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統制リスクと不正の関係

2005年12月20日 | 会計監査実務
中央青山監査法人の関与先である、外食チェーンの宮(ジャスダック)で経理担当役員の不正が発覚したようです。

宮のプレスリリースによれば、不適切な会計処理は経理担当役員が独断で実施。

経理担当役員は「不振な業績を開示すれば株価に悪影響を与え、円滑な資金調達を妨げる」と考え、
子会社の建設取引の水増しや取引先による広告宣伝費の肩代わりで業績を偽った。
宮では約15億円の損失計上が見込まれるとしている(同日付で経理担当役員を解任した)。

宮のHPより「不適切な会計処理」方法を抜き出しますと、

・100%子会社の建設取引の仮装
・割引優待券を利用したもの
・広告宣伝費の取引先への付回し
・有形固定資産の架空計上 といった不正が行われた模様。
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会社は、経理担当の不正を長い間発見できなかったそうですが、
このような事例、他の監査法人にとっても他人事ではないですね。

今回は具体的な不正内容はさておき、
内部統制の不備が監査にどう関連するかについてコメントします。

一般の監査では、証憑突合(バウチング)などからなる実証手続の前に、統制評価手続という手続を行います。

これは、いわゆる会社の内部統制に依拠できるかを判断し、会社の内部統制に在する統制リスクという要素の証跡を残す目的で実施されます

内部統制は、主に会社の内部牽制や承認体制をいいますが、その構築度合いは、会社により千差万別。
よって会社によって統制リスクが変わります。

・適切に牽制承認体制が整っている会社(不正や処理ミスがほとんど無い)

・経理部長が一人で何でもやってしまう会社(不正や処理ミスが生じ易い)

経理以外の販売・購買業務でも同じ理屈でリスク度合いは変わってきます。

宮の事例はリリース通りなら、経理業務に関する内部のチェック体制が杜撰だったわけですね。

監査する側も、そんな会社だと色眼鏡で経理情報を見ないとダメですよね。

また、マンパワーが少ないと言われるベンチャー企業だって
牽制・承認体制の仕組みを工夫すれば、リスクを最低限抑えることが可能です。
必要なのは、トップマネジメントが相互牽制の仕組み作りをしよう!と思うことです。

次回は、統制評価手続のちょっと具体的な話しです。


監査法人採用準備室
管理人 あかさか

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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
お久しぶりです (トム)
2005-12-21 22:40:24
こんばんは。

それだけ不適切な会計処理が挙がっていると、発覚するまで誰もわからなかったというのが、不思議な感じがしますね。

証憑書類って、見る人が見れば、怪しいものはわかりますからね。

逆に、それでも見つからないような証憑書類を用意してたのだったら、それはそれで驚きですが。
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見る人が見れば。 (あかさか)
2005-12-21 23:11:29
トムさん、お久しです。元気ですか?

私、忙しさから髪が心許なくなってきました。



内部統制の不備として、見るべき人が見ていないことが大事故を引き起こす根幹となってますよね。

防止するには一工夫で良いはずです。



まぁ、会社のスケープゴートになったという可能性もあるでしょうけど。
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Unknown (grande)
2006-01-01 04:12:08
明けましておめでとうございます。

今年もよろしくね。



宮は年末直前にすごい量の過年度修正出しましたね。

読むだけで疲れましたとさ。
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