<回想録-4>のつづき
そろそろ 回想録の続きを・・・
いよいよF11「量試(量産試作)エンジン」のチューニングである。
「性能テスト」は「耐久テスト」と同様に、通常ベンチと呼ばれる動力計室にエンジンをセットし単体で行う。
性能測定の要領はエンジン回転数500rpm毎に「動力計指針の荷重」を読み取る。と同時に、その回転数の「燃料消費量」を測定する。これはビューレット内(あらかじめ決められた容量cc)を燃料が通過する時間を読み取る。 ここで使用するのが「アナログストップウォッチ」・・・
慣れないと瞬時にコンマ数秒を読み取るのは厄介だ。
さらに「点火プラグ」と「シリンダーヘッド」の間に銅ワッシャーをセットし、「熱伝対」を介して表示される「プラグ座温」を読み取る。ビューレット内は測定後バルブを切り替えて、次の消費量テストの測定が出来るように準備をしておく。 1ポイント測定するのにこれだけの作業をこなさないといけない。
慣れるにはコツを要したが、失敗も多々あった。 よくやる失敗が「エンスト」・・・
測定後バルブの切り替えを忘れ、ビューレット内が空になりエンストさせてしまう。
「ポテンションメータ」のダイヤル調整で動力計回転数を合わせるのだが、微調整が必要なため時間を費やす。そのため測定時間がバラツキ、性能が安定しない。またプラグ座温の上昇スピードも観察しておかないと急激に温度が上昇する場合は「異常燃焼」・「焼付き」の兆候でもあるため、すぐにエンジン停止しないといけない。これも見落すと「ピストン」、「シリンダー」を焼付かせてしまう。
当時は空冷エンジンであったため、1ポイント測定毎に温度を下げ冷却していた。
その間に測定した「動力計荷重」、「燃料消費時間」、「プラグ座温」をデータ用紙に記入し、測定開始温度まで下がると再び500回転あげて測定を始める。
この繰り返しで「出力ピーク」、「オーバーラン」まで測定していたので、1回の性能測定時間は結構かかっていた。 回転数の高いエンジンは測定ポイントが多いのでなおさらである。
しかし、これで終わりではない。「計測」が終わっただけで、はたしてどのような性能になっているのか・・・
ここで登場するのが「計算尺」である。
計算尺は「各回転数」の「動力計荷重」を元に「馬力(ps)」・「トルク(t)」計算。そして「燃料消費量(L/h)」
「燃料消費率(g/ps・h)の計算に使用していた。
このように「アナログストップウォッチ」と「計算尺」は測定者にとっては必需品であった。
次はこの計算値をもとに方眼紙に性能カーブを描き、初めて目で見てわかる出力特性が出来上がる。
このようなスタンスで性能測定を行っていたので、数種類のテストパーツの比較テストは
数日を費やしていた。
程なくしてベンチ全室に「光電管式」の「燃料流量計」が導入され、回転数を合わせスイッチを押すだけでタイム測定でき、エンストの心配も無くなった。もちろんストップウォッチも不要になった。
また電卓も与えられた、と言っても卓上電話機ぐらいの大きさだったと思う。今では100円ショップでもカードタイプが買えるが、当時は結構な値段だったように記憶している。
それ以後、「XYプロッター」も導入され、性能グラフも作図されるようになった。
初めて性能測定を始めたころから比べると、ずいぶん楽になったな~と言うのが実感だった。
で今はどうか。カワサキ独自の「自動計測システム」が構築され、すべてがオート。作業者はエンジンを始動して回転数を最初にセットするだけ、後は自動ですべてが完了する。
測定時間が大幅に短縮され、一度の測定で数項目のデータが入手できる。もちろん性能カーブもリアルタイムにモニターに表示される。当然計算の必要はなし・・・「はたしてこれでいいのか?」・・・は別として
また、上長はいちいち報告を受けなくても自分の席のパソコンで、いながらにして現状性能を確認することが出来る。
そろそろ 回想録の続きを・・・
いよいよF11「量試(量産試作)エンジン」のチューニングである。
「性能テスト」は「耐久テスト」と同様に、通常ベンチと呼ばれる動力計室にエンジンをセットし単体で行う。
性能測定の要領はエンジン回転数500rpm毎に「動力計指針の荷重」を読み取る。と同時に、その回転数の「燃料消費量」を測定する。これはビューレット内(あらかじめ決められた容量cc)を燃料が通過する時間を読み取る。 ここで使用するのが「アナログストップウォッチ」・・・
慣れないと瞬時にコンマ数秒を読み取るのは厄介だ。
さらに「点火プラグ」と「シリンダーヘッド」の間に銅ワッシャーをセットし、「熱伝対」を介して表示される「プラグ座温」を読み取る。ビューレット内は測定後バルブを切り替えて、次の消費量テストの測定が出来るように準備をしておく。 1ポイント測定するのにこれだけの作業をこなさないといけない。
慣れるにはコツを要したが、失敗も多々あった。 よくやる失敗が「エンスト」・・・
測定後バルブの切り替えを忘れ、ビューレット内が空になりエンストさせてしまう。
「ポテンションメータ」のダイヤル調整で動力計回転数を合わせるのだが、微調整が必要なため時間を費やす。そのため測定時間がバラツキ、性能が安定しない。またプラグ座温の上昇スピードも観察しておかないと急激に温度が上昇する場合は「異常燃焼」・「焼付き」の兆候でもあるため、すぐにエンジン停止しないといけない。これも見落すと「ピストン」、「シリンダー」を焼付かせてしまう。
当時は空冷エンジンであったため、1ポイント測定毎に温度を下げ冷却していた。
その間に測定した「動力計荷重」、「燃料消費時間」、「プラグ座温」をデータ用紙に記入し、測定開始温度まで下がると再び500回転あげて測定を始める。
この繰り返しで「出力ピーク」、「オーバーラン」まで測定していたので、1回の性能測定時間は結構かかっていた。 回転数の高いエンジンは測定ポイントが多いのでなおさらである。
しかし、これで終わりではない。「計測」が終わっただけで、はたしてどのような性能になっているのか・・・
ここで登場するのが「計算尺」である。
計算尺は「各回転数」の「動力計荷重」を元に「馬力(ps)」・「トルク(t)」計算。そして「燃料消費量(L/h)」
「燃料消費率(g/ps・h)の計算に使用していた。
このように「アナログストップウォッチ」と「計算尺」は測定者にとっては必需品であった。
次はこの計算値をもとに方眼紙に性能カーブを描き、初めて目で見てわかる出力特性が出来上がる。
このようなスタンスで性能測定を行っていたので、数種類のテストパーツの比較テストは
数日を費やしていた。
程なくしてベンチ全室に「光電管式」の「燃料流量計」が導入され、回転数を合わせスイッチを押すだけでタイム測定でき、エンストの心配も無くなった。もちろんストップウォッチも不要になった。
また電卓も与えられた、と言っても卓上電話機ぐらいの大きさだったと思う。今では100円ショップでもカードタイプが買えるが、当時は結構な値段だったように記憶している。
それ以後、「XYプロッター」も導入され、性能グラフも作図されるようになった。
初めて性能測定を始めたころから比べると、ずいぶん楽になったな~と言うのが実感だった。
で今はどうか。カワサキ独自の「自動計測システム」が構築され、すべてがオート。作業者はエンジンを始動して回転数を最初にセットするだけ、後は自動ですべてが完了する。
測定時間が大幅に短縮され、一度の測定で数項目のデータが入手できる。もちろん性能カーブもリアルタイムにモニターに表示される。当然計算の必要はなし・・・「はたしてこれでいいのか?」・・・は別として
また、上長はいちいち報告を受けなくても自分の席のパソコンで、いながらにして現状性能を確認することが出来る。