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ワールドトレードセンター

2006年10月13日 23時52分42秒 | 時事ネタ
ワールドトレードセンターを見てきました。



あの9.11から早くも5年が経ちました。

このような映画が作られたということは、

やっとアメリカ社会があのテロを直視できるようになったという証です。

ハリウッドがどのような視点から9.11を描くのか

興味を持っていました。

演じるのは名優ニコラス・ケイジ、監督は「プラトーン」のオリバー・ストーン。



結論から言いましょう。

総合評価は、75点

「わりといい映画だった」とは言えるけれど、

人に「見ておくべきだよ」とは言えない感じです。



映画の視点は、テロや政治問題は取り上げず、

テロをいわば天災のように据え、

そこに巻き込まれた人々の心の動きを描くというものでした。



主人公となるのは、

ワールドトレードセンターに救助に向かい、

倒壊したビルの瓦礫に埋もれた2人の警察官、

マクローリンとヒメノ。

生還を信じて助けを待つ彼らと

生還を祈る家族の姿


スクリーンは淡々と映していきます。



瓦礫に埋もれ、じわじわと訪れる死の恐怖と闘う警察官。

彼らの脳裏によぎるのは愛すべき家族。

同じ頃、家族もまた彼らの無事を必死で祈っているのです。

ヒメノの妻は妊娠5ヶ月でした。

先に死ぬと予感したヒメノは、

その子の名前を、妻の提案したオリヴィアにするとつぶやきます。

同じ頃、妻もまた夫の提案した名前にしようと決心するのです。



やがて夜が来て、彼らは死の淵に置かれます。

そんな彼らを発見したのは、

宗教的な情熱から救助に駆けつけた元海兵隊員でした。



そして、映画は人々の連帯を謳い上げ、幕を閉じます。



テロをこのように非常にパーソナルな観点から描いた手法は、

私にとって、好感が持てるものでした。

テロを抽象的な存在として捉えるのではなく、

血の通った人間が関わっている具体的な存在として捉えることに

成功していたからです。

全編を貫く映画のテーマも、

困難な状況に置かれた時にも希望を忘れないこと、

逆境に置かれた人々が見せる支えあいの心


といった温かいものでした。



ただ、このようなテーマを読み取るには

やや描き方が不十分に思えました。

マクローリンとヒメノは人々の救出を始める前に下敷きになってしまうので、

「人助けをしていて巻き込まれた」というよりも

「偶然巻き込まれた」という印象です。

あとはただ救出を待つだけで、単調さがぬぐえません。

また、家族の様子や救出をした人たちの人柄や背景もあまり描かれておらず、

強く共感を呼ぶものではありませんでした。

結局、視点は良かったけれども、

感動作としての完成度が低い
というのが私の評価です。




それと、

やはり、テロを正面から取り上げた映画が見たかったなというのが

大きな感想です。

この映画では、

テロが起きた背景、テロリスト、

それに対するアメリカ社会や政府の反応といったことは、

ほとんど描かれていません。

テロというケガレの場において浮かび上がる

人々のハレの側面を描いた映画として、

この映画は、テロを扱ったものではなく、

パニックを題材にした感動映画だとカテゴライズすべきです。

この点が、テロをどう描くか楽しみにしていた自分にとっては肩透かしでした。



テロの残虐性と同時に

テロを起こさざるをえなかった人の背景まで見てみたかったなというのが

私の希望です。

傷つけられたNYの市民と傷つけられてきたイスラム過激派を

同時に見守る視点こそ、

9.11を克服する世界に必要だと思うのです。

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
コメントの非公開化処理について (たっきー)
2006-10-18 00:48:18
ある宗教関係のブログをお書きの方から

ブログを宣伝する内容を含んだコメントをいただきましたが、

非宗教的なサイト運営を目指しておりますため、非公開とさせていただきました。

なにとぞご海容のほどをお願いいたします。
返信する
Unknown (なな)
2006-11-21 09:41:50
もう大分更新ないですね!
返信する
はい(笑) (たっきー)
2006-11-23 13:55:20
>ななさん

コメントありがとうございます。

ここのところ他の用事で忙しくて、
更新していなかったんです。
そろそろ書いていかなきゃな

ゆっくり更新していくんで、また遊びにきてください
返信する