ブックエンド

活字中毒で乱読の毎日。
記憶から過ぎ去ってしまいそうな本を
記録しておくことにしました。

銀の匙

2011-06-13 20:13:59 | 児童文学・絵本
灘高(灘中かも)の伝説の授業で取り上げられたなんだそうな。
 古くは夏目漱石が激賞した。岩波文庫の最高の一冊にも選ばれていたかも。
 本当にきれいな作品だ。
 内向的で、自尊心は強い男の子の壊れそうな自我が、素朴な叔母の愛情にくるまれて、繊細に話は綴られる。
 明治期の神田。家具調度品が雅な雰囲気も添えている。

 しかし、これは自尊心の高さと現実に怯えたりそれなりに立ち向かったりと言う、ちょっとみそっかすな男の子の話でもある。
 灘中の男の子に読ませるにはちょっともったいない。猫に小判?。
 大好きな作品だから、余計なブランドつけないで。

イギリス湖水地方

2011-04-27 22:45:29 | 児童文学・絵本
 旗の湖シリーズは、湖水地方が舞台。
 ビアトリクス・ポターの作品にも出てくる。リスの話やカエルの話。 家の前には旗の湖が広がる位水辺に近いと。
 週末には旗の湖に泳ぎに行ったり、トレッキングしたり。
 一方で、ネクタイの結び目と格闘したり、名誉革命を口述させられてあたふたする中学生活も当時のリアルさで書かれる。

 続きはアマゾンで原書しかない。高いけど、買ってみるか。誰か訳して?

旗の湖シリーズ

2011-04-26 07:17:55 | 児童文学・絵本
 小学6年生の頃、学研の少年少女文学全集の中からよく読んでいた。
 その中でも特にお気に入りだったのが、ジェフリー・トリーズって作家の、「この湖にボート禁止」と、「黒旗山のなぞ」という連作。
 イギリスのグラマースクールの様子が軽快に綴られているのと、湖水地方の自然を少の生活の中にきれいに織り込んでいる。
 今は絶版。続きも未翻訳。本国のイギリスでも絶版だそうで、読めないまま。
 復刊リクエスト出しておいた。
  作品を重ねるごとに、主人公の成長も分かり、作者と訳者の技量が伝わる。
 政治には興味ないけれど、自民党の河野太郎議員も子どもの頃愛読していたそうで、親近感が湧いた。
 この人にメール送ったら、取り上げてくれるかしら。

メアリ・インガルスという女性

2008-06-04 08:37:14 | 児童文学・絵本
『大草原の小さな家』シリーズの著者、ローラ・インガルスのお姉さん。
 金髪で優等生の美少女というように物語中では語られている。
14才のとき、高熱で失明した彼女。自身でもかなりの葛藤や挫折、諦めを昇華せざるを得なかったはずなのだけれど、彼女の残した詩は穏やかで優しく、繊細な言葉にあふれている。
改めて彼女の才能をもっと知りたかった。

子どもの本を大人読み

2008-03-23 00:01:50 | 児童文学・絵本
『大草原の小さな家』シリーズを読み直してみた。
良妻賢母の鑑のようなかあさんも、実は裁縫が苦手だったとか、父さんはADHD多動性タイプ?などいろいろ発見したり深読みしたり。
小さいときは父さん似の主人公ローラに感情移入して読むので、母さんはどちらかといえば堅苦しい感じを受けていた。
今読むと、落ち着かない父さんに振り回されながら家を共同管理して切り回していたたくましさが見えた。
もう少し、続けて再び読んでみよう。

翻訳それぞれ

2008-02-11 22:02:38 | 児童文学・絵本
『点子ちゃんとアントン』

 エーリヒ・ケストナーの名作は、もう今では古典的になっている
高橋健二氏訳のほか、いろいろな版が出ている。

 でも、最初に読んだからというだけでなく、高橋氏訳が一番しっくりくる。

 たとえば、家庭教師のアンダハト嬢について。(この、“嬢”も高橋氏のみ)

 高橋氏訳
 「すこぶる背が高く、すこぶるやせていて、すこぶるあたまがへんでした」

 ちょっと忘れたけれど他の人の訳
 「のっぽでやせっぽちで、みょうちきりんな考えの持ち主」

 ケストナーは風刺詩人として物書き人生をスタートさせた。
 韻を踏むなど、文のリズムにもこだわりがあったはずで、また、世相を風刺できるだけの知性と批判精神をアピールしていたに違いない。

 高橋氏訳は、そんなケストナーならではの「いきがり」をうまく日本語にのせられたと思う。

 今後も現代風の訳は出るだろうけれど、高橋氏訳も残りますように。