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資本金1億円の線引き

2011年07月08日 | 税務実務
税務実務のカテゴリーでは、自分が税務実務で直面し、「へぇ~」っと思ったことを紹介していきます。
個々の前提条件により、税務上の取扱いが変わる可能性がありますので、その点はご留意ください。

第1回は、形式減資の話です。

会社法の手続により、資本金の形式減資を行った場合、以下のような仕訳がたちます。

資本金 xxx/その他資本剰余金(減資差益) xxx

税務上、資本金1億円を境として、主に以下のような違いがあり、形式減資をすることで税務上の取扱いが変わってきます。

・資本金1億円以上だと国税局管轄(いわゆる大法人)、1億円未満だと税務署管轄
・資本金1億円超だと事業税外形標準(資本割、付加価値割)の課税対象、1億円以下だと課税対象外


一方、税務上、形式減資をしても資本金等(資本金+資本剰余金)の金額は変わりません。
したがって、地方税の均等割額や、事業税の資本割額(資本金等を基礎に計算される)は、形式減資をしても金額は変わりません。

資本金や、資本金等の2つの概念が出てくるので、混乱しやすい部分ですね。


実務ではよく、資本金を1億円に形式減資を行って、外形標準の課税対象から外すことがありますが、国税庁はこの点について、外形標準課税の線引きを「資本金」ではなく「資本金等」に変更することで課税対象から外すことを規制したがっているようです。

また、大法人に該当するかどうかで、税務上の様々な規定の適用を線引きしているので、資本金1億円というのは、税務上で重要な区分になっています。

実務的には、国税局管轄か、税務署管轄かの違いで、申告書等の提出部数が違ったりします。
第2回では、そのあたりを整理したいと思います。

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