クリスマスプレゼント何が欲しい?
友人から突然話を振られて,何も欲しいものが思い浮かばなかった。
悩んだ末に,「○○先生のS(評価)が欲しい」などと言ってしまった。
我ながら,なんてつまらん人間なんだ。
さて,刑法の勉強方法を書いてほしい,というリクエストがあったので,
ちょっと考えてみました。
ちょっと考えてみたというのは,私は他の人とは刑法に関するバックグラウンドがだいぶズレているので,私の実践している勉強方法がそのまま他の人の役に立つとは限らないと思ったからです。
まず,バックグラウンドの方から紹介します。
刑法は学部時代にしっかりやったので,もともと貯金はあったんですね。
具体的には,基本書(川端博・成文堂)を何回か熟読したのと,
ゼミで使う事例問題等を検討しました。
司法試験には必要ない論文等もいろいろ読みました。
総じて,総論重視の学習でした。
旧司法試験対策としては,各論の構成要件の定義を片っ端から覚えていきました。
択一対策としてパズルを説く訓練もだいぶやりました。
論文過去問も平成10年代のものは全部解いたかな。
その反面,各構成要件の関係や,判例の分析等は相対的におろそかになっていたと思います。
その結果,平成19年法学既修者試験で刑法のみ大失点。
そこで,その後判例百選に片っ端から目を通して行きました。
ただ,法科大学院入学後も,刑法を意識して勉強することはありませんでした。
しかし,冒頭の○○先生に刑法を習い始めてから,それまで欠けていた視点に気づくことができました。そして,下記のような勉強方法をとりました。
そこで,最近実践した(又は実践している)刑法の勉強方法を紹介します。
第1に,他の科目と同様,刑法でも,条文が想定している典型的場面を思い浮かべながら条文を読むようになりました。
これは,今年の前半ぐらいから,主に民事系の科目で意識してやっていたことなのですが,刑法ではやっていませんでした。
そこで,何か使える教材はないかと探した結果,すでに一読していた「犯罪事実記載の実務」(近代警察社)こそ,その訓練にうってつけだということに気がつきました。
もっとも,必ずしもこのような本を使う必要はなく,条文を見て犯行の再現映像を思い浮かべられるように心がければ充分ではないかと思います。
第2に,構成要件の解釈と条文の典型的場面をリンクさせるため,学部時代には出版されていなかった川端先生の「刑法各論講義」をほぼ通読しました。
判例分析としては,「新判例から見た刑法 第2版」(山口厚・有斐閣)を通読しました(これはかなりおススメです。)。
第3に,刑法の事例問題を解く際には,まず一般常識で犯行の全体像を評価し,それに沿うように理屈を展開するようにしました。
「一般常識で犯行の全体像を評価する」というのは,法律を知らない人がその問題を大雑把に見たときに,どのような結論を導くだろうか,ということです。
理屈で考えれば殺意があるか否か微妙で,殺人か傷害致死かが問題となるような事例であっても,たとえば私の父親がその犯行を評価すれば,「死刑」という結論を出すでしょう。
そうしたら,死刑にできるような法律構成を考えるのです。つまりなんとか殺意を認定する方向で理屈を展開するわけですね。
もちろん,最終的に,一般人の感覚より理屈を優先させるべき場面もあります。
しかし,刑法においては,最初に一般人の感覚で大雑把な枠を作っておかないと,出てこない問題意識が多いのではないかと思います。加えて,理屈を積み上げていくだけだと,最終的に実行行為を細切れにしすぎて一般人の感覚から乖離してしまう傾向があるように思います。
考えてみれば,「甲の罪責を検討せよ。」という問題に直面するのは,検察官だけです。
刑事訴訟においては,裁判所も弁護人も受動的だからです。
つまり,裁判所も弁護人も,検察官が法的に構成してきた訴因について,それは違うのではないかという突っ込みを入れていくわけですが,その段階では,「甲に~罪が成立するか。」という問題意識はあっても,もはや「甲の罪責を検討せよ。」という問題意識はないわけですね。
そうすると,事例問題から事実を拾ってゼロから罪責を組み立てていく過程では,検察官の視点こそが求められるということになるでしょう。
もちろん,論点を検討する中では,裁判所や弁護人の視点も当然入ってくるとは思いますが。
長々と書いてきましたが,とりあえずこんな感じでよろしいでしょうか?
友人から突然話を振られて,何も欲しいものが思い浮かばなかった。
悩んだ末に,「○○先生のS(評価)が欲しい」などと言ってしまった。
我ながら,なんてつまらん人間なんだ。
さて,刑法の勉強方法を書いてほしい,というリクエストがあったので,
ちょっと考えてみました。
ちょっと考えてみたというのは,私は他の人とは刑法に関するバックグラウンドがだいぶズレているので,私の実践している勉強方法がそのまま他の人の役に立つとは限らないと思ったからです。
まず,バックグラウンドの方から紹介します。
刑法は学部時代にしっかりやったので,もともと貯金はあったんですね。
具体的には,基本書(川端博・成文堂)を何回か熟読したのと,
ゼミで使う事例問題等を検討しました。
司法試験には必要ない論文等もいろいろ読みました。
総じて,総論重視の学習でした。
旧司法試験対策としては,各論の構成要件の定義を片っ端から覚えていきました。
択一対策としてパズルを説く訓練もだいぶやりました。
論文過去問も平成10年代のものは全部解いたかな。
その反面,各構成要件の関係や,判例の分析等は相対的におろそかになっていたと思います。
その結果,平成19年法学既修者試験で刑法のみ大失点。
そこで,その後判例百選に片っ端から目を通して行きました。
ただ,法科大学院入学後も,刑法を意識して勉強することはありませんでした。
しかし,冒頭の○○先生に刑法を習い始めてから,それまで欠けていた視点に気づくことができました。そして,下記のような勉強方法をとりました。
そこで,最近実践した(又は実践している)刑法の勉強方法を紹介します。
第1に,他の科目と同様,刑法でも,条文が想定している典型的場面を思い浮かべながら条文を読むようになりました。
これは,今年の前半ぐらいから,主に民事系の科目で意識してやっていたことなのですが,刑法ではやっていませんでした。
そこで,何か使える教材はないかと探した結果,すでに一読していた「犯罪事実記載の実務」(近代警察社)こそ,その訓練にうってつけだということに気がつきました。
もっとも,必ずしもこのような本を使う必要はなく,条文を見て犯行の再現映像を思い浮かべられるように心がければ充分ではないかと思います。
第2に,構成要件の解釈と条文の典型的場面をリンクさせるため,学部時代には出版されていなかった川端先生の「刑法各論講義」をほぼ通読しました。
判例分析としては,「新判例から見た刑法 第2版」(山口厚・有斐閣)を通読しました(これはかなりおススメです。)。
第3に,刑法の事例問題を解く際には,まず一般常識で犯行の全体像を評価し,それに沿うように理屈を展開するようにしました。
「一般常識で犯行の全体像を評価する」というのは,法律を知らない人がその問題を大雑把に見たときに,どのような結論を導くだろうか,ということです。
理屈で考えれば殺意があるか否か微妙で,殺人か傷害致死かが問題となるような事例であっても,たとえば私の父親がその犯行を評価すれば,「死刑」という結論を出すでしょう。
そうしたら,死刑にできるような法律構成を考えるのです。つまりなんとか殺意を認定する方向で理屈を展開するわけですね。
もちろん,最終的に,一般人の感覚より理屈を優先させるべき場面もあります。
しかし,刑法においては,最初に一般人の感覚で大雑把な枠を作っておかないと,出てこない問題意識が多いのではないかと思います。加えて,理屈を積み上げていくだけだと,最終的に実行行為を細切れにしすぎて一般人の感覚から乖離してしまう傾向があるように思います。
考えてみれば,「甲の罪責を検討せよ。」という問題に直面するのは,検察官だけです。
刑事訴訟においては,裁判所も弁護人も受動的だからです。
つまり,裁判所も弁護人も,検察官が法的に構成してきた訴因について,それは違うのではないかという突っ込みを入れていくわけですが,その段階では,「甲に~罪が成立するか。」という問題意識はあっても,もはや「甲の罪責を検討せよ。」という問題意識はないわけですね。
そうすると,事例問題から事実を拾ってゼロから罪責を組み立てていく過程では,検察官の視点こそが求められるということになるでしょう。
もちろん,論点を検討する中では,裁判所や弁護人の視点も当然入ってくるとは思いますが。
長々と書いてきましたが,とりあえずこんな感じでよろしいでしょうか?