「宇宙を支配する未知の「第5の力」の謎が最新研究で解明か」:2025/2/16(日)
: https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3150426697db4a55061a6c75c18cacd1b7268aa6 :
『・・・新たな手法「格子QCD」では、コンピュータシミュレーション内で格子点で満たされた空間を用意します。
この空間は現実の空間のように連続的で滑らかなものではなく、この空間に存在する物体は格子点上にしか存在できない設定です。
この空間内で強い力を媒介する仮想的な粒子を格子点上に出現させ、それらの振舞い方を調べます。
この空間は格子点で構成された離散的な空間であるため、格子点上に存在する粒子同士の振る舞いは現実のものとは当然異なります。
しかし格子点の間隔を無限に小さくしていくと、連続的な実際の空間と近似させることができ、強い力を媒介する仮想粒子の正確な振る舞いを理論的に計算できるのです。
この手法では、格子点を小さくするほど膨大な計算が求められるため、これまでは格子QCDが本領を発揮できずにいました。
しかし近年はコンピュータの性能の向上により、格子点の間隔を非常に小さくしてほぼ現実に近い近似値を得られるようになっています。
ここには実験結果から得られた統計的な推定は一切含まれておらず、強い力によるgの値への理論予想値を純粋に理論のみから得られるのです。
▽格子QCDによる最新の革新的な成果
2024年7月に成果が公表された最新の研究によって、「ミューオンg-2実験」において問題とされていた理論予想値と実験結果との齟齬が解消されるかもしれないと話題になっています。
最新の研究においては、強い力の影響を格子QCDを用いて純粋に理論計算し、ミューオンのg-2の新たな理論予想値を得ました。
その新たな理論予想値は、実験結果から導かれた強い力の影響力の推定値を利用することで得た従来のg-2の理論予想値とは、明確にズレが生じています。
しかし一方で新たな理論予想値ではなんと、これまでの実験で直接得られたg-2の予想値とのズレが解消されています。
このように格子QCDにより、第5の力を含む未知の物理を考慮せずともミューオンg-2実験の重大な齟齬の問題を解消でき、標準理論と実験の正しさが裏付けられた可能性があるのです。・・・』
格子QCDによる最新の成果
https://arxiv.org/html/2407.10913v1
https://bigthink.com/starts-with-a-bang/calculation-solves-muon-g-2-puzzle/
↑↑↑ さて真実はどこにありますのやら。
J-Parcの実験結果が待たれますね。
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「g-2理論研究の最前線 ― 第7回ミューオンg-2理論計算イニシアチブ研究会を開催」2024年10月11日
: https://www2.kek.jp/ipns/ja/news/6630/ :
『9月9日~13日にミューオンの異常磁気能率(g-2)の理論に関する研究会がKEKつくばキャンパスにて開催されました。・・・
格子QCD(量子色力学)計算による新しい結果の報告や、KEKにある電子陽電子衝突型加速器SuperKEKBで行われているBelle II実験を含む国内外の6か所の加速器施設で行われているハドロン真空偏極測定の最新結果が報告されました。
これらの最新の結果は、ホワイトペーパーとして論文にまとめ、2025年初頭に発表する予定です。
ミューオンg-2の測定については、フェルミ国立加速器研究所 (FNAL)で行われた実験の最終結果の発表に向けた準備状況の報告があり、日本からは茨城県東海村の大強度陽子加速器施設J-PARCで準備が進んでいる世界初のミューオン加速器を用いる新しい実験の状況が報告されました。・・・
質問)g-2理論研究における、理論予測値の現在の状況を教えてください
Aida氏)現状はまだ混乱しており、e+e–からπ+π–への断面積の実験的測定は互いに一致していません。このことが標準理論の予測をとても難しくしています。
標準理論の予測誤差の4分の3以上は、ハドロン真空偏極の誤差から来ています。実験サイドではより良い理解に向けて取り組んでいるので、少し時間はかかりますが今後はより多くの情報によってこの問題が解決されると楽観的に考えています。
また、格子QCDを使った方法もあります。私は格子QCDの理論家でもあるので、自分で言うのもなんですが、この方法は非常に進歩しており、次に出すホワイトペーパーでは、格子QCDに基づいた完全なハドロン真空偏極の予測ができるのではないかと期待しています。
この予測値は実験結果に近いように見えますが、すべての情報が揃うまでは様子を見なければなりません。FNALでの実験結果が発表される前、2025年初頭にはホワイトペーパーの準備が整うと考えています。・・・』
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【ワシントン共同】:米フェルミ国立加速器研究所のチームは3日、素粒子の一種「ミュー粒子」の磁力を測定した結果、理論で予測される値と一致したと発表した。これまでの中間分析結果では値が一致せず、未知の素粒子の存在が指摘されていたが、今回の最終結果で、その兆候は確認できなかった。
実験の名称は「ミューオンg―2実験」。ミュー粒子は電子と似た素粒子で、質量は電子の約200倍ある。2018年に始まった実験の中間結果では、素粒子の振る舞いを説明する「標準理論」に基づいて計算したミュー粒子の磁力の値と、実験の計測値に食い違いがあり、未知の素粒子が影響を与えた結果ではないかと注目を集めた。
6/4(水) 8:32配信<--早いのはいいが記事内容が不正確。
フェルミ研は『これまでの中間分析結果では値が一致せず、未知の素粒子の存在が指摘されていたが、今回の最終結果で、その兆候は確認できなかった。』<--『今回の最終結果で、その兆候は確認できなかった。』こんなことは言っていない
そこに比べて日経はさすがに裏を取っている。↓↓↓
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2025年6月4日 13:06:https://archive.md/t4huk
米フェルミ国立加速器研究所は3日、物質やエネルギーの最小単位である素粒子の一種「ミューオン」に関する実験の最終成果をまとめた。ミューオンの性質に関して正確な数値を求めて、物理学の標準理論の研究に大きく貢献する成果だ。ただ、未知の素粒子の存在や標準理論見直しの必要性については引き続き検証する必要があるという。
1970年代半ばに完成した標準理論は、現代物理学の金字塔と言われてきた。標準理論によれば、素粒子は17種類ある。それらを使えば自然界で起こる現象や宇宙の成り立ちなどを説明できるとしてきた。
素粒子を使った実験によって、標準理論からはずれた結果が得られれば、その理由を説明するために様々な未知の粒子の存在が予測され、新粒子の発見につながる可能性がある。
フェルミ研は素粒子の1つであるミューオンの性質を調べる「ミューオンg-2実験」の成果を報告した。ミューオンは電子の約200倍重い粒子で、電子と似た性質を持っている。フェルミ研では2018年からミューオンの磁気の大きさを調べている。直径約14メートルのリング型の装置でミューオンを光の速度近くまで加速し、測定する。
今回の最終報告では18年から23年までの測定結果を解析した。実験に参加した研究者は「ミューオンの磁場の強さに関してかなり正確な数値が決定したことで、今後の様々な理論計算のベンチマークとして使われるだろう」としている。
一方で、今回の数値自体が標準理論から外れた結果とは必ずしも言えない。当初実験データと比較する対象とした数値は、20年に標準理論をもとに計算されたもので、明らかに実験数値とずれがあった。ただその後のスーパーコンピューターなどを活用した計算を考慮していくと、今回の実験データに近い数値が出ている。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)の三部勉教授は「真の理論値を探る研究は今も続いている。今回の実験だけでは未知の素粒子があるかという結論を出せない」と話す。
KEKでは28年から、別の方法でミューオンの磁気の大きさを測定する実験を始める。ミューオンの塊を作ると光速に近い速度で飛んでいるが、この塊を一旦冷ましてから再度加速することで、より収束した塊にできる。フェルミ研の実験よりも高い精度で測定できる。
三部教授は「複数の方法で同じ成果が得られれば、より確かなものとして認められる」と話す。数十年にわたって物理学の根幹を支えてきた理論を大きく変える可能性のある成果だけに、慎重な検討が必要になる。
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チャットGPTによれば
Q:「ただし、2024年12月に発表された新たな格子QCD計算では、HVPの寄与が再評価され、理論値が実験値に近づき、差分の有意性が約1σに減少する可能性が示唆されています。
phys.org」<--この内容についてはどのような議論が展開されているのか?
A:2024年12月にJohannes Gutenberg大学のWittig教授らが発表した格子QCDによるハドロニック真空偏極(HVP)の新しい計算結果は、ミュオンの異常磁気モーメント(g-2)の実験値と一致し、従来のデータ駆動型手法との間に約3.9σの差異があることを示しています 。この結果は、標準模型に新たな物理が必要ない可能性を示唆していますが、コミュニティ内での完全な合意には至っていません。
コミュニティ内の議論と見解
この新しい格子QCD計算結果に対して、物理学コミュニティでは活発な議論が展開されています。特に、格子QCD計算と従来のデータ駆動型手法(e⁺e⁻ → ハドロン断面積データに基づく手法)との間でHVPの評価に関する見解の相違が存在します。
BMWコラボレーションの最新の格子QCD計算は、実験値と一致し、従来のデータ駆動型手法とは約4σの差異があることを示しています 。一方で、他の格子QCDグループも独自の計算を進めており、これらの結果が一致するかどうかが注目されています。
また、CERN Courierの報道によれば、Muon g-2 Theory Initiativeは2025年初頭に新たな理論予測を含むホワイトペーパーの発行を計画しており、Belle実験やALEPH実験のタウ崩壊データの取り込みも検討されています 。これにより、HVPの寄与に関する理論的予測の精度向上と、異なる手法間の整合性の確認が期待されています。
cerncourier.com
今後の展望
現在、格子QCD計算とデータ駆動型手法の間でHVPの評価に関する見解の相違が存在します。BMWコラボレーションの最新の格子QCD計算は、実験値と一致し、従来のデータ駆動型手法とは約4σの差異があることを示しています 。一方で、他の格子QCDグループも独自の計算を進めており、これらの結果が一致するかどうかが注目されています。
Muon g-2 Theory Initiativeは、これらの最新の理論的および実験的成果を反映したホワイトペーパーの更新を2025年中に予定しており、コミュニティ内での合意形成が期待されています 。これにより、ミュオンg-2の標準模型予測と実験値の一致についての理解が深まることが期待されます。
総じて、HVPの寄与に関する実験的確認は進行中であり、今後の実験結果や理論的研究の進展により、ミュオンg-2の標準模型予測と実験値の一致についての理解が深まることが期待されます。
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