昨年十月末のこと。
某中枢に向かうタクシーの中にいた。
心臓がコトン・コトンと弱く早い拍動をずっと続けていた。
緊張していることもあったが、とにかく体が完全に参っていた。
睡眠は短時間で分断され合計でも少なくしか眠れず、電磁波は打たれ、、他にもありとあらゆる方法で攻撃され・・
目が覚めた瞬間から眠りにつく瞬間まで常時監視をされ・・
気の休まる時間はほんの一秒もなく、それがもう五年半以上に及んでいた。
『あの、、君ねぇ、、
これからあそこに私が行くと、貴方の旦那さんは殺されてしまうかもよ?
もう寒さ攻撃はしないことを約束しますから、そこへは行かないでください
・・言う気はない??
今から十秒、最後の時間をあげるからそれまでに言ってね。
もし言ってくれたら、絶対にあそこへは行かず、このまま歩いて帰宅する
から・・』
10、、9、、8、、7、、6、、
5、、4、、3、、2、、1、、
何の返事も聞こえず、軽く吐息を付くと、某中枢を訪問することを覚悟した。
『何これーっ!! ウワァワァ~』
心底怖がっている1007号室の中年女の声が聞こえて来ると、私のいる室内もドンヨリと空気が淀んで来るのだ。
男の「指」が手・足と一本一本、その妻であるこの女のところに運ばれているのだ。
そして、それは・・ 「耳」「鼻」 にまで及び、果ては「男性自身」までもが運ばれているのだ。
ここまで、、ここまでされているのに、この中年女は拙宅を舞台として次々とトラブルを起すことを止めないのである。
事態はどんどんとヒートアップをせざるを得ず、こうしてとうとう某中枢を私が訪問しなければならない処にまで来たのであった。
そして私がこの中枢を訪問して約一週間後、この中年女の夫は殺害された。
生きたまま首を切り取られ、その首をカメラの前に置かれ、、、しかも首には最早、鼻も耳もない。
『いいか、、君が御主人を殺したんだからな?
組織の人や私が殺した訳ではないんだからな?』
厳しいがこう私は言ったのだが、この女性が凹んでいたのはせいぜい三日間くらいの間だけのことだった。
あっと言う間に元の元気を取り戻し、また事態をよりヒートアップさせて行く事を始めるのである。
『アーハッハッハッハー』
いつも高笑いする女に、
『君は淀君なんだろ?日本の国母で日本一偉い女なんだよな?』
私は真顔でよく言った。
1007.1008号室の一族。
日本犯罪史上に名を刻む狂気の一族。
周りの制止も聞かず、この一族が暴走に暴走を重ね、この事件はとんでもない展開を見せて行くのである。
これだけの強大極まりない種々の組織・団体が関係するこの事件を、八戸という北辺にあるストリップ小屋の一族が引きずり廻して行くのである。