ブックエンド

活字中毒で乱読の毎日。
記憶から過ぎ去ってしまいそうな本を
記録しておくことにしました。

カラーひよことコーヒー豆

2011-05-09 23:24:22 | その他
小川洋子のエッセイ集を読了。
 この人の文章からは、シャイだけれど、早熟で強烈な自我を確立した少女の影が見え隠れする。
 日々の仕事に虚しさと疲れをが襲ってきたときにそっと慰め応援してくれる一冊。
 スキルやノウハウの本ではないけど、仕事にしている自分は案外イケてる?と思わせてくれる。
 そうして、また明日も早起きしてお仕事です。

団地の時代

2011-05-08 22:43:37 | 心理・社会
読了。「滝山コミューン1974」の解説的な箇所もある。
 読後感は、重松さんお疲れ様といったところ。
 本来は対談のはずが、重松清氏が、鉄道と団地オタクの原氏のホスト役を務めている構図になっている。

 で、原氏はオタクなので気がつかず調子よく喋ってると。
 重松氏が原氏のプロファイリングをしてるような感じも受けた。
 滝山コミューン1974で、原武史氏の経歴など、中学受験する裏切り者的に迫害された小学校→慶応普通部高校→慶応を脱出して早稲田政経→日経記者→東大大学院→明学大教授と。
この経歴を分かった上で、原氏の発言等を聞くと、いい気なもんだよと思う。
 優等生な筈のオレ様を迫害する学校から慶応普通部に脱出してみたら、田舎の貧乏扱いされて疎外感ありで早稲田へ。
 日経記者以降のプロフに至っては、堪え性のない奴に見える。
 で、日経時代担当だった皇室ネタを学問風に味付けして、学者として逃げ切ろうとしているように見える。
 氏の論考は面白いのだが、いつも俺様的視点が鼻につく。
 街の社会学的考察など、面白いが、いつも勝ち組でいなければ気が済まない的な原氏よりは、安全地帯から出て取材をして、躓いた川本三郎氏の著書の方が読後感が爽やかだ。

今日借りた本

2011-05-05 21:27:28 | 読書あれこれ
格差社会の実態や分析については諸説色々。
 湯浅氏は、わりと取っつき易い論理構成だったので借りてみた。
 「団地の時代」は、自分が団地にわりとポジティブな印象を持ってるとから、団地のノスタルジーに浸ろうと思ったのと、原武史氏の「滝山コミューン1974の対をなすような本と知ったので。

 著者の原氏の経歴は、なんかあんまり好きになれないけど、重松氏はわりと好きだし。
 無縁社会の正体、は格差論の延長の興味。
 同潤会大塚女子アパートメントが語る、も住宅ノスタルジーから。
スージー.クーパーと、イギリス・ティーハウスを巡る旅。 これは単にイギリスティータイムの雰囲気に浸りたくて借りた。
 さて、読みきれるか。

今日返す本

2011-05-04 12:39:43 | 読書あれこれ
全部読み切ってないけど。
 
一番面白かったのは、川本三郎の、「ミステリと東京」。 これは自分でも意外。 でも、ミステリの舞台を街観察として切り取って見せるのが読ませる。
 そして視点は、ちょっとはぐれたところから、でも拗ねもせず温かい。
 先日書いた「滝山コミューン1974」の著者、原武史氏は、東大の恩師から、川本氏に似たものがあると言われたそうだ。
 似たものがないわけではない。
 原氏の本は面白い。納得もする。
 だけど、共感はしない。
 こいつ何かイヤな奴だなあと感じる。
 川本氏の方は納得も共感もする。
 お、これ、原氏と川本氏の比較評論になるかも。
 少し整理してみよう。

中学受験の記憶

2011-05-03 23:42:02 | その他
というのは、大体進学塾の経験と結び付いていて。

ちょっと内向的だったり、自我が発達していたりする子どもにとっては、初めて同士を見つける空間でもあるのかもしれない。
 ただ、そこ止まりだったのね、と感じさせる人もいる。
 滝山コミューン1974を読んで、そんなことを考えた。
 著者の原氏は、そこ止まりな人なのかもしれない。
 著者の原氏と、作家の重松清氏が対談の中で、この作品に触れて、重松氏は、小説で書きたかった、という。
読む方も小説で読みたかった。
 作家であれば、もう少しゆとりのある書き方をしただろう。
 素材としては大変面白かったし、社会史的にも意義のある分析と思った。
 が、読んでいると、その
考察さえも、当時の自分の被害者としての正当性を押し付けてくるための手段に思えてくる。
 四谷大塚の正会員になる、というのは、中学受験をする子どもにとっては、かなりの勲章だけど。
 それが最高の成功体験なワケね、と鼻白む気にもなる。 重松氏なら、彼にもっと共感できるように描いただろう。

身辺整理

2011-05-01 19:42:27 | 文学(家族・友人)
「向田邦子の遺言」と、「向田邦子の恋文」を読んだ。
 大人だ。最初の遺言を書いたときは、40位。長女というだけじゃなくて、とてつもなくしっかりしている。

 誰にも寄りかからなかった人が、唯一可愛さを覗かせた男性がいた。
 いい三十代を過ごし、死が視界に入った40代。
 ぐちもいわず、淡々と自分の始末をつけた。
 鮮やかな女性だったんだなあ。