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若手会計士が会計監査実務の裏側を紹介。
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売上の簿外処理による裏金作り

2005年11月10日 | 会計監査実務
商品先物取引大手「グローバリー」の商品取引所法違反事件で、こんな記事を発見しました。
たしかトーマツ名古屋事務所さんが担当していたはずです。

(2005年11月4日 読売新聞)
逮捕された社長の山田保弘容疑者(45)ら幹部が、裏金作りの不正経理を隠ぺいするため、監査法人を巻き込み、経理が適正だったとする監査報告書を作成させていたことが3日、愛知県警生活経済課などの調べでわかった。同課では担当した監査法人が同社とのなれ合いから、不正を認識しながら「適正」との監査報告書を作成していたとみている。
同課の調べや関係者の話によると、グローバリーでは代々の経営幹部が裏金作りを続けていた。裏金の総額は、93年以降だけでも、18億円以上になるという。
不正経理に、監査法人側も気付き、同社幹部らに不審点を指摘したところ、03年1月になって、同容疑者らが裏金作りの実態を伝え、「05年3月期には不正を全廃する」などと、今後の対応について相談した。監査法人側は違法な簿外処理を改めるよう再度助言はしたものの、最終的に同容疑者らの要望を入れ、財務諸表が「適正」との03年度の報告書を作成したという。
(以上、YOMIURI ONLINEより)

訂正報告書を見ると、修正前に比べて毎年営業収益(売上)が2億ほど膨らんでいて、経常がほぼ変わらない。ってことは、毎年売上を2億づつ簿外処理して裏金としたんでしょうね。
売上の網羅性を追っかけるには、簿外処理されているなら会社が使用した架空口座を押さえるのが手っ取り早いですが、他にも様々な財務諸表項目に影響が出ているはずです。
入金を会社口座にさせる代わりに、架空口座に振り込ませれば、監査でいくら仕訳帳を見ても取引が隠蔽されているわけですから発見しづらくなります。
所謂、帳簿に記載されてる取引の実在性を沢山検証しても見つからない訳です。

売上の逆粉飾は、よく脱税する時に利用する手段ですが、監査上虚偽の表示となる以上は適切に対応すべきで、今回記事にある監査法人の対応は問題外といえます。

カネボウもそうでしたが、このような粉飾への加担事例が続々出てくることで、監査法人への社会的信頼性が低下してしまうのは同業として悲しい限りです。

監査法人採用準備室
管理人 あかさか


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1 コメント

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Unknown (grande)
2005-11-11 03:02:11
金額を見ると重要性云々ではないでしょうし、

不正についての委員会報告もありますから、

発見していながら看過したことへの言い訳は、

ちょっと苦しいでしょうね。
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