「評論家」という最悪最低な職業の、更にその真似事

事象を己自身の価値判断で論じることはとても恥ずかしい事である。
ましてや一文にもならないのに書くなんてただのバカ

商品開発についての私見。

2013-03-13 20:49:13 | 私見
 本題に入る前にTBSって言えばもうひとつ、忘れられない話があったことを思い出しました。
 TBSの番組に「噂の東京マガジン」ってのがあり、その番組の企画に「平成の常識 やってTRY!」ってのがあるのですが。
 つまりそこら辺を歩いているお嬢さんたちに料理を作って貰うとかの方向で常識力を試し、できなければ笑う、って感じのあれですが。
 そのコーナーをたまたま見ていた時のメニューが「麻婆春雨」と来たんで椅子から転げ落ちそうになりました。過去の職務上、あらゆるメニューは一通り作れるわたしですが(※レシピがないと作れないものが圧倒的なのはもちろんです)、にしてもさすがに「麻婆春雨」だけは過去に作った事がありません。なぜならば……。
 番組が進み、一通りお嬢さんたちの手際を笑ったあとでいよいよ本職の調理師が登場し見本の麻婆春雨を作る段に。そこで出演者の誰だったかが遂に「聞いちゃダメなこと」を聞きました。つまり。

 「麻婆春雨って、一般的な中華料理ですか?」

 調理人は静かに答えました。

 「商品名ですね」

 噂の東京マガジンのスタッフ、ならびに出演者の全てが、麻婆春雨は一般的なメニューでは無く、永谷園が作ったオリジナルメニュー、加工食品の商品だと初めて知った瞬間でした。つーか、むしろ手料理とかする家庭こそ知らないメニューの筆頭でしょうに。常識がないってのはどっちの方だと。
 ちなみに、麻婆茄子ってメニューもありますが、あれは正しくは魚香茄子(ユイシャンチェーズ)。麻おばさん(麻婆)がナスやら春雨を料理したって話はあまり聞きませんな、TBS様。

 さてさて、しかし。
 一般的な中華料理と思われるまでの商品を開発された開発陣には脱帽です。その内トマト鍋やカレー鍋なんかも「やってTRY!」で作り方を聞く回が出るかも知れません。

 で、開発と言えば今日、こんな話がTogetterでまとめられてました。

 ちきりんさんのホッテントリへの反応と岩崎夏海氏の警告

 で、くだんのちきりん氏が書かれてる記事はこちら。

 自分の強みを活かすというアホらしい発想

 ↑読むと「なるほど」と手を打つのかも知れないですが、この記事にはいくつかの穴があります。

 まず1点目。
 ちきりん氏は「こう書けばわかるかな」と2つの例を出していますが、その例が具体的に何を指すのか明示してません。後者に関しては多分アップルだとは思うんですけど、それにしてもアップルの何を持って成功としてるのか、その成功は読んだ人のイメージに任せてます。i-MacなのかGUIなのかi-podなのかi-phoneなのかそれともi-padなのか。

 これ、結構話の組み立てとしてうまいですね。
 もしかしたらわたしが「アップルの事ですね」と思っている事さえ「はずれ」と言われる可能性だってあります。しかも「わからないの?」と更に具体的な名を出さずのままで。
 つまり「それは違うのでは」と論評したくてもその根拠の梯子を外される可能性があり得る訳で。少なくとも「ダメな会社批判」をするのならば印象操作ではなく具体的な例を使ってどこがダメで比して優秀な会社のどこが良いのかくらいは説明して欲しい所です。

 2点目。
 ちきりん氏の説明はたったひとつの特異な例をもって全体を語っている、可能性があります。成功例で出しているのがアップルを指しているのだとしたら。
 例えばMac対Windows。例えばネットスケープとIE。世界標準なんのそので日本国内では大ブームになってしまったi-modeなんかもありますね。

 世界が熱狂するような商品を外部から優秀な人材を集めて作ったとしても、それが世界を席巻できるかどうかは他にも色々なファクターが入り込みます。入り込むはずです。特にマイクロソフト対アップルの歴史を見てる人は切実に思うでしょう。

 しかもです。
 一例を持って全てを語れるのであるのならば、例えば今や世界企業になってしまったユニクロはかつて野菜を売ろうとした事があります。
 柳井社長としてはまさに「消費者が熱狂するほど欲しがるものを、世界中から他者の技術を集めてでも開発!」だったのではないでしょうか。

 ユニクロ野菜の失敗

 別にユニクロが野菜を売るなんて、と今更言いたい訳じゃありません。しかし極度に「消費者視線」を意識した商品ばかりを考えた時、それを扱えるだけの資質をどう補うのか。目標が高ければ高いほど欠落している資質を埋めなければいけないエリアが広がります。
 結果、ユニクロはより高い顧客ニーズ(高品質の衣料を、より安価に買えるというサービス→新しいタイプの衣料を纏う事での感動を与える)に舵を切り直し成功を収めました。
 そう、つまりちきりん氏がダメ出ししてる「自社の持つ圧倒的に優れた技術を活かして、商品開発!」の分野で、です。
 ただし、うまく成功してる人は自社が優れている分野に、更にプラスで「よそ者、若者、馬鹿者」の三者を加えて違う価値観で測る事を厭わない気はしますね。
 食品の商品開発の分野で成功例の1番に上がるのはそれまで三番手、四番手の位置にいたアサヒビールを一躍トップに駆け上がらせた「アサヒスーパードライ」ですが、対するキリンビールが出した「一番絞り」を作ったのは入社間も無い社員とお聞きします。

 自分が得意とする分野でありながら、それでも更にその価値を0として見られるよそ者や若者、さらに馬鹿者の目から見ても「欲しい」と思わせる商品が作れるか否か。

 ちょっと前の話ではキングジムの「ポメラ」なんかがそんな感じでしたね。発売するかどうかの役員会議でたったひとりの役員が「金を出しても買う」と言ったので「世の中にはこれを必要とする人が一定数いるはず」と発売が決まった、と。

 写真と動画で“見る”「ポメラ」の開発秘話

 そもそも(仮に成功例をアップル社としてるのなら)アップルだって熱狂的に売れる分野の畑があったとしても、自社が蓄積した技術力とはまったく畑違いのエリアに種を播いた訳じゃない事は、ここでわたしが書かなくてもおそらく皆さん知ってるはず。
 長いことウィンドウズ陣営と戦い続け、ウィンドウズと自社の相違を測った結果に見出した耕作地、それを少しずつ、少しずつ開拓し続けていった結果が、今実っている果実園なのではないか、とわたしは思う所存です。

 ・・・にしたって、その果実を安売りする韓国サムスン陣営との戦いになっている事を、ちきりん氏はどう説明するのやら。

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