地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅のお話し

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一番好きなシャルトル大聖堂

2020年08月05日 09時00分20秒 | フランス・モナコ

皆さん、こんにちは。川崎です。

今回ご紹介させていただくのは世界的に有名な観光地であり巡礼地のシャルトル大聖堂です。パリのモンパルナス駅から一時間ほどの距離に位置しているので、パリから日帰り観光で訪れる観光客も多いようです。

私はこれまで訪れた数ある教会(恐らく400~500か所は見てきましたが)の中でも最も好きなのがシャルトルなのですが、その理由は謎が多いことと、見るべきものがあまりにも多いからです(錬金術やラビリンスなど)。

以前に個人旅行でシャルトルへ訪れた際には、外観のレリーフをじっくり2時間、内部で2時間、そして地下クリプトで20~30分滞在したことがあったのですが、それでも全てを制覇したわけではありません。。それだけ芸術的にも素晴らしく興味深い大聖堂です。

 

さて、このシャルトル大聖堂が建てられる前は、同じ場所にケルト時代の聖域がありました。その際に利用された井戸が現在でも地下クリプトに残されています。その上にキリスト教の時代に教会が建てられ、時代と共により大きな教会へ、そして大聖堂へと格上げされていくのですが、パリ北部にあるサンドニの町で始まったゴシック時代になると、ヨーロッパの至る所でロマネスク様式からゴシック様式の時代へと変貌していきます。

ご存知の方も多いかと思いますが、ロマネスクの時代、人里離れた場所に教会が建てられるのが一般的でしたが、次のゴシックの時代になると町中に建てられるようになっていきます。ゴシックは、当時最先端の技術を用いて、今までにない規模の建築物を建てることに成功していきます。当時、木造平屋の家屋が一般的な時代でしたので、全長113mのシャルトル大聖堂がいかに「神の家」として畏れられ、それにふさわしいか想像に難くありません。

 

外観には、正面のファサードだけではなく、全面に細かなレリーフが施され、内部には見事なステンドグラスとレリーフ群が見る者を飽きさせません。特に“シャルトル・ブルー”と呼ばれる美しい青のステンドグラスには間違いなく目を奪われます。

 

 

 

前置きが長くなりましたが、今回シャルトルをご紹介したのは外壁の柱に施されたレリーフをご紹介するためです。

果たしてこれは何なのか、どのような目的で施されたのか。ゴシック建築を見ているとそのような疑問がいつも湧くのですが、とても興味深いものが下のレリーフです。

少し見ただけでは何なのか分かりませんが、左部分には2つの車輪がついた荷車のようなものが見えます。荷車で思い出すのは二つのお話で、一つ目は以前にもご紹介したシバの女王とソロモン王のお話です。二人の間に生まれたメネリクがモーゼの十戒を荷車に載せてエチオピアへ運び、それが現在でもエチオピア国内に隠されている(安置されている?)というものです。一説には、荷車の右側のレリーフが頭部が破壊されたシバ女王だと言われています。

もう一つのお話は、イエスが磔刑に処された後、アリマタヤのヨセフがイエスのわき腹から噴き出た血を杯で受け止め、実はその杯はイエスが最後の晩餐で弟子たちと食事を共にした時に使った杯だったというのですが、イエスなき後、迫害の対象とされた多くの弟子たちはエルサレムを離れ、ヨーロッパや中東へ逃げていきました。その中で、アリマタヤのヨセフや、マグダラのマリアらは小舟を使ってたどり着いた先が南フランスのサント・マリー・ド・ラ・メールだったというのです。マグダラのマリアはその近くの洞窟でイエスに祈りを捧げながら天国へと旅立っていくのですが、アリマタヤのヨセフはイエスの杯を持ってさらに西へと移動を続け、たどり着いたのが後のラングドック地方でした。

時代は進み、ラングドック地方にはキリスト教の異端とされるカタリ派が暮らすようになるのですが、彼らはカトリック側から良く思われていませんでした。後にカトリック軍がラングドックに攻め込み、フランス南部を支配下に収めるのですが、実は伝説によると、カトリック軍が攻め込んでくる前夜に情報を入手したカタリ派のメンバーが、荷車に他の荷物に紛れ込ませて聖杯を別の場所へ運んだというのです。イギリスへ運ばれたという説もありますが、果たしてどこまでが本当かも、全てが出鱈目なのかもわかりません。。

もしかするとその伝説がゴシックの時代の石工の手によって何かを伝えているのかもしれません。こんなことを考えるだけでもゴシックの時代のレリーフはとても興味深く、ロマンがあるように思います。

状況が落ち着きましたら、シャルトル大聖堂にも足を運んでみてはいかがでしょうか(来年あたり?)


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