく上で意義あるものではないかと考えます。
 全国の先進地の学校の例を見ますと、理科の植物の栽培の授業に緑のカーテンがあてられているようですし、さらに進んで環境問題の学習としても有効な教材の一つとなっているようであります。
 私共日本共産党市議団でも先般、全国に名高い高知県香南市の野市小学校の環境教育を視察して参りました。同校の取り組みは非常に広く深い者で、緑のカーテン自体はその一部に過ぎませんでしたが、環境教育の中での位置づけについて理解を深めてきたところであります。
 つまり、学校においての緑のカーテンは、室温対策とともに、教育的な効果も期待できるということであります。
 そこで、各学校に緑のカーテンの情報を提供するとともに、苗の購入費や、ネット・プランターなどの資材代などの手当も含めて、教育委員会として取り組んではどうかと考えますがいかがでしょうか。
以上であります。 

環境部長 緑のカーテンについてのご質問でございますが、緑のカーテン或いはグリーンカーテンと言われておりますけども、夏の暑さに対処するため、建物の窓際にゴーヤ或いはへちまなどのつる性の植物を植えまして、カーテンのように成長させることで、南面や西面からの日光を遮り、室温の上昇を抑えるというもので、全国的にも各地で省エネ対策、或いは温暖化の防止対策、ヒートアイランド対策として、広くおこなわれている。
 この効果といたしましては、まず室温を下げるということでございます。グリーンカーテンを育てている場所とそうでない場所とでは、外壁面での気温差が約10度、室温では2度から3度の差があると一般的には言われておりますし、室温を下げると言うことは、冷房を節約すると言うことで、省エネにもつながっていくということでございます
 また室内から外を見ると、涼しげな緑一杯の景観が眺望できますし、快適な職場環境をつくりますし、どんどん伸びてくる葉を毎日見ておりますとその変化も楽しめる。
 本市におきましては、昨年の6月中旬から試験的に本庁舎の南面にゴーヤの苗を36株植栽を致しました。幸い期間中に大雨・台風等の被害も無くて順調に生育を致しまして、旧盆の頃にはほぼ窓全体を覆うまで成長をしております。
 この間、3ヶ月間にわたって、グリーンカーテンに覆われた福祉課と、覆われていない介護サービス課において、室温の変化を観測いたしましたところ、一定の効果を確認したところでございますし、また、職員や来聴者からも「涼感を誘い、例年の暑さによるイライラ感を和らげられた」という感想を頂いたところでございます。
 そのようなことから、今年は昨年の倍にいたしまして72倍を先日植栽したところです。
 また、今年は、つるが巻き付くためのネットに、使用されなくなった漁網を譲り受けまして使ったり、或いは支柱に間伐した竹を使うなどによりまして、環境に配慮されたものとしておりますし、設置する場所も、本庁舎の他環境部庁舎も加えております。
 以上現在の取り組みですが、現段階では本格的に対外的なピーアールはおこなっておりませんが、本市の活動を知った一部の民間の施設でも組みが始められておりますし、市と致しましても現在できる範囲で協力をさせて頂いている。
 今後の取り組みですが、今月の一日からスタートしました鶴岡市地球温暖化対策実行計画でも公共施設での壁面緑化について推進することとしておりますことから、公共施設においては可能な範囲で植栽面積を増やして参りたいと考えております。
 また、議員ご指摘のように、当事業は裾野の広い温暖化対策の一手法として有効ではと考えられますことから、民間の事業所や家庭での取り組みにつきましても、今後積極的に働きかけをおこなって参りたいと考えます。
 そのきっかけとしまして、種の配布、利用される資材の提供、或いは栽培方法の周知など、事業者や市民が気軽に取り組みを始められるような支援策についても、また啓発方法を鋭意講じて参りたいと考えております。
教育次長 教育委員会からは学校校舎の室温改善についてまずご答弁申し上げます。
 学校における学習環境のとらえ方でございますが、一日の大半を学校で生活する児童生徒にとりまして、教室の温度や湿度、空気環境の清潔さなどの快適性は、健康だけでなく学習意欲にも影響を与える重要なことがらと認識しております。
 そこで夏場の教室における室温の把握についてですが、各学校におきましては、文部科学省が定めた学校環境衛生管理の基準に基づきまして、定期的に測定しています。
 このほかにも各教室の壁などに取り付けた温度計によりまして、毎日児童生徒や養護教諭が測定しており、真夏の暑い日差しや通風などの諸条件によりましては、非常に暑い教室もあり、もっとも暑い時期には、30度を超えている状況も見うけられます。
 そうしたことから、学校によりましては、扇風機の取り付けをおこなうなど、夏場の暑さ対策を実施しているところであります。
 緑のカーテンの学校への普及についてのご質問ですが、緑のカーテンににつきましては、夏場の強い日差しをやわらげ、蒸散効果により涼風が得られるとともに、身近な環境教育の一つとして評価されているものです。
 そこで本市小中学校の状況ですが、市環境部からの紹介によりまして、今年度から長沼小学校が取り組んでいるところです。同校では4年生の理科の授業で、ゴーヤを栽培するとともに、環境教育の一環として、総合的な学習の時間の授業に緑のカーテンを取り入れたもので、市環境部からは、実施に関するノウハウや栽培用ネットの提供を受けております。
 こうした植物栽培を始めとする動植物の育成につきましては、維持管理や設備の安全性、夏休み期間中の水遣りなどそれぞれの学校の事情や考え方もありますが、教育委員会としましては、手軽に取り組める環境教育の一つとして、また校舎に大がかりな工事をおこなわないで室温の抑制ができる学習環境の改善方策として、今後各学校に紹介して参りたいと考えております。
 なお緑のカーテンの実施に当たりましては、市環境部からの栽培指導、リサイクル品のネットやプランターの提供などの他、苗などの購入費については、鶴岡緑の募金事業の活用等も検討して参りたいと考えている。
 環境部でも教育委員会でも、積極的に、具体的に取り組みを進めるということですので、歓迎したいと思います。ただ、民間の事業所・家庭等にも普及していきたいということですから、今のところ市ではやっているのが市役所の玄関の一部だけということですから、いいことであれば、まず公共施設でもっと進められないものかと思いますので、もっと進められないものか、その辺は、当面の取り組みのお考えはありますでしょうか。
環境部長 市の公共施設への取り組みということですが、それぞれの施設によって取り組めるところ取り組めないところ、南面に面しているところに窓がないとか、そういう事情もありますし、また私どもの方でも昨年度初めて取り組みさせていただいて、今年度少し本格的にという状況でございますので、さらに効果のほどを皆さんにPRしながら、他の公共施設においても取り組めるところについては取り組んで頂きたいと考えている。
 今年度についてはもう期限も限られておりますので、なかなか大変だと思いますけども、ご努力をお願いしたい。
 答弁にもありましたが環境部の方では、漁網その他資材の手配など、予算のこともあったと思うのですけども、縦割り行政などと言わせないようなフットワーク良く動きを始められたのかなと思いますし、教育委員会の方でも、長沼小学校ですか積極的に受け止められて行動されたということで、大変望ましい姿勢だと感じました。引き続き、相互協力で学校に関しては動きをすすめて頂きたいと思います。
 最後に申し上げておきたいことは、本市では循環型社会作りということ、かかげられている訳ですけども、温暖化対策の問題を始めとして、やはりまだ遅れた分野と言わざるを得ないのではないかと思うんです。
 先般、遊佐町でおこなわれた環境自治体会議には環境部の方からの参加をされたということですから、これから是非位置づけを高めて、緑のカーテンにとどまらず必要な予算も充てて積極的に推進することを求めて終わります。