Carpe Diem

シンシナティ大学で都市計画を勉強していた、ある大学院生の物語。現在はマンハッタンで就活。

間違った時代に、間違った場所

2012-02-14 11:18:30 | daily life
初めてシリアからのクラスメートとじっくり話すことが出来た。

前から彼女が何でシリアからアメリカに来て勉強しているのか興味があった。
少しとりとめのないことを話したあと、そのことを聞いてみた。
すると彼女の口から意外なことが出てきた。
「シリアはずっと国が不安定な状態だから、アメリカに家族と渡ってきたんだ」と。
彼女によると、以前からシリアの大統領の独裁政治により住民は不満を積もらせている。
そして数年前、市民のその怒りがついに爆発してデモが起った。
しかし、それに対する大統領の対応は自分の行動を反省するどころか、
軍隊を動員して数日のうちに数万の罪もない住民を殺してしまった。
そして見せしめかのように一つの街を壊滅状態に追いやってしまった。
彼女のお姉さんもデモに加わっていたということで政府に捕まえられてしまったが、
幸運にも数日のうちに釈放されたとのこと。

反乱のあと少しでも余裕のある住民は悔しいながらも命の危険から逃れる為に、
そして政府の圧政から逃れる為に祖国を離れ、
ヨーロッパやアメリカなどの国々に散っていってしまった。
彼女がいうには政府のコントロールのせいで、
ダマスカスのスラムに住む為にも月に4000ドルも支払わなければならないらしい。
彼女のようにアメリカに渡ってきた人たちはずっと母国のことや親戚、友達を思って、
毎日悲しみにくれている。

そして別れぎわに彼女がこんなことを言っていた、
「どうも間違った時代に、間違った場所に生まれてきたみたい。」

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6 コメント

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シリアの革命 (かねろ)
2012-02-15 07:12:33
専門家ではまったくないのですが、大学4年間、シリアを中心に現地等でアラブ・イスラームの勉強をしてきました。状況はかなり複雑なんですよね…アサドを辞めさせればいいかと言われると、今回の革命にはムスリム同胞団が主導権を握っているという話もあり、原理主義が政権をにぎることになりかねません。もちろんイスラエル寄りの米国も関わってますし…シリアは、秘密警察がそこらじゅうにいるし、権利の制限もいろいろ多いんですが、アラブの春以前は、比較的平和だったんですけどね…心が痛みます。
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>かねろさん (CHO)
2012-02-16 02:57:02
大学ではそういう勉強をしていたのは初耳だったので、ちょっと驚きました。僕は中東関係には詳しくないので適切なことは言えないけど、一つだけ聞きたいことがあります。

シリアやその他の中東地域の国々の国政を安定させるにはどのような可能性が考えられるのか。もしそれに対して日本に出来ることがあればそれも教えていただけたらありがたいです!色んなことが絡み合っていて難しいかもしれないけど。
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長いです (かねろ)
2012-02-18 02:39:55
最初に言わせてもらいますと、正確にはアラビア語とイスラームが専門だったので、政治や経済にはあまり詳しくないんです・・・すいません汗。ここからは完全に個人的な意見なので適当に流してもらえると幸いです。

民主化すること自体には反対ではないんですが、後先を考えずに現政権をとりあえず潰すという今の流れはどうしたもんだろう、という感じです。市民にデモ活動はできたとしても、彼らはこれからどうするかについて何も知らないわけで、ただ多くの人が死んだことになりかねません。一番重要なことは彼らの自立を助けることなんですが・・・独裁政権が倒れるということは、また別の人が力を握ろうとする、という話なわけで、民主化には直接つながらないですからね・・・誰かがうまいこと阻止しないといけません。

もちろん国連はできる限りの範囲で介入しているわけですが、そこまでの権限があるわけでもなく、面倒くさいことに巻き込まれたくない、というのもありますし・・・今まであったアメリカ等のさまざまな介入に関しても、現地の人の意見を聞くと、ソースかによって全然話が違うので、外の人間には中々状況が把握でないのも事実です。例えばアメリカでテレビや新聞を見れば、アフガンの人々(ちょっと専門外なのですが)がアメリカ軍がやってきてどれだけ超ハッピーになったか、という話ばかりです。もっぱら嘘だとは思いませんが、そんなさっぱりした美談なはずもないだろう・・・という感じ。かなり多くのアメリカの方々は基本的にその辺能天気で、感謝しろ、ってな勢いなんですが・・・現地での軍隊の教育とかもやるんですけど、こういった部分も利権が渦巻いてますからね。何が本当に彼らのためになるのやら・・・ムバラクやカッザーフィーの時もそうでしたが、彼はもちろん一人でお金を溜め込んで、権利を制限しまくっていた悪い人たちなんですが、ものすごい数の人が死んだことと今のどうにもなっていない状況を考えると、何が正義か、という話になってきます。

単純に考えすぎかもしれませんが、ある国のある政権に他国や国連の言うことを聞かせるためには、交換条件か脅し/制裁が必要なわけで、外交の手腕が問われます・・・そして何より、利権だけではなく死者を出したくない、という気持ちがあってくれることを祈るばかりです。不甲斐無い。。。

こういう時こそ歴史を紐解いてみるべきなんでしょうけど、やはり民主主義の確立には、大抵の場合はかなりの時間がかかっていて、簡単になせるものではありません。そして何より無血開城といったケースはほぼないですからね・・・新しいリーダーが出てきて、元の木阿弥というパターンではなく、少しでも血の流れない、人権を認めた方向に進んでくれるといいのですが。
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長いです2 (かねろ)
2012-02-18 02:40:11
日本にできること・・・あったらいいですよね。ただ日本のようにアメリカの傘下にあるような国には何もできないかもしれませんね・・・これまた不甲斐無い。。。国レベルではない草の根的な活動は色々な形で行われているわけですが、やはりそこまでのパワーがなく・・・。私達の研究室は、日本語を勉強したい学生さん達が日本の大学に短期留学をする支援をしてきました。その子達の多くは、その後日本で大学に入りなおしたりして、頑張っているわけですが、本当に一部の、そして勉強をする機会のある子達に限られたプログラムです。意味がないということはないものの、もっと他に、彼らのためにできることはないだろうか、というのが正直なところですね。日本の若者に比べると、主観ですが、祖国への愛情も深いです。他の国に移住させるのではない解決法、見つけたいですね。

すみません、なんかとりとめない感じで汗
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>かねろさん (CHO)
2012-02-19 06:28:59
詳しい返事をありがとう!

今の独裁政権が倒れても、また次の支配者が出てくるのではないかという視点がとても考えさせられるところがありました。かねろさんの言う通り、今のデモはいざ政府が倒されたらその次にどのような政権ができるのかという長期の視点から考えられていないというのは同感です。以前には若いときのカダフィーも当時の政府を改善しようとして革命を成功させたにもかかわらず、いつの間にか自分が同じようなことを繰り返しているということからもとても納得できます。それに対して国連などの国際機関がどのようなアプローチで支援するかはとても重要ですよね。どのアプローチにも長所と短所があって状況によって使い分けたり組み合わせたりというのが鍵になりそうです。特に国家や、国際機関になると全体の権力や力関係を重視しすぎてしまって一人一人の尊い命に対してどれだけ敏感になれるかは疑問です。個人的には国家の基はやっぱり一人一人の人間なので、その存在を大切にしてほしいです。
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>かねろさん (CHO)
2012-02-19 06:54:06
草根の活動の力がそこまでないのはアメリカに来てから改めて実感します。ここシンシナティだとNGOやNPOだけでなく、市民までが自分たちの街を素晴らしいものにしたいという気持ちがあり、色々な活動がなされています。それはすごくいいことなのですが影響力を考えた時にどれだけそれらの活動が有効なのか少し疑問です。というのはそれぞれの団体がそれぞれのやり方でやってしまってる感がいなめません。3つの団体があったら成果も1+1+1で3にしかならないように思います。もっと草根の活動間で意見交換するパイプ役や全体のインパクトを評価する監査役が必要なのではないかと個人的に考えています。
日本ではこれからもっと仕事を民間に任せる動きが強まるのではないかと個人的に考えています。その時に草根の活動が重要になるけどアメリカと同じようにどれだけ大きないいインパクトを社会に与えられるかそれが課題になりそうです。ただ言えるのは一歩ずつしっかり前進出来るかどうかが重要そうです。



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