地球浪漫紀行☆世界紀行スタッフの旅のお話し

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ティティカカ湖~インカの末裔が暮すタキーレ島を訪ねて

2008年10月06日 10時05分27秒 | ペルー
世界中の人々の憧れの地で、天空都市と称されるマチュピチュ。
日本でも常に、訪れてみたい世界遺産の第一位に選ばれていますが、
この素晴らしいマチュピチュ遺跡がペルーにあることは
既に多くの人々に知られていることです。

しかしペルーにはマチュピチュ以外にも、かつてのインカ帝国の首都であり、
現在はアメリカ大陸の「考古学の首都」と呼ばれる魅惑的な街・クスコや、
現在も多くの謎を投げかける「ナスカの地上絵」、
海抜約4000mに広がる広大なティティカカ湖、
世界一水量の多いアマゾン河など、幾多の自然と歴史の驚異があります。 
 
ペルーは、寒流の影響で砂漠が広がるコスタ、
峰をつらねるアンデス山脈の標高4000mのシエラ、
アマゾン河流域のセルバと呼ばれる、地形、気候、風土の異なる
三つの地域から成り立っています。
ペルーの人々はそれぞれの厳しい環境と共生し、過去にいくつもの文化を興し、
外からの強い影響を受けながらも現代に至るまで彼らの営みを続けてきたのです。

今回は、壮大なインカ文明を築いた人々の末裔が、伝統を守りながら暮している
ティティカカ湖のタキーレ島をご紹介いたします。
ティティカカ湖は、ペルーとボリビアの国境にまたがっており、
面積は8170㎡で、琵琶湖の12倍もの広さがあります。
日本のガイドブックでは「ティティカカ湖」や「チチカカ湖」と
紹介されることが多いのですが、現地では、「ティティハハ」と呼ばれ、
周辺に住むインディヘナのアイマラ族の言葉で、「石のピューマ」を意味しています。
上空から見た時に湖がうさぎに飛びかかるピューマの形をしていることに
由来しています。
でも一体誰が上空から湖を見て、この名前を付けたのかは謎のままです。

湖畔の町・プーノから小型船で湖を約2時間ほど進んだところにタキーレ島があります。
プーノ港周辺の水面は藻で覆われ、緑色で決してきれいとは言えない状況ですが、
これは生活廃水で湖水が富栄養化したためです。
現代人の生活が自然に与えてしまう悪影響はティティカカ湖も例外ではなく、
幸いにもまだそれは湖の一部のみですが、これ以上汚染が広がらないことを
願うばかりです。
この水藻の間を抜けると、あとは一面に紺碧の湖と水平線が広がり、
湖というよりも海上を進んでいるような印象を受けます。
水の深さと太陽の光によって、エメラルドグリーンからブルー、深い藍色へと
湖面の色も変わって見えます。

タキーレ島は、島全体が段々畑になっていて、
中央広場に行くためには、坂道を上らなければなりません。
ここは標高4000m、上るのは決して楽ではありませんが、
のどかな畑の風景と畑仕事をする人々の姿、
振り返ると背後には美しいティティカカ湖が広がり、
元気を与えてくれるような気がします。

この島の人は、16世紀にスペイン人がやって来る以前に高度な文明を築いていた
先住民族「ケチュア」の人々です。
島の面積は約11k㎡、そこに約350家族、2000人ほどが暮らしています。
タキーレ島の名前は、スペインによるペルー征服ののち、
スペイン王カルロス5世が寵臣デ・タキーラ侯爵にこの島を売り渡したことに由来します。
島の所有者となったデ・タキーラ侯爵は一度もこの島を訪れることはなかったそうで、
その後も島の所有者は次々と変わり、
最終的にこの島が島民たちのものとなったのは、1960年代に入ってからののことです。


この島では、男女とも、民族衣装を日常的に身につけています。
クスコ周辺で民族衣装を身にまとい、観光客を相手に写真撮影をしてお金を稼ぐ
インディヘナの人々をたくさん見てきたため(そこには人々の日々の生活があるのだから、
それを嫌なこととは決して思ってはいませんが)、この島の人々の自然な姿は
私の目にはとても新鮮に映りました。
近年まで陸地とほとんど行き来がなかったため、スペイン系の血が混ざることなく、
インカの血筋が純粋に残り、人々はみな古風なインディヘナの顔立ちをしています。


島の女性は、赤色のセーターに大きめの赤や黒のポジェラ(スカート)、
頭には黒い被り布をすっぽりとまとっています。
男性は白いシャツと白いチョッキ、赤い飾り帯に黒のズボンをはいています。
特徴はかわいい毛糸の三角帽子を被っていることです。
赤い帽子は既婚男性、赤と白を組み合わせているのは未婚男性、
さらに帽子の先についているボンボンによって、
花嫁募集中なのか、婚約済みなのか、まだ探す気はないのか
ということもわかるそうです。
女性にとっては、わかりやすくてありがたいような、
あまりにもあからさまで、恋をした男性が既に婚約をしていたり、
結婚の予定はないとすぐにわかってしまうのは、
少し切ないような気もしてしまいますが・・・。

また、この島では女性は糸を紡ぎ、機を織り、
男性は毛糸の手編みの仕事と作業が分担されています。
「男性が手編み?」と思ってしまいますが、
島を歩くと器用に編み物をする男性の姿をたくさん見かけます。
男性たちは歩きながらでも、おしゃべりをしながらでも、
手を休めることはありません。

島の中央広場まで坂道を登って、呼吸を整えてから、
改めて島を見回したときに感じたこの島に流れる独特な雰囲気の謎が
彼らの姿を見ていると、解けたような気がしました。

美しい湖とのどかな段々畑、茶色の土と同じ色の日干し煉瓦で造られた素朴な家並み、
ゆっくりと時間が流れていくようなメランコリックな雰囲気を醸し出す一方、
その中で常に変わらずに、耕し、織り、編みつづける人々の姿。
海抜4000mの孤島という決して豊かではない環境の中で、
受け継がれてきた伝統を絶やすことなく、日々を単純にしかも着実に積み重ねながら
生活する彼らの姿に心惹かれずにはいられませんでした。

空中都市・マチュピチュ、インカ帝国の都・クスコを訪れ、
彼らが築き上げた壮大かつ精巧で謎に満ちた文化に触れ、
旅の最後に訪れるティティカカ湖。
そこで暮らす人々にインカのルーツを見たような気がしました。
(中村 亜希子)

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