無風、寒くない。
空気もきれい。
このあたりは穀倉地帯だが、耕作しない部分は、自然のままに放置すると密度の高い雑木林になる。
思えば、日本は、温暖で、降水量も多く、恵まれた自然環境である。
この風景を目にして、口に出てくるのは、
童謡「里の秋」です
静かな静かな 里の秋
お背戸に木の実の 落ちる夜は
あゝ母さんと ただ二人
栗の実煮てます いろりばた
この里の秋は、終戦直後、外地から引き揚げてくる660万人の軍人、民間人の引き揚げ同胞激励のラジオ番組で発表、放送された童謡なのである。
唄ったのは、川田正子。
そして二番の歌詞は
明るい明るい 星の空
鳴き鳴き夜鴨の 渡る夜は
あゝ父さんの あの笑顔
栗の実食べては 思い出す
父さんは、戦争で 外地にいったままです。
戦争により、家族が引き裂かれ、消息も音信もままならず、生きてゆくのが精一杯。
そんななかで、母さんと二人だけで 秋、父さんの帰りを待ちわびているという情景なのです。
なお、この年は、敗戦の混乱と天候不順のため、米が凶作だったのです。
食べているものが栗なのも、そのような状況を表しているのです。
作詞は、斉藤信夫、千葉、成東の学校教師だったそうです。
この唄を口ずさむと、戦争の襞が、心を痛めるのです。
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