5月4日の安倍首相の緊急事態宣言の1カ月延長に関する演説の中に、次の一節があった。「1カ月で緊急事態宣言を終えることができなかったことについては、お詫び申し上げたい。・・・断腸の思いだ。」
この時の爺の反応は、「アレ、これは首相が謝る事かな。緊急事態の延長は“要請”をしっかり守らなかった国民にも責任があることだし、1ヵ月できっちり終わるとは期待していなかった。だけど、これは大したことではないから、まぁよしとするか」である。日本のマスコミもこの“謝罪”という言葉自体には関心を示さなったはずだ。
ところが、シンシアリーのブログによれば、韓国のマスコミがこの“謝罪”に強く反応したという。以下、赤字はシンシアリーの地の文章で、青字は同氏が翻訳して引用した新聞の一部分である。
「ソウル エコノミーニュース」の、『逆転された韓日・・コロナでムンジェインは上り、安倍は落ちた』という記事、部分引用してみます。
引用部分に「大きな声を出す」は、韓国語では偉そうに言う、上の立場で言う、などの意味です。下の立場の人が大きな声で話すのは大きな欠礼であるため、こんな表現ができたと言われています。個人的に、この記事の起承転結からして、これは『相手を叱る立場になれた』という意味になると思っています。
<今では、私たちが日本に大声を出すことができるようになった。コロナ事態の初期では韓国は手に負えず、日本は相対的に韓国を見下した。しかし、現在ではその逆である。韓国が余裕なのに対し、日本は安心できずにいる。安倍も政治的苦境に陥った。日本では、韓国が羨ましいという話もたくさん聞こえてくる。私たちがコロナにうまく対処した結果だ。
それは、文在寅大統領と安倍総理の支持率が物語っている。文大統領は、世界的に認められている。韓国がコロナモデル国家であることだけは間違いない。韓国は世界のどの国よりも模範である・・>
安倍首相が日本の国民に謝罪しても、韓国人には関係ないことだが、それで彼らが有頂天になるとは思いもしなかった。日本には実害がないから、どうでもいいことだが、韓国人がいかに日本に対して敵愾心を抱いているかが窺われる。
ここで考慮しなくてはならないことは、日韓における謝罪の重みの相違である。日本人は自分が悪いとは思っていなくても、簡単に謝る。社交儀礼と言ってもいいくらいだ。しかし、外国では謝罪すると、自分の非を認めたことになる。金銭が絡んでいる場合は、間違いなく賠償責任が発生する。だから、外国では謝罪は重大な意味を持つ。
さらに、韓国では対人関係において、どちらが上で、どちらが下なのかは大事な問題であり、謝られる方が上で、謝る側が下だとみなされる。安倍首相のケースでは、韓国人は反日デモの時に、プラカードに「反安倍」と表示して安倍首相を悪人扱いしているから、その安倍が謝罪したらその相手が誰だろうと、喜ぶべきことになる。
その背景には、コロナ沈静化で韓国が日本より先行している事実がある。その理由として、韓国はSARSの時の経験により検疫態勢が確立されていたこと、およびスマホなどによる感染者の移動経路の徹底追跡が挙げられている。理由はともかく、韓国人は “日本に勝った”ことで、凱歌を上げているわけだ。癪だが、ここは認めるしかない。
それはそれとして、爺は、韓国がコロナ退治で日本に勝った理由はもう一つあると思う。それは、日本の施政者たち、すなわち首相、閣僚、都府県知事の発言が“お願い”ベースであるため、緊迫感に欠けること。これについては、次回に述べる。
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