ぷちログ

12匹の猫と9人の大家族の、なんてことない日々の適当な暮らしを綴る。

親分の神様

2008-09-23 14:06:26 | Weblog

ちょうど去年の今頃、
親分には人生で最も辛い別れがあった。

23年間、ずっと一緒だった
かけがえのない愛猫くちゅな様との別れである。


くちゅな様は本来「小トラ」という名前である。
だがいつの間にか「くちゅな」になり、
毛が柔らかくてもにょもにょだから「もにょ」と呼ばれたり、
親分に至っては「もにょぞう」・「もにょゴン」(くちゅなはメスです)と呼んでいた。

親分とくちゅな様はいつも一緒だった。
寝る時も一緒。
学生だった親分が勉強をしていた時も
社会人になった親分がパソコンをいじっている時も
いつもおとなしく横に座っていた。
お風呂の時も、一緒に入って来てじっと待ってたり。
ある時はトイレまで一緒に入って、ただそこにいたりした。


くちゅな様は表情が豊かだった。
ゴジラみたいに機嫌の悪そうな怖い顔をしていても、ゴロゴロ言って実は機嫌が良かったりする。
ご飯の時や、待っていた親分が帰って来た時には、真ん丸い目をして子供のように愛らしい表情になる。

声も割りに低めで「ウニャッ」とか「ウニャニャン」
まるで人が喋るように、そのトーンには抑揚があった。

岡山の大姉上が
「今、喋ってたの、この猫?!」
と驚いたほど、くちゅな様はよく人間に語りかけていた。


どんな時でも必ず、指先でちょっとつつくだけで
 甲高い声で「ウニャ!」という一言が聞けた。
これが面白くて一日のうちに何度もやらされていたのを我輩は覚えている。

あんなに味のある面白い猫はもう2度と現れないね、とこの家の人々は言う。


 くちゅな様はみんなに愛されていた。
穏やかで愛嬌があって、親分の友達や我が家に来るお客さんにも人気があった。


 間違いなく、家族の一員だった。


自分を人間だと思っていたかもしれない。 「ご飯まだ?」



我輩が赤ん坊の頃、優しく面倒を見てくれた。
我輩たちにとっては本当のお婆ちゃんみたいなのニャ。



目が開いて間もないうちに母猫とはぐれてしまった我輩の母上が
この家に来た時も、くちゅな様が母猫代わりに受け入れてくれた。




くちゅな様はもにょもにょで温かかった。



くちゅな様がもう長くないと悟った親分は、
どうしてもまた一緒に寝たくて、
久し振りに部屋へ連れて行って一緒に寝た。

親分は一晩中ずっと付き添って声をかけてあげた。
水も飲めないほどに衰弱しきったくちゅな様は
親分の顔を見る度に微かな声を発して何かを語った。
きっと、「ありがとう」と言っていたに違いない。

そしてそれが最後の夜となってしまった。

23年間。
産まれた赤ちゃんが立派な社会人になってしまう年月なのニャ。
それだけ長い間、くちゅな様はこの家の人々と共に暮らしてきた。

くちゅな様は今、家の近くの犬猫霊園で眠っておられる。
親分が、くちゅな様はご長寿を全うされて
我が家の守り神様になったのだと言う。

我輩も親分と一緒にお墓参りに行って挨拶してくるのニャ。