Dark matter, Hawking radiation, black holes,

Approaching the Identity of Dark Matter

その11・素粒子物理学の展望:セルン+アメリカ+日本

2024-06-16 | 日記

・セルン

・今後の10年間、LHCとその高輝度アップグレードを含むLHCは、高エネルギーの最前線を探るための世界の主要なツールとしての地位を維持します。

・ヒッグス粒子の特異な性質から、"ヒッグスファクトリー"として動作する新しい電子-陽電子衝突器の設置(注2)には、科学的に説得力のある論文があります。そのような衝突器は、非常にクリーンな環境で豊富なヒッグス粒子を生成し、ヒッグス粒子と他の粒子との多様な相互作用を詳細にマッピングすることで、劇的な進歩をもたらすでしょう。

・LHCのエネルギースケールよりも1桁高い感度を持つ将来のハドロン衝突器を構築することです。これには、関連する技術的および環境的課題に対処します。

欧州の戦略

・ヒッグス粒子を発見したセルンの続きとして、いまだよく分かっていないヒッグス粒子の秘密を探る事、そうしてそこから新しい物理を見つける事が一つ。

・もう一つはWIMPをHI-LHCで見つける事。それは同時にダークマターの正体の解明とSUSYの証明にもつながる、という「おおきな目標」。

 

・アメリカ

『最近のCERNのハイ・ルミノシティ・大型ハドロン衝突型加速器(HL-LHC)や、ディープ・アンダーグラウンド・ニュートリノ実験(DUNE)、ベラ・C・ルービン天文台(ルービン)注1)への投資』

それらを含んだ形で集中的に研究する主要プロジェクト

『1、CMB-S4:宇宙の最も初期の瞬間を振り返るCMB-S4
2、DUNE:長基線ニュートリノ振動実験の決定版として、強化された2.1 MWビームの早期実装による再構想されたDUNEの第二フェーズ。
3、ヒッグス粒子の秘密を明らかにするため、国際的なパートナーと協力して実現するオフショアヒッグスファクトリー。(海外ヒッグスファクトリー)
4、ニュートリノの霧(注2)に到達する究極の第3世代(G3)ダークマター直接検出実験
5、IceCube-Gen2:DUNEに補完的であり、ダークマターの間接検出のためのビームを使用しないニュートリノの特性研究のためのIceCube-Gen2。』

アメリカの戦略

・宇宙の初期の観測による解明、およびダークマターの直接観測および間接的な観測による正体の解明をめざす。

・もう一つはいまだ不明な点が多いニュートリノの特性の解明とそこからの新物理への展開。「ニュートリノ科学の国際実験」: https://www.dunescience.org/ :

 

・日本

ILC:(International Linear Collider、国際リニアコライダー):ヒッグスファクトリーとして機能する。日本が主導的に動いているものの、建設予定地は未定。

『・ヒッグス粒子の性質の詳細な解明: ヒッグス粒子の質量や結合強度などの性質を精密に測定し、標準模型の理解を深めます。
・新物理の探索: 標準模型の補完や新しい物理の発見を目指し、暗黒物質や超対称性などの未解明の現象を探索します。』by GPT3.5

「国際リニアコライダーの技術開発を推進 「ITNインフォメーション会議」に28研究機関が参加」: https://archive.md/lNOlI :

「250 GeV ILC の物理の意義」: https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/ILC/pdf/siryo2401-4.pdf :

継続投資分

・Belle II実験:KEKB加速器を使用して、Belle II実験が行われています。この実験は、Bファクトリーと呼ばれる高輝度電子・陽電子コライダーを使用して、B中間子やD中間子の振る舞い、CP対称性の破れ、およびレアな崩壊過程を研究することを目的としています。

これにはKEKB加速器の高輝度化が含まれる。

・T2K:(T2K実験、Tokai to Kamioka実験)は、日本の加速器施設であるJ-PARC(Japan Proton Accelerator Research Complex)で行われているニュートリノ振動実験の一つです。T2K実験は短基線実験であり、J-PARCからニュートリノビームを生成し、地下の大規模な水チェレンコフ検出器であるカミオカンデまでニュートリノの振動を観測することを目的としています。

他方でアメリカのDUNEは長基線実験で相補的な観測を行う。

・ミュオン異常磁気モーメント+EDM測定実験

日本の戦略

・欧州およびアメリカで行われるビッグプロジェクトへの参加。

・ILCの実現と日本への誘致

・ニュートリノについてはT2K、CP対称性の破れについてはBelle IIで成果を出す。

・WIMP/新物理についてはミュオン異常磁気モーメント測定で一定の成果をめざす。

但し日本には「コミュニティー全員が合意している戦略」という概念がないように見えます。

あるいは「コミュニティー全員が合意できる戦略を作る」という発想がなく、ただ単にそれぞれの研究者が自分の好みによって研究方向を決めて予算を文科省に申請する、というやり方をしている様です。

そうしてまた文科省も「それを是」としていて、但し文科省は「短期的に目覚ましい結果が期待できそうな研究」、あるいは「有名な実績のある研究者の研究」に予算をつけている様に見えます。

そうしてその結果といえば「長期的な視野に立った野心的な、ブレークスルーをもたらすような可能性のある研究」には予算がつかない、という事になります。

そうであれば「日本のスタンスはセルンやアメリカに比べて近視眼的である」と言えます。

 

注1:ベラ・C・ルービン天文台:ベラ・C・ルービン『ベラ・ルービン(Vera Rubin)は、アメリカの天文学者であり、ダークマターの存在を初めて示したことで知られています。彼女は、1970年代に行った銀河の回転曲線の観測によって、銀河の回転速度が予想よりも速いことを発見しました。これは、通常の物質だけでは説明できない追加の重力源が存在することを示唆し、それが後にダークマターとして認識されることにつながりました。

ルービンの研究は、天文学や宇宙物理学におけるダークマターの理解を深め、宇宙の構造形成や進化に関する理論を発展させる上で重要な貢献をしました。彼女の業績は、その後の天文学や宇宙物理学の研究に大きな影響を与えました。』by GPT3.5

天文台にその名前を付ける程にアメリカはダークマター探究に本気になっている模様。

注2:ニュートリノの霧:大気ニュートリノの事らしい

大気ニュートリノ:『大気ニュートリノとは、地球の大気中で発生し、地球を横断するニュートリノのことを指します。これらのニュートリノは、太陽や宇宙空間からの宇宙線が大気中の原子核と衝突することによって生成されます。

大気ニュートリノは、主に以下の2つのプロセスによって生成されます。

太陽ニュートリノ生成: 太陽からの太陽ニュートリノが地球の大気に到達します。これらのニュートリノは、太陽の核融合反応で生成され、太陽の中心から地球に向かって放出されます。
宇宙線生成: 宇宙空間からの高エネルギー宇宙線が大気中の原子核と衝突することによって、ニュートリノが生成されます。このプロセスでは、宇宙線が原子核と衝突し、π中間子が生成されます。そして、これらのπ中間子が崩壊してニュートリノが生成されます。
大気ニュートリノは、その起源やエネルギーに関する情報を提供する重要な研究対象です。地球を横断するため、地中性子や荷電粒子が大気中を通過する際に受ける影響や相互作用を研究するための重要な手段として利用されています。』by GPT3.5

『大気ニュートリノは、ダークマターの直接検出実験において背景として邪魔になる可能性がありますが、その影響は実験の特性や設計によって異なります。

背景としての影響: ダークマターの直接検出実験では、非常に低いエネルギーのニュートリノが感知される可能性があります。大気ニュートリノは、宇宙線の相互作用によって生成されるため、その存在は実験の背景として考慮する必要があります。
背景の除去: 大気ニュートリノの影響を排除するために、直接検出実験ではさまざまな手法が使用されます。これには、実験装置の深い地下配置、シールドやバックグラウンドの抑制、さらには特定のエネルギー範囲や角度範囲での解析などが含まれます。
ダークマターの探索: 実験は、ダークマターからの信号を検出するために背景の最小化を試みます。これには、大気ニュートリノや他の背景源の除去や抑制が含まれます。さらに、特定のダークマターのシグナルを探索するための解析手法の開発も重要です。
総じて、大気ニュートリノはダークマターの直接検出実験における背景としての影響を持ちますが、実験の特性や設計によってその影響を最小限に抑えることが可能です。そのため、実験装置の設計やデータ解析の方法を適切に調整することで、大気ニュートリノの影響を十分に管理し、ダークマターの検出を試みることができます。』by GPT3.5

要するに「ダークマターの直接観測の感度を上げていく」と「通常は観測できない大気ニュートリノまで観測してしまう」=「それほどの感度を持ったダークマター観測器を『究極の第3世代(G3)』と呼ぶ」模様。

なんとなれば「それ以上感度を上げても大気ニュートリノを観測するだけ」になってしまうので「究極の=最後の」と呼ばれる事になります。

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/dC24F