Dark matter, Hawking radiation, black holes,

Approaching the Identity of Dark Matter

その8・素粒子物理学の展望:日本の5

2024-05-30 | 日記

『ILCのこれまでと今後、大型計画の生みの苦しみ¶
ILCの源流となる電子陽電子線形コライダーは80年代にさかのぼる。その後40年にわたり計画は変遷しながらも本質は変わらず、国内では20年以上ずっと(少なくとも公式には)トッププライオリティの計画であり、海外からも実現を期待されながら明確な日の目を見ることはなく今日に至り、今ふたたびヒッグスファクトリーの一つとして国際競争のさなかにある。
なぜこれまで実現しなかったのか、これからどうするのかについてはここ数年将来計画委員会等でも議論が活発に行われてきた。その議論も踏まえて、個別の観点よりもできるだけ大型計画の実現という一般的な課題に関するケーススタディとしてこの問題に関する私見を述べ、皆様のさらなる議論のきっかけにしたい。(物理の話も少しはします)

Speaker: 末原 大幹 (ICEPP): https://conference-indico.kek.jp/event/236/contributions/4357/attachments/3277/4478/231222-ilc-ipnssympo-suehara.pdf :』

『• ILCのこれまでの歩みについて、個人の印象と感想
  – 私は、実は誘致の政治的なことにはあまりかかわっていませんので誘致活動に関しては「外から見た印象」に近いです
  – 一方、ILCグループの研究については(自分の仕事も含めて)それなりにwatchしてきたと思います
• 過去と現在の誘致戦略 (の個人的guess) とコミュニティの関係
• 今後のこと
 – 他のHiggs factoryがgoになる前にILCはgoになるの?
 – 他のHiggs factoryがgoになったらどうするの?
 – 他のHiggs factoryができなかったらILCはできるの?
• 物理は、途中で3枚だけ話します
 – 物理の面白い話は、JPSでMichael Peskinの話を聞いてください。(宣伝)

• 1980年代~ 3極でLC計画 (JLC, NLC, Tesla)
 – JLC(GLC), NLCは常伝導、Teslaは超伝導
 – 1986将来計画答申 (R&D), 1997答申 (2000年代初頭の建設開始)
• 2001: Tesla TDR (DESY)  採択されずXFELのみになる
• 2004: ITRPが超伝導加速空洞をendorse, ILCの発足
 – Tesla TDRにより超伝導が実現に近いと考えられた
• 2005: ILC Reference Design Report
• 2007: GLDとLDCが合体、ILDとなる

• 2008: ILC議連/AAAの設立 (国内建設に向けた活動スタート)
 – (2009-12: 民主党政権, 2011: 東日本大震災)

• 2009: Detector Letter of Intent (3つ)  ILD, SiDが残る
• 2012: Higgs発見
• 2013: 国内立地を2箇所に絞り、立地評価  東北をendorse
• 2013: ILC TDR (500 GeV) / detector DBD
 – 加速器デザインが基本的に固まる
• 2017: 250 GeV re-baseline (Higgs massが軽かったため)
 – 高エネルギー委員会の報告書(ILC250を検証する浅井委員会)

• ILC実現が近づいたことは2, 3回あったが実現しなかった
 – 重要な要素の一つは、コミュニティの熱量
• 現在、ILCが実現する確率は必ずしも高くない
  (けど極端に低くもない、と思う)
 – 現在の戦略はFCCeeの状況に左右される
  (FCCeeの実現は決して自明ではないが、可能性はある(?))
 – Higgs factory自体の実現性は高まっている
• FCCee or みんなで作るHiggs factory
• 国内のactivityを高めていかなければ、日本はenergy frontierの橋頭堡を失う』

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FCCee(Future Circular Collider - electron-positron collider)は、CERN(欧州原子核研究機構)が提案している将来の円形加速器プロジェクトの一部です。このプロジェクトは、将来の高エネルギー物理学研究のために設計されたもので、特にヒッグス粒子やその他の素粒子の精密測定を目的としています。

FCCeeは、周長約100kmの巨大な円形トンネル内で電子と陽電子を衝突させる加速器です。

これは陽子・陽子衝突も行える装置(FCChh)にもなる予定です。(~100Tev)

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・250 GeV ILC の物理の意義: https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/ILC/pdf/siryo2401-4.pdf :

『2012年の Higgs 発見後、LHC では、衝突エネルギーを 8 TeV から13 TeV にあげ、2015年から実験を続けている(LHC Run II 実験)。
様々な成果を挙げているが、これまでの所、標準理論を超える物理の兆候は現れていない。
→ LHC 探索領域に簡単に見つかる新粒子はない。
→ 500 GeV ILC での新粒子発見の可能性は下がった。
→ 標準理論を超える物理は必ず存在する。その効果はヒッグスの性質に標準理論からのズレとして刻印されている。新粒子の兆候がないことから大きなズレは期待できない。
→ 新物理発見ツールとしてのヒッグスの精密測定 への期待が非常に高まった。
→ 軽い新粒子が LHC の死角にある可能性はある。
→ 250 GeV ILC での探索で発見の可能性がある。』

従って

『ヒッグス粒子を大量に作って調べる!ヒッグス工場としての250 GeV ILC

250 GeV は特別なエネルギー->ヒッグス生成断面積が最大!

標準理論を超える物理の効果はヒッグス結合の標準理論の予想からのズレとして現れる<--従ってそれをクリーンな環境の下で精密に調べる事が可能なのが250 GeV ILCだ!』

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現代物理学の展望 記事一覧

https://archive.md/B28Pg

 


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