クリアファイルのその中は

何気ない毎日は、何気なく良い。

老いては子に従え

2012-10-13 09:46:09 | 日記
奈良に引っ越す際、私の父が長男に囲碁盤をくれた。
日本産本榧(ほんかや)の碁盤に、ハマグリの碁石…相当な一品らしい。

当時長男は漫画「ヒカルの碁」の影響で囲碁に興味を持っていた。
しかし、実際打つとなると相手もいることで、勝負はネットでのみ行われていた。
この碁盤一式は6年間ずっと部屋の片隅に追いやられていたのだ。

昨日、急に長男が私に本を買ってきてくれた。
囲碁の入門本だ。

「いろいろ見たけど、これが1番分かりやすかった。」

齢50のボケ気味の母でも分かるだろうとのことだが、いつ私が囲碁をやりたいと言っただろう?

「だって母さん、囲碁盤が宝の持ち腐れって言ったじゃん。俺一人で打てないから母さんも覚えて。」


かなり理解力が衰退した母に過酷な注文。
しかも入門書まで自前で買ってくれたのにイヤとは言えない。

渋々ながらも本を読み、とりあえず息子と対局してみる。

深い・・・囲碁ってなんて深くて難解なゲームなんだろう。

ルールは分かっても最初の5手位でもう私の負けが決まってしまう。

     ギブアップ。

イマドキの子らしくすぐに「だせぇ」等と言う息子だが、私のトロい一手を黙って見ている。
マズイ所に打とうとすると、優しく解説もしてくれた。
辛抱強く私がまともに打てるのを待っているのだ。

へぇ~いつの間にそんな大人になったの?



碁盤を挟んで向かい合う息子が頼もしく思えた母だった。