さとみん絵本の世界

さとみんおすすめの絵本や本(児童書が主)と、うずまいている日々の迷いや気づき!!

りんご /THE APPLE TREE

2006-05-16 | 読んでみて!
 この作品はあのアナグマで有名な「わすれられないおくりもの」のスーザン・バーレイのものです。
この作家の絵はすごく印象が深く、文は他の人が書いているのにスーザンの?と間違えることもあります。
で、この「りんご」は文と絵両方ともスーザン・バーレイによるものです。

時に、かわいくメルヘンちっくな絵が居心地悪いときがあります。
んーー、かわいくてすてきなんだけど・・・受け付けない気分の時があります。
やさしすぎると逃げたくなるあまのじゃくな性格なのかもしれません。

でも、でも、とてもへこんでいるときにこの「りんご」はおもわず頬がやわらぎます。
なんでもないフツーのお話しが、そっとこちらに寄り添ってくれているようです。
りんごの話しは他にも有名なのが、チェコのエドアルド・ペチシカの「りんごのき」があります。
これも季節の移ろいとともにりんごが実る静かな話し。

この「りんご」もそうです。
だれかが捨てたりんごの芯をリスが植えて、こぐまやへび、きつねたちに見守られて育っていく。
そして何年もかかって立派な木に成長し、赤いおいしそうな実が動物たちに届けられる、というもの。
そのりんごの届き方がグッと和まされる!!
癒される!!
独特のやさしいタッチと色がなんともいいのです。
ああ、原画がみたいーーーー
わたしのところにもりんごがプレゼントされたような気持ちになりました。(すなおなわたし)
お月さまにまでりんごが贈られるのはちょっとメルヘンすぎるように思うけど。

ちょっと元気がないときや懐疑的になっているときにこの「りんご」はいかが?

三木卓の訳の横に英語で本文が載っているのがこれまた楽しい。
メルヘンにおぼれすぎるのを制御する効果もあります。


  スーザン・バーレイ/作&絵  三木卓/訳  かまくら春秋社