拙宅の近所のスーパーで売られているブリはほとんどが養殖物で、脂は十分のっているが、気のせいか不自然な脂だ。天然物は少ないし、たまにあっても焼き物にすると脂気がなくパサパサしている。
一方、TVの旅番組で紹介される氷見(富山県)の寒ブリは、天然でもしっかり脂がのっているらしい。それなら氷見まで寒ブリを食べに行こうと、妻と相談がまとまった。
旅のガイドブックによれば、氷見の寒ブリの漁獲シーズンは11月から2月とあるので、2月7~9日2泊の宿泊を1月中旬に予約した。
氷見で寒鰤が獲れる理由については、右のURLを参照されたし。http://toyama-asbb.com/archives/20585
選んだ宿は氷見ではトップクラスの永芳閣。ネットで永芳閣の料理を調べると、いろいろなブリ料理が掲載されている。これは期待がもてそうだ。
ところが、2月上旬の大雪で、新幹線は動いていたが、その先の氷見線がストップしてしまい、宿泊を2月19~21日に延期。
永芳閣の初日の献立を見ると、ブリは刺身盛り合わせの中に一人当たり二切れあるだけ。その代わりフグ鍋とか、地魚の柳バチメ(関東のメバル)の焼き物、ナンダ(富山湾の深海魚)の旨煮など、予想してなかった魚料理が登場した。これらの地魚類が美味しかったのでそれなりに満足したが、こちらの狙いはブリだから、かなり落胆したのは否めない。
これが柳ばちめ
宿でブリを出さないなら、外の食堂でランチにしっかり食べようと、翌日の昼間、近くの観光スポットである番屋街(道の駅でもある)に出かけた。ところが、その食堂のメニューを見るとブリがない! やむをえず富山湾名物の白エビのかき揚げで我慢した。
食堂のそばにある魚屋の店先をのぞくと、7キロほどのブリが二尾陳列されている。寒ブリの本場だから、大型のブリが大量に積み上げてある光景をイメージしていたのだが・・・。しかも、そのブリには石川と書いてある。隣の石川県で獲れたものらしい。
魚屋には石川県産のブリが・・・
寒ブリがウリの氷見なのにどうしたことか。そこでスマホで調べると、なんと氷見漁業組合は2月3日に寒ブリ漁の終了を宣言していた! 今年は不漁で終了が例年より早かったらしい。最初に組んだ旅程なら、かろうじて最後のブリ漁に間に合ったと思う。大雪でグルメ旅行が台無しになった。
http://www.tyhimigyokyo.jf-net.ne.jp/
その晩(二日目)の宿の献立には、天然ブリの照り焼きと味噌炊きブリ大根があった。多分、冷凍保存した魚を使用したのだろう。こうしてなんとかブリにはありついたが、二晩を通じて言えば、期待したほどのブリ尽くしではなかった。それでも、地魚類や白エビとかせいろ飯は予想外に美味しかったし、満足したので及第ということにする。
刺身盛り合わせ(二泊目)にブリはなし。なお、こちらに顔を向けているのはホウボウ。
ずわい蟹と鮭のせいろ飯
そこで苦言と提案。氷見の観光ポスターはブリが主役であり、明らかにブリが観光客誘致のキモである。そして、寒い季節に氷見にやってくる観光客はブリ料理を期待しているはずだ。不漁という事態は不運だったが、だからといって漫然とブリ不足を招いたのは怠慢である。永芳閣(のみならず氷見のすべての旅館)はブリ漁のシーズンとして一般的に認識されている2月末まではブリ主体の献立を提供できる態勢を整えておくべきだ。それにはブリを解体し、冊(さく)にして冷凍庫に保管しておけばいい。
この提案は永芳閣のみならずほかの旅館や番屋街の食堂にも共通する。氷見市観光業のさらなる振興のためには、観光客のニーズに合わせた関係者全員のもてなしの心と工夫と必要であることを認識すべきである。
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